プレスリリース
〜介護・フレイル予防の専門家と連携した研究成果を生かし入居者の健康寿命の延伸に貢献〜
旭化成ホームズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:川畑 文俊)は、運営する元気なシニア向け賃貸住宅「へーベルVillage(ヴィレッジ)」において、健康寿命の延伸に向け研究・開発した入居者向け新サービス「安心・安全・健康長寿応援メソッド」を本年4月より提供開始しますことをお知らせいたします。
新サービス「安心・安全・健康長寿応援メソッド」の概要
シニア向け賃貸住宅「へーベルVillage」はこれまで、「自宅より安心・安全な住まい」を目指した取り組みを続けてまいりました。今回新たに提供を開始する「安心・安全・健康長寿応援メソッド」は、さらに「健康長寿」の視点を加えたサービスとして開発しました。設計(活動・交流を促す住環境)×相談員(健康長寿視点の面談)×しかけ(交流を促す・見守り)が一体となり、「へーベルVillage」に長くお住まいいただくことを通じて入居者の健康長寿なくらしに貢献することを目指します。
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「安心・安全・健康長寿応援メソッド」のポイント
I.設計(DESIGN):入居者同士の交流を促すコミュニティラウンジ
建物内の共用空間であるコミュニティラウンジは、買い物・散歩帰りの休憩や、家族の待ち合わせや送迎タクシー待ちの一時待機場所などで利用されてきました。一方、当社シニアライフ研究所が入居者を対象に2021年に行った調査から、コミュニティラウンジにいる間に他の入居者と交わした会話をきっかけに、入居者数人でランチ会に出掛けるなど、多様な交流が生まれた実態も明らかになりました。それを受け今回、コミュニティラウンジを入居者の利用実態に合わせた交流の場として定義しました。一息つくにふさわしい温熱環境を整え、ゆっくり立ち座りができ、かつ2〜3人で座っても会話ができるソファセットを設置することで、顔を合わせた入居者同士の交流を促す仕様としました。設計はエントランスに隣接した配置とし、廊下との開口を大きく取ることで、エントランスと一体となった空間を実現しています。
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II.相談員(COUNSELING):従来の課題解決・ケア視点に健康長寿視点を追加した面談を実施
月に1回の相談員(社会福祉士など)による面談ではこれまで、お困りごとの相談やインシデント(事故)予防などを主な視点にしてきましたが、新サービスでは今回開発した「イキイキ!応援シート※1」を使用して入居者のできることに目を向けた「健康長寿・フレイル予防」視点のアドバイスとはたらきかけを実施します。「イキイキ!応援シート」は、フレイル予防に重要な健康長寿の3要素「運動・栄養・交流(社会参加)」で暮らしを応援する旭化成ホームズオリジナルの入居者と相談員とのコミュニケーションツールです。
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※1 東京都健康長寿医療センター研究所大渕先生との共同開発
III.しかけ(SERVICE):スタッフを介さず入居者同士の交流を促すためにデジタルサイネージを活用
「へーベルVillage」は、介護スタッフなどが常駐しない事業形態ですが、スタッフが介在しなくても入居者がコミュニティラウンジに集まる(交流をする)きっかけづくりとして、デジタルサイネージを活用したコンテンツ配信を実施します。コンテンツは、入居者の手作り作品や散歩時の風景を写した写真などを投稿いただく入居者参加型の「写真館」や、リアル旅行気分で共有体験ができる「バーチャル旅行」、日々の継続で生活体力を維持する「ラジオ体操」などを配信します。さらに、相談員は面談を通して把握した入居者毎の実情に応じた番組視聴もはたらきかけていきます。
2021年10月に先行して4棟で実施したトライアルでは、「3人で風景写真を見てどこの写真か話をしたのよ」「(他の入居者の投稿した作品を見て)こういう作品を出してもいいのね、次に投稿しようかしら」「昔住んでいた町だから視聴するつもり」などの意見が聞かれ、昔のことを思い出す共有体験や、他の方の作品をみて刺激を受けるなど、コミュニティラウンジに自然と人が集まり、入居者同士の交流のきっかけづくりとなる様子が見受けられました。
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新サービス導入の背景
当社では、早くから元気な高齢者の住み替えニーズに着目し、2005年より元気な高齢者の安心・安全な暮らしを実現する住まいを目指したシニア向け賃貸住宅「へーベルVillage」を提供してきました。おかげさまで対象となる元気な高齢者世帯だけでなく、都市部に住む子世帯からの呼び寄せニーズにも合致し、2022年1月末時点で東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に120棟1,513戸を運営しています。
一方、2019年に実施した入居者アンケート結果などから、主な入居者である後期高齢者では入居者自身の健康認識とその実態に差があることがわかり、コロナ禍を経た今後の人生100年時代において、高齢の元気な入居者に長く健康に暮らしていただくためには、より一層、健康寿命の延伸に資するサービスを盛り込んだ住まいを開発してく必要性があると考えました。そこで、介護・フレイル予防の第一人者である東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者健康増進事業支援室 研究部長 大渕修一氏と連携し、建物設計や相談員の関与内容、そして交流を生む仕掛けなど、「へーベルVillage」入居者の実態に合わせたハード・ソフト両面での強化を図りました。
2019年〜2021年には大渕先生の協力のもと、当社シニアライフ研究所による「へーベルVillage」入居者を対象とした健康度とくらしの実態調査※2を実施。その結果から、介護・フレイル予防には、“入居者のできることを理解し活動を後押しする人(家族・相談員など)”“健康長寿に重要な「運動・食事・交流」が相互連動により充実すること”“それらを支える住環境の整備”が重要であることがわかりました。その結果を受け、「設計・相談員・しかけ」が一体となった「安心・安全・健康長寿応援メソッド」を開発しました。当社は今後も「へーベルVillage」の運営を通じ、高齢者が健康長寿でいられる住まいを提供することで、健康寿命の延伸と社会保障費の抑制など超高齢社会における課題解決に貢献してまいります。
※2 関連ニュースレター https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/press/20220111/index/
調査報告書 https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/kurashi/report/K059.pdf
≪ご参考≫
高齢者の住まいの現状
人生100年といわれる現代、高齢者の約8割が介護認定を受けていない元気な高齢者です(図1)。また、高齢者世帯の住まいに多い持ち家一戸建ての約6割が築38年以上※3と老朽化が進んでいます。中には、「駅・バス停から遠い」「坂道がある」「病院・スーパーなどが遠い」といったリフォームや建替えでは解決できない問題や不安を抱える世帯もあり(図2)、その解決法の一つとして住み替えニーズがあると考えられます。一方で、近年整備が進む高齢者向けの住まいは介護施設が中心で、元気な高齢者が自分らしく過ごせる住まいが不足している実情もあります。2021年に創設10年を迎えた「サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)」は、高齢者の居住の安定を確保することを目的として創設され、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービス(少なくとも安否確認・生活相談サービス)を提供する住宅として26万戸以上が登録をしています(2020年11月末時点)。サービス付き高齢者向け住宅の現状等※3によると、サ高住の専有部分の床面積は30平方メートル 未満が90.7%(図3)、と、介護が必要な方向けの住まいとなっており、実際入居者の9割超が介護認定者となっています(図4)。
特に都市部における高齢者向け施設の充実は、喫緊に対策を立てていかなければならない重要課題です。一方、今後も介護が必要な高齢者以上に元気な高齢者が増加することは着目すべき重要なポイントです。また、平均寿命が延びたことで、定年後も夫婦二人で暮らす、あるいはおひとりになっても子どもと同居せずひとり暮らしを続ける高齢者も増えており、高齢者が健康で快適な暮らしを続けられる住まいが求められています。
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出展:東京都福祉保健基礎調査報告書「高齢者の生活実態」(令和2年度)を抜粋して作成
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出展:厚生労働省「令和元年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント」を抜粋して作成
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出展(図3/図4):国土交通省 2020年12月24日 サービス付き高齢者向け住宅に関する懇親会資料「情報提供 サービス付き高齢者向け住宅の現状等」より
※3 東京都福祉保健基礎調査報告書「高齢者の生活実態」(平成27年度)、『居住開始時期/持家(一戸建て)』より
元気なシニア向け賃貸住宅「へーベルVillage」について
シニア向け安心賃貸住宅 「へーベルVillage」は、主に自立〜フレイルの高齢者を対象とした自由で自立した生活を応援する「住まい」です。常駐スタッフと食堂を不要とした事業形態で、各住戸に住設備を完備しています。居室は、1LDK〜2LDK(45〜75平方メートル )の広さで、夫婦でのご入居も可能です。建物の共用部・室内のバリアフリー化のほか、サービスは、社会福祉士等の相談員による定期面談(生活・健康相談、情報提供、等)、見守り・駆けつけ(緊急通報ボタン、ライフリズムセンサー)、医療機関連携、入居者同士のコミュニティ形成サポートなどのサービスを備えています。
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へーベルVillage入居者の平均年齢は79歳で、75歳以上の後期高齢者が8割弱を占めています。また、介護保険認定を受けていない方が85%と健常者の割合が高いこと、夫婦2人で入居している方が3割を占めること、へーベルVillageへの住み替え後の子との近居割合が7割を越えることなどが、へーベルVillageの特徴です。
元気なシニア向け賃貸住宅「へーベルVillage」運営サイト
https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel-senior/index.html/
地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所について
東京都健康長寿医療センター研究所は、1872年に設立された養育院を前身としています。令和の紙幣を飾る澁澤栄一翁は養育院の初代院長でもあり、福祉・医療事業の維持・発展のため五十有余年にわたり力を尽くされました。その精神は、先人たちにより脈々と受け継がれ、2009年に東京都老人医療センターと東京都老人総合研究所両施設が一体化するかたちで地方独立行政法人となり、今日に至ってもなお、高齢者医療のパイオニア・老年学研究の拠点として、活発な診療・研究活動を展開しています。
東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者健康増進事業支援室 研究部長 大渕 修一氏について
介護・フレイル予防の第一人者で、専門は、理学療法学、老年学、リハビリテーション医学など。厚生労働省の介護予防制度立ち上げ時から携わり、2015年の介護保険法改正により「地域ケア包括システム」のひとつの事業として創設された「介護予防・日常生活支援総合事業」においてサービス利用を決める「基本チェックリスト」の作成にも関わる。第72回保健文化賞受賞。
以上
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