プレスリリース
日本初(※1)の公共訴訟支援に特化したウェブプラットフォームCALL4(コールフォー)(運営:特定非営利活動法人CALL4、代表理事:谷口太規)は、30時間以上にわたって違法に新宿警察署留置施設内の保護室に収容され、戒具による身体拘束や留置場職員による侮辱など肉体的・精神的苦痛に対する慰謝料を求める国家賠償請求訴訟「新宿留置場事件ー警察官による被収容者への違法な戒具拘束や侮辱行為を許さないー」のサポートを本日より開始いたします。
[画像: https://prtimes.jp/i/45445/27/resize/d45445-27-a21e5bd2aff2832e0f71-0.jpg ]
背景
2022年7月、新宿警察署の留置施設に収容された原告A氏は下着一枚の姿で拘束され、トイレの時も戒具を外したり下着を脱がせたりしてもらえず、両手をベルトできつく縛られ、身体の自由を奪われたまま拘束されました。
裁判による有罪判決を経て収容される刑務所とは異なり、留置施設に収容されているのは、無罪が推定されている市民です。また、実際に罪を犯しているかどうかにかかわらず、「法律に定められた手続きによらず懲罰を受けない」という権利は誰にでも保証されます。
それにも関わらず、体調を崩した同室者のために毛布を職員に頼んだAさんは、丸2日もの間「保護室」と呼ばれる狭い空間に収容され、さらにはパンツ一枚の姿で、両手をベルトできつく縛られ、その手を腰に捕縄と呼ばれるものでくくりつけられ、さらに両足首を捕縄で縛られました。
さらに、両手を腰に縛り付けられたままではトイレに行けなかったため、職員に「トイレに行きたい」と伝えたところ、職員から「垂れ流せよ。みんなそうしているから。」といわれ、そのまま排泄させられるなど、侮辱的言動を受けました。
※1 日本国内における「公共訴訟支援に特化したウェブ支援プラットフォーム」として、2019年9月に弁護士による見解など自社調査した結果
【法的論点】
ここで問題となるのは、1. 要件を満たしていない保護室への収容、2. 戒具拘束、3. 侮辱的言動、さらに、4. 新宿警察署の人為ミスにより1から3の責任を問う上で必要であった証拠保全ができなかったことの全4点です。
1.保護室への収容
保護室への収容の要件は、自傷又は他人への危害、設備等の損壊のおそれがある場合や、制止に従わず大声や騒音を発する場合に限られています。
A氏は、同室者の健康を気遣い、毛布の差し入れを求めたに過ぎません。さらには、終始敬語を使って留置担当官に要望をしたに過ぎず、保護室への収容ができる要件を満たしていませんでした。
2. 戒具の使用
被留置者への戒具使用の要件も、逃走、自傷又は他人への危害、設備等の損壊のおそれがある場合に限られています。しかしA氏は、留置担当者の指示に従って保護室に移動しており、上記のおそれがない状態で戒具が使用されたのです。
3. 侮辱的言動
上記の行為自体が要件を満たさずに行われたものであり問題である上に、上記の行為に伴い、侮辱的言動が用いられたことも問題です。「垂れ流せよ」などといった侮辱的言動は、許されるものではありません。
4. 証拠保全手続
これら1から3の行為が行われたことの証拠となるのが、留置施設内を撮影した録画映像です。本訴訟において、留置施設内を撮影した録画映像の証拠保全手続きが行われましたが、「録画機器を一時停止にしたままにしていた」という新宿警察署の人為ミスにより、録画映像が存在せず、証拠保全期日は「検証不能」として終了してしまいました。
このように、今回の事件では、新宿警察署の職員が「反抗的」とみなした被留置者に対して懲罰的に保護室や戒具を使用するなどの「制裁」を行っており、これは法律の規定に反しています。
留置施設に収容されている人々は有罪判決を受けたわけではなく、職員は、証拠隠滅、逃亡や自傷防止のための最低限の実力行使が認められているにすぎません。また、もし本当に罪を犯していたとしても、刑罰は裁判の手続きを経たうえで課されるものであり、留置施設が制裁を行う権限は全く認められません。
この訴訟を通して、法律に定められた手続きによらずに懲罰を行うことは違法であることを判決によってはっきりさせ、警察の取り扱いを改めてもらうために原告と弁護団は国(東京都)を相手に立ち上がりました。
クラウドファンディング及び支援ページ概要
以下のケースページより支援が可能です。
https://www.call4.jp/xxxxxxxxxxxxxxxx
※クレジットカードで簡単に寄付することができます。
※寄付にあたって会員登録は不要です。
資金の使途
・訴訟提起のための必要経費(印紙・郵便切手等) 約3万円
・証人等の交通費
・意見書費用 約20万円
・弁護士費用 約20万円
・その他(訴訟に関連するもの) 印刷代等実費 約7万円
※寄付金が余った場合には、第二東京弁護士会人権救済基金に寄付させていただきます。
原告の思い
私は、保護室から出された後、他の収容者も同じような扱いを受けたことがあることや、新宿警察署で戒具で縛られ、その後死亡したアルジュンさんの事件の話を聞きました。
そこで、何か行動しなければ今後も同じようなことが起こり続けるのだと気がつき、「同じような思いをする人をなくしたい」との思いから、提訴をすることを決めました。
弁護団からのコメント(小竹弁護士)
Aさんの受けた扱いを聞いた時、そのあまりの酷さに憤りを感じました。また、2017年には同じ新宿警察署で保護室と戒具を使用された人が死亡する事件が起きています。何も変わらない新宿警察署の体制に危機感を抱いています。
留置施設に収容されている人は、言葉や表現する方法を持ちにくく、個々人が分断されているため、権利侵害の回復が困難です。留置施設の世界を知っている弁護士として、声なき声を裁判所や社会に届けるような仕事が出来たら嬉しいです。
担当弁護士の紹介
海渡雄一(第二東京弁護士会・東京共同法律事務所)
小竹広子(第二東京弁護士会・東京共同法律事務所)
木村壮(第二東京弁護士会・東京共同法律事務所)
阿部通子(第二東京弁護士会・八雲法律事務所)
「CALL4」について
「CALL4」は2019年9月のサービス開始以降、公共訴訟を支援するクラウドファンディングと、訴訟の背景にある課題や原告の人生を伝えるコンテンツの提供を行っています。活動を通じて、より多くの人たちが司法で起きていることを知り、関心を持ち、そしてさまざまな形で参画することができる仕組み作りに尽力しています。
同性婚訴訟、性風俗事業者に対する持続化給付金不支給を問う「セックスワークisワーク訴訟」、最高裁で史上11件目の法令違憲判決が出された在外国民審査訴訟、入管施設内における暴行事件など、多くの訴訟について、訴訟概要やその問題背景についてのコンテンツ発信を行なっています。
運営団体「特定非営利活動法人CALL4」について
特定非営利活動法人CALL4は、公共訴訟を支援するウェブプラットフォーム「CALL4」の運営のために設立された営利を目的としない法人で、代表を務める弁護士谷口太規の他、多様な専門性を有するプロボノメンバーによって活動が担われています。
詳細は以下よりご確認ください。
https://www.call4.jp/
CALL4は今後も、クラウドファンディングをはじめとするケースサポートを通じて、司法をより身近に感じていただけるよう日々活動してまいります。
プレスリリース提供:PR TIMES