• トップ
  • リリース
  • 人新世、シェアリング、多様性、ジェンダー、LGBTQ…現代における様々な社会問題や事象を “文化人類学”の視点で読み解いていく『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』が、6月21日(火)発売!

プレスリリース

  • 記事画像1

辰巳出版株式会社

人新世、シェアリング、多様性、ジェンダー、LGBTQ…現代における様々な社会問題や事象を “文化人類学”の視点で読み解いていく『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』が、6月21日(火)発売!

(PR TIMES) 2022年06月21日(火)11時45分配信 PR TIMES

ボルネオ島の狩猟採集民「プナン」と長らく行動をともにしてきた人類学者と一緒に、現代社会の“あたりまえ”を考え直す一冊『これからの時代を生き抜くための文化人類学入門』が、辰巳出版(本社:東京都文京区、代表取締役社長:廣瀬和二)より、2022年6月21日に発売されます。
[画像: https://prtimes.jp/i/93966/47/resize/d93966-47-518c13c4111434ce58b8-0.jpg ]




内容紹介


本書は、ボルネオ島の狩猟採集民「プナン」との日々を描いたエッセイ『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(亜紀書房)が話題となった人類学者・奥野克巳による最新の“文化人類学”の入門書になります。

シェアリング、生物多様性、ジェンダー、LGBTQ、贈与、マルチスピーシーズ、デザイン思考…といったホットワードを人類学の視点で取り上げ、《人新世》と呼ばれる現代を生き抜くためのヒントを、文化人類学を通して学んでいく一冊です。

【主な項目】
・地球規模の時間で人類を考える
・近親相姦の禁止が「家族」と「社会」を作った!?
・ボノボの全方位セックスは「子殺し」回避のため?
・複数の父親がいるベネズエラのバリ社会
・贈与と交換から人間の生き方を考える
・「ありがとう」という言葉を持たないプナンの人たち
・キエリテンの神話が語るリーダーの資質
・儀礼によって私たちは人生を生きる
・ボルネオ島先住民ブラワンは二度死体処理をする
・無礼講のコミュニタスが日常を活性化する
・自閉症の少年を癒すシャーマニズム
・人とカムイと熊が一体となるアイヌのアニミズム
・現代にも息づく呪術の世界
・人新世の時代に多種から考える
・人間中心主義を問い直す――人類学の存在論的転回
・自らを野に解き放つ「旅」としての文化人類学
など



本文より一部紹介

五つもジェンダーがあるブギス社会

日本では性別と性自認のずれが生じるトランスジェンダーの人たちは、しばしば「性同一性障害」と名指される傾向があります。そして、その解決としては、不可逆的な性転換手術に委ねられる場合が多いと言えるでしょう。それは医療の対象とされるわけです。

ところが、ブギス社会ではジェンダーは交替可能なものとされています。ある男性は、女装し女のしぐさ、振る舞いをすることで、思い立ったら今日からでもチャラバイのコミュニティに入り、暮らしていくことができるのです。反対に再び男性に戻りたいと思ったら、また男性の格好に戻り、男性の振る舞いをして、男性として生活していくことも可能です。

さらに、ブギス社会では「第五のジェンダー」として、両性具有者が位置づけられています。実際に両性具有の身体を持っているのかはわかりませんが、男性が女性の格好をして、宗教的な職能者として活動しています。このような、いわゆるシャーマンと呼ばれる人々が異性装をすることは、他の社会・文化でもよくあることです。

ともかく、ブギス社会では私たちの社会とは違って、ジェンダーは自由に交替することができます。これは、実はブギス社会だけに限られることではなく、広くはインドネシアとその周辺、ポリネシアなどに分布する性のあり方だと言えます。
<◆第2章 性とは何か より>

気前のよいビッグマンがプナンのリーダー
共同所有を社会全体に行き渡らせるためには、マレーグマの神話のようなわかりやすい物語が必要だったのかもしれません。マレーグマが自らたくさん持っていた尻尾を残らず分け与えてしまい、最後に自分の尻尾までなくなってしまったという神話は、プナンの人たちにとって非常に重要なメッセージを孕んでいたのです。というのは、自らのことを省みることなく、寛大に人々に分け与えることこそが、そこでは最も尊敬すべき、美しい振る舞いだからです。

プナン社会では、与えられたものをすぐさま他人に分け与えることを最も頻繁に実践する人物が、最も尊敬されます。そういう人物は、自分のところには何も残らないまでに、周囲の人々にものを分け与えます。彼は最も質素で、多くの場合、誰よりもみすぼらしいなりをしています。彼自身は、ほとんど何も持っていないからです。

そして何も持たないことに反比例して、彼は周囲の人々から尊敬を得るのです。そのような人物は、人々から「ラケ・ジャアウ」、英語で言うなら「ビッグマン」、つまり「大きい男」と呼ばれ、共同体の一時的なリーダーとなります。

そのようなリーダーのあり方は、高級スーツを身にまとったり、高価な時計を腕に着けたり、ピカピカの高級車を乗りまわしたり、平気で公金を私的に流用したりする先進国の一部のリーダーたちとなんと違っていることでしょうか。
<◆第3章 経済と共同体 より>

文化人類学は自然をどう捉えてきたのか?
本章では、人間(文化)と自然の関係について、これまでの文化人類学がどんな探究をしてきたのかを見ていきたいと思います。その上で、人新世と呼ばれる、人類だけでなく地球上の生物種、および地球そのものの存続が危ぶまれる時代に差し掛かった今日、文化人類学はその問題をどのように受け止め、どのように問い返していこうとしているのかを、お話ししていきます。

人新世という概念が持つ射程の広さからもわかるように、それは何も一学問にとどまる話ではありません。文化人類学が、私たちが生きる身近な生、私たちの日常を掘り下げて人間そのものを見てきたように、人新世の問題を受け止めた文化人類学は、我々がこれからの時代を生き抜く上で、重要な示唆を与えてくれるものと思われます。

文化人類学は近年、人新世のような大きな問題の中で考えることで、そもそも人間は人間というたったひとつの種だけで生きているわけではなく、動植物を含めたさまざまな多種に取り巻かれながら生きていることに、改めて注目するようになりました。

私たちはつい自分のあたりまえを振りかざして、物事を捉えがちです。人間を扱う学問としての文化人類学はこれまで、人間の文化や制度を探ることをあたりまえのこととしてきたのです。それは、人新世という問題と出会うことで、自らが人間中心主義な見方に陥っていたことに気づき始めたのだとも言えます。
<◆第5章 人新世と文化人類学 より>



目次


◆第1章 文化人類学とは何か
◆第2章 性とは何か
◆第3章 経済と共同体
◆第4章 宗教とは何か
◆第5章 人新世と文化人類学
◆第6章 私と旅と文化人類学



著者プロフィール


奥野克巳(おくの・かつみ)
立教大学異文化コミュニケーション学部教授。1962 年生まれ。82 年メキシコ先住民の村に滞在、83 年バングラデシュで上座部仏教僧、84年トルコを旅し、88 〜 89 年インドネシアを一年間放浪。94 〜 95 年ボルネオ島焼畑民カリス、06 年以降同島狩猟民プナンのフィールドワーク。
単著に『絡まり合う生命』『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(どちらも亜紀書房)など。共著・共編著に『マンガ人類学講義』(日本実業出版社)、『今日のアニミズム』『モア・ザン・ヒューマン』(どちらも以文社)など。共訳書にエドゥアルド・コーン著『森は考える』、ティム・インゴルド著『人類学とは何か』(どちらも亜紀書房)など。



商品概要


書名:これからの時代を生き抜くための文化人類学入門
定価:1,760円(本体1,600円+税)
体裁:四六判/272ページ(オール1C)
ISBN:978-4-7778-2873-9
発売日:2022年6月21日
発行:辰巳出版

ご購入はこちらから↓
【Amazon】https://www.amazon.co.jp/dp/4777828735/
【楽天ブックス】https://books.rakuten.co.jp/rb/17097857/




プレスリリース提供:PR TIMES

このページの先頭へ戻る