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グリーンイノベーション基金事業「次世代航空機の開発」プロジェクトで新たな4テーマに着手

(PR TIMES) 2024年04月09日(火)13時15分配信 PR TIMES

―カーボンニュートラルで航空機産業の国際競争力強化を目指す―


 NEDOは、グリーンイノベーション基金事業「次世代航空機の開発」プロジェクト(以下、本プロジェクト)で、液体水素燃料を用いた燃料電池電動推進システムや航空機電動化コア技術の開発など、新たに4件の研究テーマを採択しました。
 これにより、カーボンニュートラル社会に不可欠な次世代航空機の機体装備品について、要素技術レベルでイノベーションを促進するとともに、将来技術における欧米企業と日本企業による共同研究開発の促進や国際標準化活動とも組み合わせながら、日本の航空機産業の国際競争力の飛躍的強化を目指します。
 NEDOは本プロジェクトを通じて、2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、航空機分野における温室効果ガス(GHG)の排出量削減に貢献します。

1.グリーンイノベーション基金事業について
 日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までにGHGの排出量を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど、現行の取り組みを大きく加速させる必要があります。このため、経済産業省はNEDOに総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業(以下、本基金事業)を立ち上げました。本基金事業はグリーン成長戦略※1で実行計画を策定している重点分野を支援対象としています。また、令和4年度第2次補正予算により3000億円が積み増しされており、令和5年度当初予算により4564億円が積み増しされました。
 なお、NEDOは本基金事業の取り組みや関連技術の動向などをわかりやすく伝えていくために、「グリーンイノベーション基金事業 特設サイト※2」を公開しています。

2.本プロジェクトの背景
 本プロジェクトは重点分野のうち、航空機産業を対象としています。
 航空需要は新型コロナウイルス感染症の拡大により世界的に大打撃を受けましたが、2024年には2019年と同水準まで回復し、その後も新興国などの経済成長を背景に年3%程度の持続的な成長※3が見込まれています。加えて、航空機産業は広い裾野産業を有することから、適用技術が他の分野に波及する効果も期待されます。
 機体・エンジンの国際共同開発において、現状、日本の航空機産業の参画比率は約2〜3割です。今後、世界的にカーボンニュートラルを目指す動きを市場機会とし、水素や電動化、素材といった日本の要素技術の強みを最大限活用することで、国際共同開発への参画比率向上を目指すとともに、航空分野の脱炭素化に貢献していくことが求められます。
 このような背景の下、NEDOは経済産業省が策定した研究開発・社会実装計画※4に基づき、このたび本プロジェクトとして既存のテーマ※5に加えて、新たに研究テーマ4件を採択しました。液体水素燃料を用いた燃料電池電動推進システムやそのコア技術の開発のほか、今後の航空機電動化の中核を支える電力制御、熱・エアマネジメントシステム、さらに電動化率向上技術の開発に取り組みます。
 NEDOは本プロジェクトを通じて、航空機システムの要素技術レベルでのイノベーションを促進し、化石燃料に代わるエネルギーにより推進する次世代航空機の技術開発を実施します。これにより、国際協力開発や、将来技術における欧米企業と日本企業間の共同研究開発を促進するとともに、国際標準化活動を進め、日本の航空機産業の国際競争力の飛躍的強化に貢献します。

3.採択テーマ
【1】事業名
グリーンイノベーション基金事業/次世代航空機の開発プロジェクト
【2】予算
306億円(NEDO支援規模)
【3】期間
2024年度〜2030年度(予定)
【4】採択テーマ
【研究開発項目3】液体水素燃料を用いた燃料電池電動推進システムとコア技術開発
〔1〕水素燃料電池電動推進システム技術開発
 液体水素を用いた4MW級の燃料電池電動推進システムを開発し、本プロジェクト終了時までに技術成熟度レベル(TRL)6以上を実現します。
 航空機用途における燃料電池電動推進システムを構成するコンポーネントの技術開発を行うことで、日本の航空機産業が海外企業の開発プロジェクトに参画、連携することを推進していきます。また、各コンポーネントについては、他分野を含め優れた技術・ノウハウを可能な限り活用することとします。加えて、当該技術に関連する国際標準化活動への参加、および認証取得に向けた安全性を示すためのロジック・方針の検討も技術開発と並行して進めます。
〔2〕水素燃料電池コア技術開発
 航空機向けに耐熱性、耐久性といった性能を飛躍的に改善する水素燃料電池材料などのコア技術の開発を行います。
【研究開発項目4】電力制御、熱・エアマネジメントシステム及び電動化率向上技術開発
〔1〕電力制御及び熱・エアマネジメントシステム技術開発
 航空機の電動化の中核を支える電力制御、熱・エアマネジメントシステムにおけるコア技術についてプロジェクト終了時までにTRL6以上を達成し、電力制御および熱・エアマネジメントシステムを統合したシステムを確立します。
〔2〕電動化率向上技術開発
 電動化率向上技術の一つとして、航空機の電動モータによる地上走行(電動タキシング)機能の開発を行います。離着陸時の速度/衝撃度への耐性やモータと一体化した高効率冷却機能などを実証します。プロジェクト終了時までに燃費向上と安全基準の充足を両立しつつ、TRL6以上を達成します。

採択テーマの詳細と実施予定先は、下記のNEDOホームページをご覧ください。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101735.html

【注釈】
※1 グリーン成長戦略
 日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日、経済産業省が関係省庁と連携して、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
※2 グリーンイノベーション基金事業 特設サイト
https://green-innovation.nedo.go.jp/
※3 2024年には2019年と同水準まで回復し、その後も新興国などの経済成長を背景に年3%程度の持続的な成長
 (参考)IATA(国際航空運送協会)「Waypoint2050」 central scenario
※4 研究開発・社会実装計画
 グリーンイノベーション基金の適切かつ効率的な執行に向けて、経済産業省においてグリーンイノベーション基金で実施する本プロジェクトの内容を「研究開発・社会実装計画」 (2023年11月改訂)として策定しました。
https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/gifund/pdf/gif_16_randd_r.pdf
※5 既存のテーマ
 (参考)NEDOリリース(2021年11月5日)「グリーンイノベーション基金事業で、次世代航空機に関する研究開発事業に着手」
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101488.html



プレスリリース提供:PR TIMES

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