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生活協同組合コープさっぽろ

「道内農場黄金そだち平飼い卵」8月21日発売

(PR TIMES) 2023年08月18日(金)16時15分配信 PR TIMES

管理方法にこだわりアニマルウェルフェアに配慮


 生活協同組合コープさっぽろ(以下、コープさっぽろ)では、北海道の農家を応援するため、2011年に道産飼料米を与えて生産する「黄金そだちたまご」の販売を開始しました。また、アニマルウェルフェアの観点から2017年より全店で平飼いたまごの取扱いをスタートしております。
 この度、その2つのカテゴリーが初めて融合した「道内農場黄金そだち平飼い卵 6個入」を2023年8月21日(月)に全道各店舗にて発売することとなりました。管理方法にこだわり、エイビアリー(※1)方式の鶏舎でアニマルウェルフェアに配慮した飼育方法で育った鶏が産んだたまごです。

■販売に関する概要 
[画像1: https://prtimes.jp/i/59161/49/resize/d59161-49-9c2c7d31bfe72084bfe9-0.jpg ]

1.商品名 「道内農場黄金そだち平飼い卵」 
2.価格 298円(本体価格)、322円(税込価格)
3.販売期間 2023年8月21日(月)
4.販売数量 毎日1,000パック
       ※今後生産量を増加していく予定です
5.販売店舗 一部店舗を除く全道各店
6.生産者 有限会社北海道種鶏農場

【商品特徴】
「道内農場黄金そだち平飼い卵」は、北海道産飼料用米を10%以上使用した「黄金そだち」シリーズのエイビアリー方式(多段平飼い)で飼育された平飼いたまごです。通常のケージ飼いのたまごと異なり、EU平飼い基準を採用し、競合他社と比較しても管理方法にこだわり、アニマルウェルフェアに配慮した飼育方法で管理された鶏が産んだたまごです。

※1:エイビアリーとは、止まり木を設置した休息エリア、巣箱を設置した産卵エリア、砂浴びのできる運動エリア等を備えた多段平飼い鶏舎のことで鶏の行動がより多様になるようアニマルウェルフェアに配慮して開発された飼養システムのことを指します。

■「道内農場黄金そだち平飼い卵」商品開発プロジェクトの詳細はこちらから
https://www.sapporo.coop/content/?id=3265

■コープさっぽろが「平飼いたまご」を取り扱うことにした理由
EUではアニマルウェルフェアの観点から、ケージ飼いの鶏のたまごの販売を禁止しようという動きがあります(※2)。コープさっぽろは、同じように「平飼いのたまごを購入したい」という組合員さんの声に応えるため、2017年9月に全店で平飼いたまごの取扱いを開始しました。現在は道内34軒の生産者さんと連携していますが、あえて価格や規格を統一せず、包装パックや規格、値段もまちまち。生産者さんそれぞれが、自分の売りたい価格を付けて販売しています。

アニマルウェルフェア(Animal Welfare)のウェルフェアには「幸福」や「福祉」という意味があり、農水省はアニマルウェルフェアを「家畜の快適性に配慮した飼養管理」と説明しています。家畜を丁寧に扱ったり、良質な飼料や水を与えたり、畜舎を清潔に保つこともアニマルウェルフェアの一環です。そうしたなかで「平飼い」は、より鶏の習性を大切にした飼い方ということができます。

※2:※EUは2012年1月1日以降、従来型ケージ(バタリーケージ)での採卵鶏の飼養を禁止しています

■北海道の鶏卵の1割近くを生産する北海道種鶏農場の川上一弘社長が平飼いにチャレンジする理由
[画像2: https://prtimes.jp/i/59161/49/resize/d59161-49-0f03eb563d76edcc9003-1.jpg ]

養鶏産業はこれまで、鶏の品種改良やさまざまな技術的進歩を重ねてきました。現在主流のケージ飼いというのは生産性や衛生面、管理のしやすさなど、さまざまな点で確立されていて、これ以上のものは出ないだろうというレベルに達しています。僕も毎年のようにヨーロッパやアメリカへ出かけては、新しい設備や経営スタイルを学び、自社に取り入れてきました。そうした中で、20年ぐらい前だったと記憶していますが、アニマルウェルフェアやケージフリーといった話を現地で盛んに聞くようになりました。

日本は9割以上がケージ飼いですから、すぐに業界全体がそちらへ舵を切ることはないとは思いましたが、将来的に消費者サイドからそういう卵が欲しいという声が上がるかもしれません。そうなったときにまったく対応できないのは生産者として具合が悪いだろうということで、まずは勉強してみようと思ったのがきっかけです。最初は2008年ですね。エンリッチドケージと呼ばれる改良型ケージを試験的に導入し、2万5,000羽を飼育しました。エンリッチドケージはケージ飼育の一種ではありますが、鶏が休むための止まり木や、卵を産むための巣箱をケージの中に取り入れた、いわばケージ飼いと平飼いの中間的な設備です。

その次は2010年に、運動エリアを備えた多段式フリーレンジ方式のテスト鶏舎(1,000羽)を建てました。簡単にいうと、鶏をケージに入れるのではなく、鶏舎と運動エリアの間を自由に行き来できるような設備です。欧米でそういった飼育方法や設備が広がりつつある中で、まずは自分たちでやってみないことにはわからないよねという発想でチャレンジしたものです。

[画像3: https://prtimes.jp/i/59161/49/resize/d59161-49-023fe76ba10ca7d508a4-2.jpg ]

■エイビアリー方式が採用された経緯
事業として平飼いを始めたのは2015年からですね。別会社でマザーズという小売り事業を展開していますが、商品の幅を広げるアイテムの一つとして平飼いを開始しました。お客さんからも平飼い有精卵を求める声がありました。最初は1,500羽です。その3年後に2棟目の平飼い鶏舎を建設して4,000羽を入れました。

一方でEUを見てみると、法律でケージ飼いが禁止になったものの、現実的にはEU全体で足並みをそろえることが難しく、基準が二転三転していたんですね。アメリカも流れとしてはケージフリーへ向かっているけれど、州ごとに独自のルールを設けてやっているような状態です。国の経済情勢や政治的な動き、マーケットの動向もあって、なかなかコレと定まらない。要は生産者が振り回されているような状況でした。

そうした中で出てきたのがエイビアリーという方式です。エイビアリーは「多段平飼い」と訳されるように、3・4階建てのマンションのように床が多層になっていて、鶏が地面を歩き回ったり、上下に自由に垂直移動できます。平屋の平飼い方式に比べて飼育できる羽数も多いし、鶏は夜になると外敵から逃れようと高い所へ行く習性がありますが、そういう行動欲求も満たしてくれる。これまで平飼いの設備をいろいろ見てきましたが、これが最終形に近いんじゃないかと思って導入することに決めました。

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■ケージ飼いとエイビアリー方式の平飼い。両方を実践する中で平飼いならではの苦労や難しさ
ひとつは管理面です。ケージ飼いの場合は6〜8羽ごとに部屋が分かれているので1羽ずつに目が行き届き、異常があればすぐに発見することができます。エイビアリーは鶏舎内で鶏が自由に動き回ります。一番の懸念は鶏が興奮してしまったときの危険性です。うちは1万4,000羽をおよそ5,000羽ずつに区画分け管理していますが、もしその5,000羽が何かの拍子でパニック状態になり、鶏同士が重なり合ってしまったら、乗っかられた鶏は圧死してしまいます。そうならないよう見回りはできるだけ慎重に行う必要があります。

また、巣外卵のリスクもあります。平飼いでは、鶏が暗い所で産卵する性質を利用してネストと呼ばれる巣箱の中で卵を産ませます。ところが必ずしもうまくいかず、ネストの外で産んでしまう場合があります。これを巣外卵といいます。巣外卵は人間が見つけて拾って歩かないといけません。放置すれば、割れたり、腐敗したりして不衛生です。もし仮に巣外卵率が3%なら、1万4,000羽ですから毎日400個余りを手で拾うことになる。巣外卵率10%なら1,400個。こうなるとかなり重労働です。育て方や設備の工夫で、できるだけ巣外卵率を抑えることが重要となってきます。

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■平飼い卵の価格の理由
大切なのは、どういった飼養方法なのかを理解した上でお求めいただくことだと思います。高いから「おいしい」とか、安いからどうのとか、そういう単純な話ではなく。
実は日本では平飼いの定義があいまいです。たとえばEUは1.飼育密度は1mあたり9羽以下、2.敷料エリアは1羽につき250へcm以上かつ鶏舎床面の1/3以上、3.止まり木は1羽あたり15cm以上、4.巣箱(ネスト)は120羽につき少なくとも1mの割合で設置されていることなど、数多くのルールが定められていますが、日本にはそれがない。飼育密度も、止まり木の長さも、特に決まりがありません。うちとしては何らかの「裏付け」がほしかったので、今回取り組むエイビアリーはEU基準をすべて満たすことにしました。さらにいえば、動物愛護団体ザ・ヒューメイン・リーグ・ジャパンが定める「高いアニマルウェルフェアを担保するケージフリー生産の基準」もクリアしています。

「黄金そだち」は飼料に道産米を10%以上配合することが定められています。うちはそれに加えて亜麻仁油を飼料として与えています。亜麻仁油はオメガ3(n-3)系脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含み、毎日の食生活に取り入れることでさまざまな生活習慣病の予防や改善に役立つとされています。パッケージには環境負荷低減の観点からプラスチック容器ではなく、容器には再生紙を採用しました。そのために専用のパック詰め機も新調したんですよ。

祖父が名寄で養鶏業を始めてから90年余りがたちます。その間に養鶏技術は格段に向上し、養鶏方法も、養鶏を取り巻く状況も大きく変化しました。ただしどんなに世の中が変わっても、人間が食べるという行為をやめない限り社会にとって食の仕事は必要で、僕自身この仕事をとても誇りに思っています。

現代は誰でも簡単にさまざまな情報にアクセスできるあまり、反対に、正しく理解することがとても難しい世の中になっています。そうした中で、飼い方を含めできる限り情報をオープンにして、組合員さんにはそれを理解した上で、自分が良いと思う卵を選択してもらえたらと思うんです。うちはケージ飼いの卵も生産する、コープの「不揃いの玉子たち」も引き続きやっていく、殻がさくら色の卵も扱っているし、赤い卵もある。今回、そこにエイビアリーが加わった。さまざまな選択肢から自分が気に入った商品を買っておいしく楽しんでもらえたのなら、僕としてはたまご屋冥利に尽きます。

少し先の話をすると、ゆくゆくは「黄金そだちの平飼いたまご」に道産米だけではなく、北海道産の子実コーン(飼料用トウモロコシ)も取り入れる計画です。これからも、少しずつでも地元のものを使っていけたらなと思っています。



プレスリリース提供:PR TIMES

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