プレスリリース
ナティクシスの調査によると、日本のファイナンシャル・アドバイザーは、厳しい市場環境の中、今後3年間で2桁の成長を目指していることが明らかに
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ(以下、「ナティクシスIM」)が発表した「金融プロフェッショナルのグローバル調査:2022年」によると、2022年上半期に世界の株式・債券市場が2桁の調整をしており、インフレが急激に上昇しているにも関わらず、日本の金融プロフェッショナルは、2022年には5.0%、今後3年間では10.0%のビジネス成長を見込んでいることが明らかになりました。これはグローバルの金融プロフェッショナルと同じ傾向です。
ナティクシスIMは、日本の150名を含む、富裕層向け資産管理者(ウェルス・マネージャー)、登録投資アドバイザー、ファイナンシャル・プランナー、独立系ブローカー・ディーラーなど世界中の金融プロフェッショナル2,700名を対象に調査を行いました。今回の結果では、多くの金融プロフェッショナルが、顧客の期待値を管理しつつ投資戦略を調整する中で、成長目標を達成するのは困難であることが明らかになりました。
2022年には、平和、繁栄、成長という長年続いた投資の前提条件が一変しました。10年間続伸した株価は17%調整しました。サプライチェーンの混乱は10年続いた世界同時成長を中断させ、インフレ率は40年来の高水準に達し、中央銀行は利上げを実施しました。ロシアはウクライナに侵攻し、数十年にわたる欧州の平和に終止符を打ちました。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの日本法人の代表取締役社長の井上真司は次のように述べています。「多くの課題があるにもかかわらず、グローバルの金融プロフェッショナルは楽観的であり、積極的な成長目標を掲げています。今後は、実際に世界がどれだけ変化したかを見極め、前提条件を見直し、ポートフォリオや事業戦略を新しい投資環境に適応させる必要があります」
ビジネスを成長させるためには、市場だけでは不十分
日本の金融プロフェッショナルは、ビジネス成長の手段として、新規顧客の獲得は最も容易な手段ではないと見ており、実際日本の回答者の40%(グローバル:49%)が全成長ドライバーの中で最も困難だと回答しています。
日本のファイナンシャル・アドバイザーは、2023年にビジネスを強化するための最重要項目としてテクノロジーへのアクセスを挙げており(日本:37%、グローバル:38%)、また、最大の課題として人材不足を挙げています。
過去10年見られたように市場パフォーマンスが追い風になることは期待できない中、今後、金融プロフェッショナルは新規顧客から新たな資産を獲得することに目を向けると思われます。しかしながら、日本のファイナンシャル・アドバイザーが、顧客基盤の合理化(日本:19%、グローバル:25%)や後継者育成計画(日本:13%、グローバル:24%)など、他の成長ドライバーに注力する傾向はグローバルと比較して低い傾向にあります。
特に、後継者育成計画は、日本のファイナンシャル・アドバイザーが挙げる成長項目の中で最下位となっており、日本の回答者の37%(グローバル:22%)が極めて困難な項目としてコストを挙げています。
潜在顧客に注力
新規顧客や新規資産を獲得するために、日本の金融プロフェッショナルは年齢別に潜在顧客をセグメント化し、働き盛りの個人に焦点を当てています。日本のファイナンシャル・アドバイザーの多くは、35歳から60歳の定年前の個人(日本:80%、グローバル:79%)に焦点を当て、退職後の収入計画(リタイアメント・インカム・プラン)として貯蓄や投資を年金資金に振り向けるサービスに力を入れています。
日本では、世界全体と比較して、「女性」や「LGBT」のセグメントに焦点をあてた商品開発が進んでいるようです。日本の回答者の約33%(グローバル:29%)が、女性投資家のニーズに合わせた商品提供に注力していると回答しています。また、LGBTQ投資家セグメント(日本:23%、グローバル:12%)にも成長余地があると考えているようです。LGBTキャピタルによると、この市場セグメントの全世界での資産総額は、年間3.9兆ドルのGDPに相当 し、世界第4位の経済大国であるドイツ(3.6兆ドル) を上回る水準にあります。また、日本の回答者が、「女性」(13%、グローバル:6%)と「LGBTQ」(11%、グローバル:2%)のセグメントを最優先事項として挙げた割合が、グローバルとの比較で高いことも注目に値します。これは、日本と同じ水準で「女性」セグメントを最優先事項として挙げたシンガポールを除き、調査対象となった他のどの市場も上回っています。
2022年後半も楽観的な見通し
多くの困難があるにもかかわらず、金融プロフェッショナルは楽観的な見方を保っています。市場の下落が年末まで続くと見ている人はあまりいません。しかし、市場予測はポジティブなものの、金融プロフェッショナルは依然として多くの懸念材料を抱えています。日本のファイナンシャル・アドバイザーは、今年の下半期のポートフォリオ・リスクとして、金利上昇(日本:42%、グローバル:48.5%)と地政学的な緊張(日本:43%、グローバル:56.5%)を最大のリスクとして挙げています。一方、世界全体では、インフレ(56.9%)と地政学的な緊張が最大のリスクと見られています。
金利は長期におよぶリスク懸念項目です。しかし、過去10年間の懸念は、低金利を相殺する利回りを生み出すことであったのに対して、2022年の課題は金利上昇の環境です。金融プロフェッショナルは、デュレーションリスクの上昇を考慮し、債券戦略を適応させることが必要です。ロシアのウクライナ侵攻は、地政学的および経済的な秩序を揺るがしました。この紛争はインフレにも著しい影響を与えています。最も顕著なのは、紛争によってロシア産の石油と天然ガスの流通が妨げられ、OPEC(石油輸出国機構)産への需要が急増したため、エネルギー価格が記録的な水準まで上昇したことです。
インフレに対する懸念は米国において最も顕著です(米国:66%、日本:29%)。米国消費者は1980年代以来の高いインフレを経験しており、世界全体の金融プロフェッショナルの57%(日本:29%)が、インフレは顧客のポートフォリオにリスクをもたらすと見ています。一方、パンデミックからの回復が遅れ、インフレ率が低水準で推移してきた日本は調査対象の他のどの国よりもインフレを懸念として挙げる回答者が少なくなっています。
金利とインフレが資産クラスに対する見方に影響
多面的なリスク評価という難しい面があるものの、金融プロフェッショナルは顧客のポートフォリオに対して投資推奨を行う必要があります。日本の金融プロフェッショナルの57%(グローバル:72%)は、顧客が自分のポートフォリオにインフレ対応策が施されているかどうかを尋ねていると回答しています。金融プロフェッショナルは、低金利と長期の株価上昇から、金利上昇と株価急落へと変化した市場を見る際に、どの資産クラスが顧客のポートフォリオに最も適しており、最も適していないかについて明確な見解を持っていますが、日本の金融プロフェッショナルは世界の専門家と比較して、やや異なる見解を持っていることが分かりました。
債券:利回りの改善により、日本のファイナンシャル・アドバイザーの21%(グローバル:25%)が債券に魅力を感じ始めています。
株式:グローバルな金融プロフェッショナルの39%が、株式の魅力があると回答しました(魅力がないとの回答は31%)。しかし日本は逆で、インフレと金利上昇を考慮して株式の魅力が増したと答えたファイナンシャル・アドバイザーは32%にとどまり、38%が実際には魅力が薄れたと回答しています。また、30%のファイナンシャル・アドバイザーが、この環境下で株式の魅力に関する見方はどちらとも言えないと回答しています。
オルタナティブ投資:日本のファイナンシャル・アドバイザーの44%が、現在の市場環境ではオルタナティブ投資がより魅力的になっていると回答しています。
インフラ:こうした環境下では、金利に依存しない利回りを獲得できるインフラは、日本の金融プロフェッショナルの42%(グローバル:50%)が魅力を感じているのに対し、魅力が薄れたと回答したのは22%(グローバル:17%)にとどまりました。
プライベート資産:過去5年間に大手機関投資家や富裕層の投資戦略で焦点となっていたプライベート資産も同様に魅力的であるとされ、日本の金融プロフェッショナルの33%がこの資産クラスをより魅力的であると感じています。
商品:商品は、インフレが進むと価格が上昇することから、従来からインフレヘッジの対象として捉えられてきました。日本の金融プロフェッショナルの45%が、現在の市場において商品に魅力を感じていると回答しています。
デジタル資産:日本のファイナンシャル・アドバイザーの30%が、現在の市場ではデジタル資産がより魅力的になっていると回答しています。最近のパフォーマンスからは、デジタル資産全般と暗号通貨は、株式市場と直接的な相関関係にあることがうかがえます。
暗号通貨とNFTが投資家の想像力をかき立てた
近年、定期的に2桁、時に3桁のリターンさえも記録してきた暗号通貨やNFTは、投資家の想像力をかきたてているようです。日本の金融プロフェッショナルのほぼ半数(45%、グローバル:48%)が、デジタル資産に対する顧客からの需要が高まっているとし、日本の金融プロフェッショナルの58%(グローバル:42%)が、顧客から特にNFTについて詳しく聞かれると回答しています。
しかし、デジタル資産は規制されておらず、変動も大きいため、金融プロフェッショナルは顧客の暗号通貨への投資に関しては慎重です。日本のファイナンシャル・アドバイザーの43%(グローバル:49%)が、暗号通貨やNFTは殆どの個人投資家に適切ではないと考え、顧客にそのように助言していると回答しています。
一方で、金融プロフェッショナルからの助言や推奨が得られないにもかかわらず、投資家は自らこのアセットクラスへの道を切り開いています。世界全体では回答者の56%(日本:53%)がデジタル資産を保有していると回答しています。
ナティクシスIM日本代表の井上真司は、次のようにも述べています。「金融プロフェッショナルは、より不安定な市場環境を乗り切らなければならず、個人投資家の期待値をうまくコントロールしつつ個人投資家の反応を予測する必要があります。私たちの任務は、クライアント自身で期待値をコントロールできるよう導くことです」
「金融プロフェッショナルのグローバル調査:2022年」のレポート全文(英語)はこちらよりご覧いただけます:https://im.natixis.com/intl/research/2022-financial-professionals-report
調査方法
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの「金融プロフェッショナルのグローバル調査:2022年」は、2022年3月から4月の期間に、調査会社CoreData Researchにより、インターネット調査に加えて、定性的情報に関してはオンライン会議での聞き取り調査にて実施されました。同調査では、北米、欧州大陸、英国、アジア、中南米を含む世界の16カ国の証券会社のアドバイザー(ワイヤハウス・アドバイザー)、登録投資顧問、独立系ブローカーおよびディーラーを含む、44億ドルを上回る顧客資産残高を有する2,700名の金融プロフェッショナルからの回答を得ました(有効回答者数2,700名)。英国では、CoreDataは289億ドルを上回る資産残高を有する、平均22年の経験を備えた300名の金融プロフェッショナルを対象に調査を実施しました。
ナティクシス・インベストメント・インスティテュートについて
ナティクシス・インベストメント・インスティチュートは、Active Thinking(R)のもと、投資をとりまく環境を形づくる重要な問題に対する様々な考察を行っています。同機関は世界中で、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの投資家心理、マクロ経済、ポートフォリオ構築の分野における専門知識や運用子会社およびグループ外の専門家による独自の見解など、幅広い知見を集約させています。全方位からの市場見解や投資トレンドの洞察に満ちた分析を提供することで、問題に関する議論をより根拠のあるものとすることを目的としています。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズについて
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、マルチ・アフィリエイトのアプローチにより、20社を超えるアクティブ運用会社の独立した思考と集中した専門知識をお客様に提供しています。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、世界最大級の資産運用会社1 (運用総資産額:1兆4,000億ドル、1兆1,870億ユーロ)2であり、革新的なESG(環境・社会・ガバナンス)戦略やサステナブル・ファイナンスの推進を目的とした商品など、資産クラス、スタイル、ビークルを問わず、多様なソリューションを提供しています。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、お客様のパートナーとして、市場環境や見通しに関する洞察を提供するとともに、長期的な目標に沿った戦略を提供します。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは、バンク・ポピュレールおよびケス・デパーニュのリテール・ネットワークを通じてフランス第2位の銀行グループBPCEのグローバル金融サービス部門に属しており、パリとボストンに本社を置いています。ナティクシス・インベストメント・マネージャーズのグループ運用会社は次の会社が含まれます。AEW、AlphaSimplex Group、DNCA Investments3、Dorval Asset Management、Flexstone Partners、Gateway Investment Advisers、Harris Associates、Investors Mutual Limited、Loomis、Sayles & Company、Mirova、MV Credit、Naxicap Partners、Ossiam、Ostrum Asset Management、Seeyond、Seventure Partners、Thematics Asset Management、Vauban Infrastructure Partners、Vaughan Nelson Investment Management、WCM Investment Management。投資ソリューションは、ナティクシス・インベスト・マネージャーズ・ソリューションズおよびナティクシス・アドバイザーズを通じても提供されます。管轄地区によりご提供できない運用戦略もございます。詳細は、当社ウェブサイト(im.natixis.com)およびLinkedIn(linkedin.com/company/natixis-investment-managers)をご覧ください。
ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの販売・サービスグループには、ナティクシス・ディストリビューションLLC、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連会社によってアドバイザリーサービスが提供されている様々な米国登録投資会社の目的限定型証券会社及び販売会社、ならびにナティクシス・インベストメント・マネージャーズS.A.(ルクセンブルク)、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ・インターナショナル(フランス)、およびその傘下の欧州およびアジアにおけるすべての販売関連のサービス会社を含みます。
Cerulli Quantitative Update: Global Markets 2021によれば、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズは2020年12月末時点の受託運用資産(AUM)規模で世界第15位となっています。
2022年3月31日時点の運用総資産額は1兆3,200億ドル(1兆1,870億ユーロ)です。これには、想定資産、資産運用サービスを提供している資産、グロス資産、少数株主が所有する関連企業の資産、およびナティクシス・インベストメント・マネージャーズの関連企業が管理またはサービスを提供しているその他の規制対象外の資産が含まれている可能性があります。
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