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第一工業製薬と人工知能ソフト開発・ハカルス 匠の分析技術をAIで標準化・速度6倍に 安定供給とベテランの技能継承に貢献

(PR TIMES) 2022年01月06日(木)12時15分配信 PR TIMES

 化学品メーカー「第一工業製薬株式会社」(代表取締役会長兼社長・坂本隆司、京都市南区)と、少量データによるAIソフトウェア開発会社「株式会社HACARUS(ハカルス)」(代表取締役CEO・藤原健真、京都市下京区)は、「カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)」の製造工程における途中経過の判定に、近赤外線カメラといったセンサーによる撮影と人工知能(AI)を組み合わせ、従来の検査速度を約6倍にする検査技術を開発しました。これまでは検査員が経験に基づいて行っていたものを自動化。品質の高さや供給体制の安定化を実現し、検査員の負荷軽減と熟練技能の継承につなげます。
[画像1: https://prtimes.jp/i/26090/53/resize/d26090-53-e1d5be37c32301b1f7e8-10.jpg ]

[画像2: https://prtimes.jp/i/26090/53/resize/d26090-53-9bd96d4fcd7dfdf9d0fb-12.png ]

【従来の課題】手の感触や目視判定 
 第一工業製薬では、セルロースを原料にCMCを製造し、リチウムイオン電池から高級養殖魚の餌まで幅広い用途で活用されています。
 製造工程では、水分含有量の調整が不可欠で、適切な配分が決まっています。
 ただし水分含有量の測定は、可視光による画像検査では難しく、従来は溶剤を用いた容積測定や、育成に5年以上かかるベテラン検査員らによる製品表面の目視検査、手で握った際の感触などで判定していました。

[画像3: https://prtimes.jp/i/26090/53/resize/d26090-53-ade1b0be05a4be3bd3fb-13.png ]

 第一工業製薬は、ITを活用した事業改革「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の一環で、検査結果を数値化して工程の標準化を図るため、人工知能(AI)の活用を企画。少量のデータでAIを構築(※1)し、外観測定技術の課題解決策を提示している「ハカルス」と連携して、測定技術を開発しました。


※1)ハカルスは、大量の学習データが必要な「ディープラーニング」と比較して、少量のデータから特徴を抽出し、学習と推論を行える「スパースモデリング」を得意とします。費用と時間を抑えながら開発を進められるのが特長です。


[画像4: https://prtimes.jp/i/26090/53/resize/d26090-53-d949e992c50727e8cffd-3.jpg ]

【成果と意義】精度も改善、熟練技能が継承容易に
 測定は、近赤外線カメラといった最新のセンサーと、撮影した画像を分析するAIを組み合わせて行います。
 CMCには用途に適した水分含有量があり、カメラを当てた際に赤外線の吸収や反射の度合いが異なります。
 適切な水分量の正常品に対して、水分過多であれば撮った画像が黒くなりすぎたり、水分不足であれば白くなりすぎたりします。その水分量の適切な状態やピーク値をグラフ化し、数値で表現できる点も特長です。
[画像5: https://prtimes.jp/i/26090/53/resize/d26090-53-e69ba48e56b4beea3e8f-2.jpg ]

実証実験を経て、2021年11月から試験運用を開始。現場の作業効率化と費用削減を図っており、以下のような効果を見込んでいます。

・測定装置を導入したその日からベテラン検査員と同等の判定が可能になりました。結果は客観的な数値として示されるため、共通の判断基準の構築によって、検査員ごとのばらつきを低減し、工程の標準化や供給量の安定化につながります。また、一部製品は今まで測定値指標も手触り判定も不完全であり、トラブル停止の要因となっていましたが、停止トラブルをゼロにできました。熟練技能を可視化でき、継承が容易になったため、工程安定による製造量増加や、工場、製造ラインの拡張も見込めます。

・自動化によって、1回の測定検査にかかる作業時間は、30分程度だったのが、5分程度と約84%削減できるケースが見られました。時間短縮によって作業点数も大幅に増加させる事が可能となり、従来の作業負荷削減、より効率的な生産や省力化を進めます。

・人件費をはじめ、検査や検査員育成のコストが今後2〜3年で50%程度削減できると見込んでいます。

【今後の展開】多彩な化学物質の検査に応用へ
 水分含有量の測定技術は、CMC以外の化学物質でも測定できる見通しで、今後、他の素材への適用も進める方針です。

[画像6: https://prtimes.jp/i/26090/53/resize/d26090-53-01a1bcc443d5b01ed8fb-6.jpg ]

〈第一工業製薬 大潟工場 製造部 特殊品職場職長、田代大道のコメント〉
 今回の測定技術の開発によって、職場の生産性が向上し、製品の安定供給が実現していくと考えています。DX推進プロジェクトが、社内や製造現場に大きな効果をもたらす成果へとつながりました。
 CMCは、植物由来の素材で環境にやさしく、持続可能な社会づくりに必要な素材として国際社会の関心が高まっています。今後も、CMCの特長を引き出した製品開発に努め、産業を通じて、国家や社会に貢献していきます。

〈HACARUS・代表取締役CEO 藤原健真のコメント〉
 AIを用いた画像解析はHACARUSの得意とする分野の一つです。弊社ならではの経験と技術力で、人の知見を資産化し、オペレーションの効率化・省人化を成功させます。引き続き、さまざまな製造業の検査領域における課題解決に向け、生産性向上やDX推進に関わる課題解決に取り組んでいきます。



株式会社HACARUS


[画像7: https://prtimes.jp/i/26090/53/resize/d26090-53-4ec7229fc89845581f5d-8.png ]

〈会社概要〉
株式会社HACARUS(https://hacarus.com/ja/
〈住所〉京都市中京区蛸薬師通烏丸西入ル橋弁慶町227
第12長谷ビル5階A室


主な事業 少ないデータで高精度の運用ができるAIソフトウェアを開発。産業分野だけでなく、京都大学などと連携した、がんの予防・早期診断AI支援システムの共同研究など医療分野の課題解決策に貢献。
WEB https://hacarus.com/ja/

・補足 協業の経緯
 第一工業製薬では、新規性と改善への影響が大きい社内DX推進プロジェクトとして、古くから研鑽を積み、実施頻度も多い「CMCの水分含有量の検査測定」を改善テーマとして2020年に選定。協業パートナーとして、少量データでAIの構築や実行ができ、多品種の対象物へも対応可能なスタートアップ(新興企業)のハカルスを選びました。同じ京都の企業として接点を持ったのがきっかけで、伝統ある企業と、革新性のある企業の出会いが、持続可能な社会づくりの新たな扉を開いた形です。



プレスリリース提供:PR TIMES

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