プレスリリース
〜“フルーツ王国”において地産地消の環境保全型農業と、高付加価値な農作物ブランディングを推進〜
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フルーツ山梨農業協同組合(以下、JAフルーツ山梨)と株式会社AGRI SMILE(以下、AGRI SMILE)とは、ぶどうの搾りかす(以下、ぶどう残渣)のバイオスティミュラント資材開発と、バイオスティミュラントを活用した圃場検証を開始いたします。
本活動は、山梨県の実施する「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」に採択されており、JAフルーツ山梨のECサイト販売を通した産地ブランディングも検証します。
背景
JAフルーツ山梨は、県下の果樹生産量の4割以上を占めており、ぶどう・ももを中心に、果樹に限らず野菜・花卉・椎茸類・畜産等の生産を行っています。なかでも山梨県において、ぶどうは日本一の生産量を誇っています。一方で、生産の過程で排出されるぶどう残渣は山梨県全体で年間約3,000トンと推定されています。ぶどう残渣は畜産動物・養殖魚の配合飼料や飲料の原料として利用されていますが、廃棄量が多いため、ぶどう残渣の有効な利用方法の開発が喫緊の課題とされています。
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AGRI SMILEは、「テクノロジーによって、産地とともに農業の未来をつくる」を経営理念に、生産現場の持続的営農を推進すべく、化学肥料の低減栽培が可能な農業資材「バイオスティミュラント」の活用や、ECサイトを通じた産地ブランディングによる地域経済活性化を推進しています。特に、食品残渣を原料として開発されたバイオスティミュラント資材は、フードサプライチェーンの食品廃棄問題を解決しながら農業生産量の拡大や化学肥料の使用量低減に寄与できることから、脱炭素社会と環境保全型農業の実現が両立できる画期的な生産技術として注目されています。
この度、JAフルーツ山梨とAGRI SMILEは、ぶどう残渣を活用したバイオスティミュラント資材を開発することにより、地域の農業残渣を地域の農業に利用する地産地消の環境保全型農業を目指し、またECサイトを活用した産地ブランディングを通じて高付加価値な農作物の需要増加と認知向上を目指します。
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本取り組みについて
実施内容
- ぶどう残渣によるバイオスティミュラント開発- - ぶどう残渣の加工処理方法を検討しバイオスティミュラント素材を探索。- - AGRI SMILEが代表を務める「バイオスティミュラント活用による脱炭素地域づくり協議会」へのJAフルーツ山梨の参画と、バイオスティミュラント開発の推進課題の解決。- バイオスティミュラントの圃場検証- - 産地で課題となっている「開花異常」の解決に向けた取り組み。開花異常サンプルの「分子生物学的解析・組織学的解析・土壌分析」等によるバイオスティミュラント機能の見極め。- 産地ブランディング- - JAフルーツ山梨のEC サイト(運営代行:AGRI SMILE)を活用して、バイオスティミュラントを利用した農作物の魅力を伝え、消費者訴求メッセージなどの調査や、消費者反応の定量化。
本取り組みのゴール
山梨県のぶどうは栽培面積・生産量ともに日本一であり、収穫量は全国の約2割を占めています。なかでも甲州ぶどうは山梨県発祥の品種であり、日本で最も歴史の長い代表品種です。その甲州ぶどうの残渣を活用したバイオスティミュラント資材を開発・商品化し、JAフルーツ山梨地域でのバイオスティミュラント資材販売、およびバイオスティミュラント資材を使用して栽培した高付加価値食品の販売を目指します。
フルーツ山梨農業協同組合 代表理事組合長 西島 隆 コメント
開花異常の損害規模が大きいため、原因を究明し被害を抑えたいと考えていました。バイオスティミュラント資材は、植物生理に作用して、収量・品質を改善する効果を持つと聞いており、被害発生の予防策として期待しています。また、残渣を活用したバイオスティミュラントは、地産地消の環境保全型農業として、地域へ普及しやすい形態です。地域の資材であれば農家組合員は利用しやすく、環境に優しい商品は消費者にも受け入れられやすいと考えています。一方で、農家組合員に対しては、資材の根拠が重要であり、消費者に対しては、認知拡大も必要です。
今回の取組みを通して、バイオスティミュラント資材の作用機序・根拠を明らかにすることと、消費者に魅力的な付加価値を見つけ出すことなど、根拠と実績を積み上げて、果樹の大産地としての生産力向上を目指します。
株式会社AGRI SMILE 代表取締役 中道 貴也 コメント
当社が過去に実施した消費者アンケート調査では、新鮮さを求める声の次に、環境に優しい手法の農作物を購入したいというニーズが多数を占めることがわかりました。本取り組みでは、SDGsへの意識が高い消費者需要に応えられるよう、情報発信や産地ブランディングに取り組んでまいります。
ぶどうは国内外にマーケットがあるため、ぶどう残渣を活用したバイオスティミュラントの広がりも期待しております。バイオスティミュラント資材は、同じ原料であっても加工方法により効果が異なるため、遺伝子発現解析などのバイオインフォマティクスを使用して、定量的データで、有効性や作用メカニズムを数値化する必要があり、当社の特許技術を用いて着実な開発と栽培課題の解消を目指します。
ご参考:
<AGRI SMILEのバイオスティミュラント技術>
バイオスティミュラント(注1)は、植物本来の機能を引き出すことで環境ストレスを緩和させる特長を持ち、収量や品質の向上効果で注目されている新しい農業資材です。
このうち、食品残渣を原料として開発された残渣型バイオスティミュラント(注2)は、フードサプライチェーンの食品廃棄問題を解決しながら、農業生産量の拡大や化学肥料の使用量低減に寄与できるため、脱炭素社会の実現と、環境保全型農業の実現が両立できる画期的な生産技術です。
AGRI SMILEは、様々な農作物から残渣型バイオスティミュラントの開発に成功しており、実績をもとに業界唯一の特許技術を保有しています。開発期間を大幅に短縮する「スクリーニング方法論(特許7319731、注3)」、バイオスティミュラントの作用メカニズムを科学的根拠をもとに有効度を測定する「AGRI SMILE 評価指標(特許7295591、注4)」、農業資材として有効性の高いバイオスティミュラント原体を集めた「AGRI SMILE ライブラリー(注5、特願2023-93984)」を活用することで、バイオスティミュラントの新規開発や改良開発が可能です。
※注1:バイオスティミュラントとは
バイオスティミュラントは、「作物の活力、収量、品質および収穫後の保存性を改善する資材」として期待されており、2030年に約7500億円のマーケットとして注目されている新しい農業用資材です。気候変動によるストレス耐性に寄与し、植物の免疫系を活性化することで、根張り・収量の向上や、乾燥/過湿耐性、耐病性、耐高/低温性、耐塩性といった効果をもたらし、栄養吸収の強化に効果のある資材も確認されています。そのため、生育状況を考慮しながら利用することで、過剰な化学肥料の使用を抑えた事例もあります。
原料候補は、微生物/多糖類/ペプチド/有機酸/ミネラル/腐植酸など多岐に渡り、加工処理を施し、植物試験や遺伝子発現解析等の検証を進めることで、バイオスティミュラントの性質を発揮する素材を発見することができます。
※注2:食品残渣型バイオスティミュラント
AGRI SMILEが開発した食品残渣型バイオスティミュラントは、「食品」から「食品」を作り出していく、資源循環を実現します。地域の食品残渣をバイオスティミュラントに変えることで、再資源化・化学肥料低減・気候変動にも強い作物を生産し、環境にやさしい持続的なフードサプライチェーンの循環を生み出します。
フードサプライチェーンにおける温室効果ガス排出量は、人為起源温室効果ガス総排出量の21〜37%で、このうち、農業生産活動では総排出量の10%、フードロス等の食品加工製造活動では総排出量の8〜10%に相当するといわれています。
※注3:AGRI SMILE スクリーニング(特許7319731)
AGRI SMILEの独自技術で、均一化処理をほどこした高い再現性を持つスクリーニング方法論です。通常よりも、少ない標本数で有意性を安定的に示すことができます。そのため、新規の資材開発であっても開発期間を大幅に短縮することができます。AGRI SMILE ライブラリーは、このAGRI SMILE スクリーニングを使用することにより、短期間で、有効なバイオスティミュラント原体群の構築に至っています。
※注4:AGRI SMILE 評価指標(特許729559)
AGRI SMILEの独自技術で、国内唯一のバイオスティミュラント資材の有効度を測定する評価指標です。元素解析・遺伝子解析・植物ホルモン解析等、科学的アプローチでバイオスティミュラントの作用機序を評価し、産地現場での適正を可視化します。資材を共通のものさしで評価しスコアリング(点数化)することで、生産者様にわかりやすく情報を提供できるようになります。
※注5:AGRI SMILE ライブラリー(特願2023- 93984)
AGRI SMILE 評価指標を用いて有効と判断したバイオスティミュラント原体群を集め、データベース化した「ライブラリー」を保有しています。ライブラリーを活用して新たなバイオスティミュラント資材の開発や、市販資材とライブラリーを掛け合わせることで、市販資材の効果を改善・向上します。
<「バイオスティミュラント活用による脱炭素地域づくり協議会」とは>
本協議会(Expert COuncil for Low carbon Agriculture in Biostimulant technology、通称「Eco-LAB」)は、AGRI SMILEが代表を務め、農業協同組合、製造企業、金融機関などの多数のステークホルダーの参画を得て、農業産地のニーズに対応したバイオスティミュラントの適切な活用を支援するとともに、カーボンクレジット取引の促進を目指すべく2023年9月に設立したものです。
※残渣型バイオスティミュラントで環境保全を推進する「脱炭素地域づくり協議会」設立 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000039438.html
<「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」とは>
近い将来、品川・名古屋間でリニア中央新幹線が開業し、山梨県には中間駅としてリニア駅が設置されます。これにより、本県は東京都心から25分、名古屋から45分で結ばれ、時間距離の劇的な短縮、飛躍的なアクセス向上が見込まれます。
山梨県ではリニア開業を機に、本県が国内外の皆様の目的地として選ばれるため、令和2年3月に策定した「リニアやまなしビジョン」で目指す姿として、テストベッドを突破口に最先端技術で未来を創るオープンプラットフォーム山梨を掲げました。
目指す姿の実現に向け、令和3年度より、最先端技術やサービスを有するスタートアップ企業等に対し、山梨県全域において実施する社会実証プロジェクトを全面的にサポートする「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」を実施しています。
詳細については以下Webサイトをご確認ください。
https://www.pref.yamanashi.jp/try_yamanashi/support.html
【JAフルーツ山梨について】
本組合は、県下8農協構想の一環として、東山梨地区の10の農協が合併し、2001年(平成13年)2月1日にフルーツ山梨農業協同組合(JAフルーツ山梨)として発足いたしました。当管内は、全国的にも稀な落葉果樹日本一、フルーツ王国山梨の中でも果樹の一大産地です。県下の果樹生産量の4割以上を占めており、ぶどう・ももを中心に、すもも・かき・さくらんぼ・りんご・キウイフルーツ等の果樹を主体に、野菜・花卉・椎茸類・畜産等の生産が行われています。また、立地を生かしたぶどう・ももの施設栽培や、地域特性による多くの商材と長期にわたる販売が可能な広域的産地形成がされ、農産物の巨大供給基地として期待されています。
【組合概要】
正式名称:フルーツ山梨農業協同組合
愛称:JAフルーツ山梨
本所所在地:〒404-0045 山梨県甲州市塩山上塩後1100
事業内容:販売・指導・購買・信用・共済ほか
【株式会社AGRI SMILEについて】
AGRI SMILEは、「テクノロジーによって、産地とともに農業の未来をつくる」を経営理念に据え、豊かな経験を持つ産地と、進化を続けるサイエンステクノロジーを融合することで、環境に優しい魅力あふれる農業の実現に取り組んでいます。
国内最大規模の産地ネットワークを活かし、データサイエンス技術による農業DXソリューション、最先端バイオテクノロジーによる生産技術、産地のブランディング支援などを展開しています。また、技術創出の源泉であるアカデミアの交流を活発化するプラットフォームを提供し、社内外で技術を連携させています。今後も、産地と調和した革新的なサービスを通じて、笑顔(SMILE)のある未来を創造し続けてまいります。
【会社概要】
代表者:代表取締役社長 中道 貴也
事業内容:農産業DXサービス、脱炭素に資するバイオテクノロジーの開発及び提供
設立:2018年8月31日
所在地:〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目28-5 Axle御茶ノ水
会社URL:https://agri-smile.com/
プレスリリース提供:PR TIMES