プレスリリース
JBICが支援する化石燃料ガス事業に対し、9カ国の人々が人権侵害の懸念を表明。地域社会への悪影響が浮き彫りにされた最新報告書。
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d77060-51-c05488c2dff093a7190d2ba6f3c2cd5e.pdf気候危機が深刻化する中、世界中で化石燃料への投融資を減らす動きが広まっています。しかし、国際協力銀行(JBIC)はLNGなどの化石燃料ガス事業に大規模な資金を提供しており、それにより世界各地気候破壊や人権侵害を引き起こしています。その実態についての新たな報告書が、各国の現地コミュニティとともに活動する市民団体の連合により発表されました。
本報告書「影響に直面する人びと:JBICのガス投融資がもたらす地域社会と環境への損害」と同時に公開されるウェブサイトは、JBICによる化石燃料ガス事業への資金支援額に関する最新のデータや日本による気候資金への貢献額との比較を明らかにしています。さらに、JBICのガス投融資がオーストラリア、バングラデシュ、カナダ、インドネシア、モザンビーク、フィリピン、タイ、米国、ベトナムの9カ国のコミュニティにもたらす悪影響の詳細も示しています。
主な結論
- 2016年以降、JBICは186億ドルもの資金を化石燃料ガス拡大のために提供してきました。これは、途上国の気候変動への適応と緩和を支援する「緑の気候基金(GCF)」への日本の累計拠出額の4倍以上に値します。- JBICは2022年末以降、化石燃料事業に対して39億ドルの投融資を行いましたが、これは海外の化石燃料事業に対する直接的な公的支援を終了するというG7での公約を反故にしています。- JBICが投融資を行う化石燃料ガス事業による現地住民と生態系への悪影響は後を絶たず、現地コミュニティは、JBICが自ら定めた 「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン 」に違反していることを銀行側に伝えています。JBICは今年に入り、オーストラリアのスカボロガス田やベトナムのブロックBオモンを含む事業への資金支援を発表するなど、地域コミュニティや環境に悪影響をもたらす事業への融資を続けています。
各国の事業に関する主な点
- オーストラリア:JBICは、今年スカボロガス田開発事業に18億ドルを融資しましたが、この事業は、その土地と海域の先住民族の自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意(FPIC)を得ていません。- バングラデシュ:日本はバングラデシュの統合エネルギー・電力マスタープランの起草に協力し、同国をLNGやその他の化石燃料への依存に導きました。バングラデシュの地域コミュニティにとってLNGは法外な値段です。 - カナダ:カナダの法律が先住民族の主権を認めているにもかかわらず、先住民族の同意なしにLNG開発が進められているカナダでは、ランドディフェンダー(土地擁護者)たちは武装暴力に直面しています。- インドネシア: 現地の漁民は、LNG事業の開発に伴う周辺海域の立ち入り制限のため、純益が以前の10分の1以下に落ち込む日もあります。- モザンビーク:JBICから35億ドルの資金支援を受けたLNG事業により、550家族以上が移転させられました。同事業は、紛争地域に位置し、民間人に対する人権侵害との関連も指摘されています。- フィリピン:JBICが資金支援するLNG輸入ターミナルは、「海のアマゾン」と呼ばれるヴェルデ島海峡(VIP)と周辺地域の300種以上のサンゴ、また200万人の人々の生活を脅かしています。- タイ:JBICが資金支援する2つのガス火力発電所にガスを供給しているLNG輸入ターミナルは、地元の重要な食糧源かつ地域経済の源である現地の生態系を破壊しています。地元コミュニティへの補償は一度も提供されていません。- 米国:キャメロンLNGでは、有害物質の漏出事故を既に67回発生しており、フリーポートLNGでは爆発事故により約3,400mのメタンガスが排出されました。- ベトナム:ベトナム政府は気候擁護者を投獄し、彼らの声が封殺されています。その傍で、JBICはベトナム最大の化石燃料ガス事業であるブロックBオモン事業に資金支援を行っています。
本報告書は、JBICの化石燃料ガスへの投融資がいかにパリ協定の1.5℃目標に反し、日本の気候変動に関するコミットメントを損なうものであるかを強調しています。報告書は、日本政府とJBICに対し、日本のG7の公約に沿って、新たな化石燃料事業に対する資金支援を直ちに停止し、地域コミュニティのニーズに基づいた、グローバル・サウスにおける公正なエネルギー移行を支援するための資金を拠出することを求めています。
この報告書は、日本の化石燃料ガス事業への資金支援に対し、世界的な抗議運動が勢いを増していることの現れです。日本政府とJBICは、影響を受ける地域社会の声に耳を傾け、国際的な約束を尊重し、海外での化石燃料ガス事業への資金支援を直ちに停止するよう求められています。
本報告書と同時に、市民団体の連合であるFossil Free Japanは、9カ国の現地の人々の声と画像や動画を掲載したウェブサイトも公開しました。
この報告書は、今年4月に開始された、地域社会に危害を加えることをやめるよう日本に求める市民主導の署名運動に続くものです。現時点で、6,000人以上の署名が集まっています。
報告書は、こちらからダウンロードできます。
ウェブサイトへは、こちらからアクセスできます。
報告書の発表を受け、各団体のメンバーは以下のコメントを発表しました
「日本政府と国際協力銀行(JBIC)は世界中で新たな化石燃料ガス事業への投融資を続けており、それが開発を促進すると称しています。しかし、この報告書で明確に示されているように、現実は正反対です。現地コミュニティは、深刻な健康被害、生計手段の喪失、海洋生物多様性の減少、電気料金の高騰、さらには身の安全に対する脅威など、さまざまな課題に直面しています。日本政府とJBICは、例外なく新規の化石燃料ガス事業に投融資しないことを公約すべきです。」 FoE Japan、長田大輝
「パリ協定以降、JBICは化石燃料ガス事業に対して186億ドルを投じてきました。この金額は、日本は、化石燃料の完全かつ迅速で公正な段階的廃止を支援するための資金があることを示します。日本のような豊かな国々は、気候変動を悪化させ、地域コミュニティや生態系に害を与える化石燃料ガス事業の拡大を続けるのではなく、気候危機に加担してきた責任を負うべきです。」 オイル・チェンジ・インターナショナル、有馬牧子
「JBICによるヴェルデ島海峡のLNG事業への投融資は、同銀行が掲げる持続可能性へのコミットメントにおける露骨な違反です。ヴェルデ島海峡のLNG輸入ターミナルに対する投融資におけるJBIC自らのルールは、口先だけの空約束に過ぎません。この事業は、海洋と沿岸の生態系に取り返しのつかない被害を及ぼし、現地の漁民の生活と生計手段にも悪影響を与えています。また、同事業は、フィリピンの土地の転用に関する法律違反も確認されています。これらの問題に対するJBICの不作為に対して、現地コミュニティは説明責任を求めて意義申立書を提出しました。これは、JBICが自らのルールを守らなかった実例です。JBICは説明責任を負うべきであり、化石燃料への投融資から撤退すべきです。」Center for Energy, Ecology, and Development、Gerry Arances
「モザンビークLNG事業に関連する人権侵害は恐ろしいものです。地元コミュニティの移転に関しては、家族の安全や幸福に対する配慮がなされておらず、多くの人々が貧困にあえいでいます。同事業に関わる軍関係者による、民間人に対するひどい虐待も指摘されています。この事業は、市民に犠牲を強い、地域の治安を悪化させています。JBICは、自ら支援している事業の真のコストを認識しているのでしょうか?」 Justia Ambiental!、Anabela Lemos(モザンビーク)(Lemos氏は2024年「Right Livelihoods」賞の栄誉ある受賞者です。)
「日本の人々、そして日本の銀行に対するメッセージです。 私たちは今、私たち全員に影響を与える、世界的な危機に直面しています。化石燃料への依存を続ける余裕はありません。今までの化石燃料依存の道は、多くの人々を犠牲にして、一部の企業に巨額な富を生み出してきました。苦しみを生まず、犠牲区域を作らない、より良い道があります。私たちは皆でその道を選ばなければなりません。」地域に根差した「For A Better Bayou」の創設者、James Hiatt(米国)
本報告書に関するオンラインウェビナーを10月18日(金)18時に開催します。
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※本報告書は、以下の市民団体の組織的支援により発表されます。
FoE Japan; Center for Energy, Ecology, and Development (CEED); Oil Change International; Friends of the Earth US; WALHI; Coastal Livelihood and Environmental Action Network (CLEAN); Justia Ambiental; KRUHA; the Gulf South Fossil Finance Hub; Texas Campaign for the Environment; Solutions for Our Climate; Waterkeepers Bangladesh; Greenpeace; Tall Cedar Consulting; Skeena Watershed Conservation Coalition; Solutions for Climate Australia; Asian Peoples’ Movement on Debt and Development (APMDD); Japan Center for a Sustainable Environment and Society (JACSES); Bangladesh Working Group on External Debt (BWGED); EEC Watch; Rayong Clean Energy Network
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