プレスリリース
日本板硝子株式会社(本社:東京都港区、代表執行役社長兼CEO:森 重樹、以下「NSG」)は、英国のグリーンゲート事業所において、バイオ燃料を100%利用したフロートガラス製造の実証実験に世界で初めて成功したことをお知らせします。本実験は、現在の主燃料である天然ガスに代わる持続可能な低炭素燃料の導入を検討する取り組みの一環として実施され、約80%ものCO2排出量削減効果*1を確認しました。
今回の試みは、製品の品質を保ちながら、低炭素燃料でガラス製造窯を安全に稼働させることが可能かどうか検証することを目的として、英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省のエネルギー革新プログラムの一環として実施されました。本プログラムには、総額710万ポンド(約11.3億円)の研究費が助成され、実験は、NSGグループを含む英国の研究・技術組織である「Glass Futures」が主導しています。
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この実験は、有機廃棄物から作られた持続可能なバイオ燃料を利用し、当社グループのPilkington United Kingdom Limited社(以下「ピルキントンUK社」)のグリーンゲート事業所(英国・セントへレンズ)のガラス製造窯において、4日間にわたり実施されました。実験では、現在の主燃料である天然ガスに比べて約80%ものCO2排出量削減効果*1を実現したうえで、16.5万平方フィート(約1.5万平方メートル )のフロートガラスの製造に成功しています。
NSGグループでは2021年8月にも、イングランド北西部全域の工業プロセスを脱炭素化する「Hynet産業燃料転換プロジェクト*2」の一環として、世界で初めて水素を用いたガラス製造の実証実験を成功させています。しかし一方で、水素燃料の実用化には水素自体の製造コストや供給インフラの整備など、中長期での様々な課題が残されており、グリーン水素といったゼロカーボンエネルギーが本格的に導入されるまでの移行期に使用可能な低炭素燃料の検討が急がれていました。
今回の実験成功により、バイオ燃料が従来の天然ガスに代わる現実的な低炭素燃料であることを証明するとともに、ゼロカーボンエネルギーが開発・実用化されるよりも早く、ガラス製造工程から発生するCO2を大幅に削減できる可能性が示されました。NSGグループはバイオ燃料の早期導入を検討するとともに、これも含めた様々な取り組みによってCO2排出量の少ないガラス製造を目指すことで、グループのサステナビリティ目標の達成とサステナブルな社会の実現を推進してまいります。
以 上
*1 天然ガス同様、燃焼時にCO2が排出されるが、バイオ燃料の原料である植物が成長過程で光合成をおこない
CO2を吸収しているため、トータルで実質のCO2排出量を抑えられる
*2 イングランド北西部における産業、一般家庭および交通機関から排出されるCO2削減に取り組む共同事業体
https://hynet.co.uk/
[関係者のコメント]
ピルキントンUK社 マネージングディレクター Neil Syder
「Glass Futuresとの世界初の試みは、バイオ燃料が天然ガスに代わる現実的な低炭素化手段であることを証明するものです。昨年の夏、私たちは世界で初めて水素によるガラス製造窯の燃焼を実現し、ネット・ゼロ・インダストリーとしての未来に向けて大きな一歩を踏み出しました。しかし、ガラスメーカーが天然ガスの代わりに水素と電化を利用できるようになるには、まだ多くの課題が残されており、バイオ燃料は重要な移行期燃料となっています。この実験の成功は、ガラス製品を利用するサプライチェーンの関係者にとっても重要な事実です。我々は、CO2排出量を削減しながらガラス製造を可能にすることに大きく近づいており、これは持続可能な建築環境を作るのに役立つと考えます。」
研究・技術組織「Glass Futures」 ゼネラルマネージャー Aston Fuller氏
「わずか1年前にコンテナ炉で実験されていた技術が、今回、フロートライン製造窯で実証できたことは素晴らしい事実です。バイオ燃料利用の実現は、英国のガラス産業にとってエネルギー集約型産業の持続可能性をリードするために真のチャンスとなるものです。この試みは、産官学のパートナーが協力して将来の大きな課題に取り組むことで、その課題を達成できることを示す素晴らしい事例です。」
エネルギー・クリーン成長担当大臣 Greg Hands氏
「700万ポンドを超える政府資金が助成された今回の燃料転換実験は、化石燃料の依存から脱却するために、私たちがいかに産業界の脱炭素化を支援しているかを示しています。この試みは、CO2排出量を削減し、英国のグリーン産業革命を推進するために不可欠なものです。」
セントヘレンズ審議会 気候変動担当審議官 Mancyia Uddin氏
「ガラスの産地(フロートガラスが世界で初めて製造された)であるここセントヘレンズで、バイオ燃料が天然ガスに代わる持続可能な燃料となり、ガラスの製造工程で排出されるCO2を80%も削減できるという世界初のデモンストレーションに立ち会えて光栄に思っています。2040年までにネット・ゼロを目指すという独自の目標を掲げているセントへレンズとしては、産業界が日々の取り組みを通じて炭素削減の一翼を担っていることは素晴らしいことであり、その実現に向けて今後も緊密に連携していきます。」
NSGグループのサステナビリティ活動指針について
NSGグループは、中期ビジョン「高付加価値の『ガラス製品とサービス』で社会に貢献するグローバル・ガラスメーカーとなる」を掲げ、3年間の中期経営計画「リバイバル計画24」 において、年率2%のCO2排出量削減に取り組んでいます。これにより、2030年のCO2排出量(スコープ1および2)を2018年対比で21%の削減を達成し、また将来のカーボンニュートラルの達成に向けた、より具体的な道筋を早期に示していきたいと考えており、サステナブルな社会の実現に向け様々な活動を推進してまいります。
リバイバル計画24について
https://www.nsg.co.jp/-/media/nsg-jp/ir/ir-presentations/mtprp24presentation2021_j01.pdf
2021年9月3日リリース 「世界初、水素エネルギーによる建築用ガラスの製造実験に成功」
https://www.nsg.co.jp/ja-jp/media/ir-updates/announcements-2021/ag-production-powered-by-hydrogen
NSGグループ(日本板硝子株式会社およびそのグループ会社)について
NSGグループは、建築および自動車用ガラスとクリエイティブ・テクノロジー分野で事業を展開する世界最大のガラスメーカーのひとつです。
建築用ガラス事業は、各種建築用ガラス、太陽電池パネル用ガラス等を製造・販売しています。
自動車用ガラス事業は、新車用(OE)ガラスや補修用(AGR)ガラスの分野で事業を展開しています。
クリエイティブ・テクノロジー事業の主要製品は、プリンターやスキャナーに用いられるレンズや、タイミングベルトの補強材であるグラスコードやガラスフレークを中心とする特殊ガラス繊維です。
NSGグループホームページ: https://www.nsg.co.jp
<お問い合わせ>
(報道関係等) 広報部 Tel:03-5443-0100
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