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認定特定非営利活動法人CALL4

CALL4、「神宮外苑を守ろう訴訟」のサポートを開始

(PR TIMES) 2023年10月09日(月)06時40分配信 PR TIMES

https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000120

日本初(※1)の公共訴訟支援に特化したウェブプラットフォームCALL4(コールフォー)(運営:認定特定非営利活動法人CALL4、代表理事:谷口太規)は、「神宮外苑を守ろう訴訟」のサポートを本日より開始いたします。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/45445/34/45445-34-3b23de00274ffe1877ad0ccb6e190d34-1200x800.jpg ]

100年もの間、人々により守られ、親しまれてきた神宮外苑が今、破壊の危機に瀕しています。都民のみならず国民全ての貴重な歴史的遺産であり、自然遺産である神宮外苑を現在の状態のままで次世代へ繋いでいきたい。行政の恣意的な手続きをただしたい。その思いで周辺住民らが、2023年2月に東京都に再開発の認可取り消しを、7月に新宿区に樹木伐採の認可取り消しを求める訴訟を提起しました。

2036年に完成予定の再開発計画では、3,000本を超える樹木が伐採され、神宮球場と秩父宮ラグビー場は場所を変えて建て替えられ、高さ200メートル近い超高層の商業ビルやホテル、スポーツ関連施設などが造られます。このような大規模な再開発は少なくとも市民を交えた議論と検討の上で実施されるべきですが、十分な検討・検証もされないまま、今まさに樹木の伐採が始められようとしています。
※1 日本国内における「公共訴訟支援に特化したウェブ支援プラットフォーム」として、2019年9月に弁護士による見解など自社調査した結果
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再開発の問題点
・100年もの長い間守られてきた景観や環境が失われる
風致地区に指定されている場所の3000本以上の樹木が伐採されることで、これまで守られてきた景観や環境が大きく損なわれます。樹木が育つには何十年もの年月が必要です。100年もの長い間大切に育て親しまれてきた樹木を一度伐採してしまったらそれを取り返すのは容易ではありません。
また、歴史的建造物と言える神宮球場及び秩父宮ラグビー場は建て替えのため取り壊され、その建設工事の影響で、建国記念文庫の森はほぼ失われ、絵画館前の芝生広場は1/3となり、ラグビー場前の銀杏並木や4列の銀杏並木は将来的に枯れる懸念が指摘されています。

・公益性の高い施設が廃止される
都の計画では「世界に誇れるスポーツクラスター」が目的に掲げられていますが、これまで多くの一般市民が利用し親しまれてきた軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど公益性の高い施設が全て廃止される計画です。スポーツ施設として唯一残るのが高額な会員制テニスクラブというのは、公平性を欠いています。

・近隣住民への影響:騒音、強風など
近隣住民は、10年以上に及ぶスタジアム建設期間中、騒音の被害に悩まされます。超高層ビルが複数立つことによる強風の被害も懸念されています。

・気候変動が加速してしまう
今回の再開発によって56.5万トンものCO2が排出される、とされています。仮に10年計画で年間5.65万トンを排出するとすると、その量のCO2を吸収するには0.64万ヘクタールの森林が必要となるといわれています(東京の森林の約8%)(※2)。
さらに外苑の樹木を伐採することでCO2の吸収量も低減します。これらによって加速される気候変動による被害を受けることにもなります。
※2 出典「230217神宮外苑再開発事業の施行認可の撤回及び環境影響評価の継続審査に関する要請書」 https://nu-ae.com/tokyo/230217yousei/

裁判で争う行政手続上の違法
大きくは3つの点で、今回の行政手続が違法であると考えています。

1.制度の濫用である
・本来適用することが不合理な「公園まちづくり制度」を適用
「公園まちづくり制度」とは、都市計画公園区域内の、まだ公園として整備できていない空間(未供用区域)の一部を再開発できるようにすることを目的とするもので、本来は「公園として整備できていない」エリアが対象の制度です。ところが、神宮外苑地区の再開発にあたっては、現状のままで公園となるラグビー場等の敷地を「公園として整備できていない」区域として扱っています。さらに、既に公園として利用される区域(供用区域)である神宮球場の敷地などを含む土地を、都市計画公園区域から外し、都市計画公園では建てられないオフィスビル等を建てられるようにしました。

このようにして実施される再開発は本来の「公園まちづくり制度」の趣旨から大きく逸脱する運用であり、制度の悪用又は濫用というべきです。

・一部の事業者の利益のために高層ビル建設を可能に
神宮外苑を都市計画の公園区域から外したのは、本来は建てることができなかったはずの高層のオフィスビルを建設できるようにするためです。これに加えて、本計画はいわゆる容積率の移転制度を用いて、超高層ビルを建設できるようにしました。本来建物を建てるには市街地の環境を保護するために容積率の制限がありますが、その例外として容積率の移転(余った容積を近くの敷地に譲ること)を行うことにより、超高層ビルの建設が可能となります。しかし、そもそも容積率の移転はあくまで原則に反する例外的な規制の解除であり、神宮外苑地区では適用すべきではありません。この点について東京都都市計画審議会では十分な説明と審議がされておらず、その審議には瑕疵があります。

景観や環境を損なう高層ビルの建設及びそのための制度の濫用が、一部の事業者の利益のために進められているのではないでしょうか。

2.科学的判断でない
・環境影響評価が十分になされていない(審議会に出すべき情報が出されていない)
東京都環境影響評価条例による手続である、環境影響評価(アセスメント)を受けるに際して、事業者は条例の趣旨に反し、また環境影響評価審議会の会長、部会長、委員の指示を無視し、必要な資料を提出していません。それにもかかわらず、事務局である東京都環境局は、一貫して早期終了を画策しました。

国際影響評価学会日本支部からも、環境影響評価審議会の進め方にも問題があった、「科学的な議論が極めて不十分だった」と指摘を受けています。

3.非民主的である
この計画には東京都と新宿区が関わっていますが、いずれも行政が市民の声を聞くことなく計画を推し進めています。

・議論が行政内部の会議で行われ、市民参加の機会が確保されていない
東京都は、この公園まちづくり制度の適用について、「非公開」としました。東京都民が知らない密室で議論して、都市計画法の趣旨に反した運用で今般の適用決定を行ったのです。
法(都市計画法)に定められている公聴会や縦覧・意見書等の市民参加が全く行われていないという意味において、その手続きが適正とは言えません。

・秘密裏に風致地区の変更を行い、再開発・樹木伐採の許可が出されている
新宿区は、2020年に東京都の要請に基づいて、神宮外苑の再開発地区を規制の厳しい「風致地区」から、規制が緩い地域に指定を変更し、再開発で高層ビルを建てることを可能にしました。

さらに、それは新宿区民や区議会、都市計画審議会に諮ることもなく行われました。こうした民主的なプロセスなしでの変更は、公園の利用者である市民の声を意図的に聞かないようにしたもので、社会通念に反した裁量権の逸脱です。
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クラウドファンディング及び支援ページ概要
以下のケースページより支援が可能です。
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000120
※クレジットカードで簡単に寄付することができます。
※寄付にあたって会員登録は不要です。


資金(寄付金)の使途
1. 訴訟提起のための必要経費(印紙代・郵便切手等):現在、原告は東京都の訴訟で160人、新宿区の訴訟が5人ですが、事務局が足りず原告希望者をお断りしています。二次提訴、三次提訴を行ってこの訴訟の社会への影響力を高めていくことが再開発・伐採を止めることの力となり、法廷においても力になります。今後、東京都の訴訟で3,000人、新宿区の訴訟で300人を目指して原告を集めたいと考えており、訴訟費用もその人数に合わせて準備が必要になります。訴えの提起には訴額に応じた手数料(印紙代)が必要となるため、およそ2,000万円の手数料がかかる予定です。

2. 証人等の交通費:原告や弁護士が東京地裁での裁判に出頭する際の交通費や、さらには専門家の方などにお越しいただく際の交通費20万円。

3. 意見書費用:専門家に意見書を執筆していただくための、謝礼120万円程度。

4. 弁護士費用:今後も広がっていく訴訟活動について、専門的な知見を有する弁護士への支払額495万円。

5. 事務局費用ほか:多くの原告を束ねて訴訟活動を展開するためには、事務局機能が欠かせません。また、裁判に関連した広報活動も広くおこなっていきたいと考えており、事務局費用等として240万円ほどを支出予定です。
※なお多くの寄付を頂戴し、すべての経費を支出してなお余剰が出た場合には、都市部の樹木保護活動に寄付予定です。

原告団の思い
幼少期や大人になってから、あるいは都内で勤務していた時代などを含めて、神宮外苑の自然とその景観によって心の安らぎや自然からの治癒的効果を受け取ってきた人々が、原告となっています。

私たちは、この訴訟を提起する前から署名活動など反対運動を行ってきました。そして、多くの人がこうした運動を経て、事業者や行政側が都民市民の意見を聞き入れて事業の見直しをしてくれるものと期待していました。しかしながら、そうした見直しもなく、東京都による事業認可はなされてしまいました。これにより、道が閉ざされたと理解して、裁判所によってこのような理不尽で不合理な計画を止める判断をしてほしいとの思いで訴訟提起を決意しました。

再開発や樹木伐採は神宮外苑だけの問題ではありません。法令を恣意的に利用し、住民意見を聞こうとしない再開発や樹木伐採は日本全国で行われています。神宮外苑で前例を作ってしまえば、都市部の貴重な公園が次々と再開発のために切り崩されていく懸念があります。公共のものが一部の事業者の利益のために奪われていく流れを作ってはいけないと強く感じています。こうした住民を無視した開発は正しくない、ということを司法により明言してもらいたいです。

担当弁護士の思い
静謐で素晴らしい木々による景観が見られる歴史的な庭園である神宮外苑を破壊して、高層ビルを3棟も建築するような再開発事業を、環境破壊という観点から何としても止めなければならないという問題意識があります。
行政訴訟は住民側にとってはハードルが高く難しい裁判ですが、原告の皆さんの気持ちを、裁判の中でできる限り表現し、分かりやすい裁判をこころがけたいと思います。また、創意工夫しながら、行政訴訟の厚い壁を少しでもこじ開けられるように全力を尽くしたいと思います。

山下幸夫(東京弁護士会・新宿さきがけ法律事務所)

「CALL4」について
「CALL4」は2019年9月のサービス開始以降、公共訴訟を支援するクラウドファンディングと、訴訟の背景にある課題や原告の人生を伝えるコンテンツの提供を行っています。活動を通じて、より多くの人たちが司法で起きていることを知り、関心を持ち、そしてさまざまな形で参画することができる仕組み作りに尽力しています。

「結婚の自由をすべての人に」訴訟、性風俗事業者に対する持続化給付金不支給を問う「セックスワークisワーク訴訟」、最高裁で史上11件目の法令違憲判決が出された在外国民審査訴訟、入管施設内における暴行事件など、多くの訴訟について、訴訟概要やその問題背景についてのコンテンツ発信を行なっています。

運営団体「認定特定非営利活動法人CALL4」について
認定特定非営利活動法人CALL4は、公共訴訟を支援するウェブプラットフォーム「CALL4」の運営のために設立された営利を目的としない法人で、代表を務める弁護士谷口太規の他、多様な専門性を有するプロボノメンバーによって活動が担われています。
詳細は以下よりご確認ください。
https://www.call4.jp/

CALL4は今後も、クラウドファンディングをはじめとするケースサポートを通じて、司法をより身近に感じていただけるよう日々活動してまいります。



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