プレスリリース
世界のネットゼロへの移行状況を分析するレポート「Economic Transition Monitor」を発行- C20:CO2排出量の多い20カ国に関する考察
2050年にネットゼロ目標を達成するのはイギリスのみ。日本の達成見込みは2168年と試算
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社(代表取締役社長兼CEO:佐藤秀樹、所在地:東京都港区)はこのたび、ネットゼロへの移行状況を定期的にモニタリングするためのレポート「Economic Transition Monitor」第1号を発行いたしました。
第1回目のレポートでは、CO2排出量の多い20カ国を『C20』と名付け、各国が設定したネットゼロ目標について考察しました。レポートによると、世界全体の排出量は増え続けており、気温上昇を1.5℃以内に抑えられるかどうかは疑問が残るとしています。またレポートでは、C20各国のネットゼロの目標年と現状維持の場合の達成見込の分析もされており、C20の中では唯一イギリスのみが目標達成であることも明らかになっています。日本については、現状維持の場合の達成見込みは2168年と試算されました。
主な結論は以下の通りです:
・世界全体の排出量は増え続けており、気温上昇を1.5℃以内に抑えられるかどうかは疑問が残る
・C20諸国のうち7カ国がネットゼロの目標年度を設定
・イギリスのみが2050年にネットゼロ目標を達成する見込み、日本は2168年と試算
・経済活動におけるCO2強度[1]の削減に不可欠な新たなテクノロジーを、発展途上の国々と共有することが必要
・政府部門が気候変動対策を主導する一方、民間部門は資金を正しい方向に配分する重要な役割を担う
[1] 経済活動当たりのCO2排出量。ここでは排出量をGDPで除した値
投資戦略部 部長 セルフ・インデックス&ESG事業推進担当の内誠一郎は、当レポートに関して次のように述べています。「世界130か国以上が2050年カーボンニュートラル社会への移行にコミットしていますが、各国による具体的な取組みはこれからです。その取組みが実行されているかどうかを私たちが把握するためには、世界各国のCO2排出量や削減傾向を定期的にモニタリングすることが必須です。インベスコは、「Economic Transition Monitor」を通じてその基盤となる情報を定期的・継続的に発信していきます。私たちは、CO2排出量や低炭素社会への移行が長期的には経済情報に反映されることになると考えており、「Economic Transition Monitor」はそのための有益な情報源として意義深いと考えます。」
C20:CO2排出量の多い20か国
2020年時点における世界のCO2排出量の80%を20カ国が占めています。中国の排出量が圧倒的に多い結果となっていますが、これには注意が必要です。CO2排出量は、「人口×一人当たりGDP×GDP当たり排出量」なので、他の条件が同じであれば、人口が多い国ほど排出量も多くなるからです。つまり、排出量は一人当たりGDPと経済活動におけるCO2強度にも依存します。人口やGDPが一定とすれば、排出量を削減するためにはGDP当たりのCO2強度を削減することが必要になります。そのため、当レポートでは、一人当たりCO2排出量と、GDP当たりCO2排出量も併せて分析しています。
さらに、通常使用されている生産ベースの排出量(国内での経済活動による排出量)だけではなく、消費ベースの排出量、すなわち経済活動において消費される財やサービスの生産に必要な排出量(貿易の流れを考慮した構成)も重要と考えています。これにより、消費される財の原産地に関係なく、国民のライフスタイルによる選択に起因する排出量を測定することが可能になります。たとえば、先進国で消費されるモノの多くが新興国で生産されるという貿易活動の現実があることから、生産ベースでの排出量データの場合は、先進国の排出量が少なく、新興国の排出量が多くなるという不公平な点が指摘されています。そのため、消費ベースの排出量も確認することは、経済・貿易実態を踏まえると非常に重要になります。
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各国の現状:長く険しい道のり
C20諸国のうち17カ国がネットゼロの目標年度を設定(法定化または公表)しています。C20のうち、まだ3カ国はネットゼロ目標すら掲げていないことから、私たちの道のりが長く険しいことが分かります。最近の傾向から考察すると、イギリスのみが2050年にネットゼロ目標を達成する見込みですが、1カ国が達成したところで問題が解決しないことは言うまでもありません。イギリス以外の国々のうち8カ国は、依然として一人当たりの排出量が増加しており、ネットゼロを達成するためにはその傾向を解消する必要があります。なお、日本においては、一人当たりのCO2排出量は世界平均の2倍、ネットゼロの達成見込みについては、2168年という試算結果になっています。
テクノロジー開発の重要性
人口が増加し続け、新興国が発展して所得が増える中で、世界全体の排出量を減少させるには、経済活動におけるCO2強度を大幅に引き下げることが必須になるため、テクノロジー革新に大きく頼らざるを得ないことになります。つまり、新興国の経済発展は、先進国とは異なる方法で実現されなければなりません。そのためには、新たな技術への大規模な投資だけでなく、すべての国がクリーンな方法で発展できるような技術共有や資金援助が必要になります。当レポートではテクノロジー開発の大まかな潮流も紹介しており、今後も定期的に紹介する予定です。
本レポート詳細につきましては、以下よりご確認いただけます。
「Economic Transition Monitor ネットゼロへの道筋」 第一号
https://www.invesco.com/content/dam/invesco/jp/ja/pdf/insights/esg/2022/Economic_Transition_Monitor_Dec_2021_JP.pdf
【ご参考】 国別データ:日本(レポートより抜粋)
[画像2: https://prtimes.jp/i/5698/36/resize/d5698-36-902a52bc53c235b6764b-3.png ]
以上
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