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有人宇宙システム株式会社

宇宙ステーションのファイルをどうやって届けるか?JAMSSが開発した「自律的ファイルダンプシステム」の技術実証を実施

(PR TIMES) 2023年06月04日(日)06時40分配信 PR TIMES


有人宇宙システム株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:古藤俊一、以下当社)は、2023年4月19日から21日にかけて、当社が開発した「自律的ファイルダンプシステム(Automated File Dump)」*1 の技術実証を米国Axiom Space社及びアマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)の協力のもと実施しました。

当社は1990年創立以来、長きにわたり日本実験棟「きぼう」の運用利用を支援してきました。その経験をもとに、将来の地球低軌道(LEO: Low Earth Orbit)の商業化・市場拡大への貢献を目指し、さまざまな取り組みを進めています。その取り組みの一つとして、当社は「自律的ファイルダンプシステム」を開発し、その技術実証を国際宇宙ステーション(以下ISS)に設置されているAWS Snowcone*2 にて実施しました。


*1 軌道上のストレージに保存されたファイルをスケジュールに従い、自律的に地上へダウンリンクするためのシステム
*2 AWSが開発する小型かつ堅牢で安全なエッジコンピューティング及びデータストレージ
  https://aws.amazon.com/jp/snow/

開発の目的、背景


(1)利用者ニーズに応じた伝送
現在、ISS日本実験棟「きぼう」では様々な実験や宇宙飛行士による活動が行われています。そこで得られたデータは、NASA側の追跡・データ中継衛星(以下TDRS)を介して地上へダウンリンクされています。

将来のLEO商業ステーションにおいては、未だどの様な衛星通信システムが採用されるか明らかになっていません。しかし、各社が通信サービスを調達して利用者へ提供するか、或いは各社と契約した衛星通信会社が直接サービスを提供するようになると想定されます。そのコストは利用者負担になることが見込まれ、利用者のニーズに応じた通信サービスを提供することが必要になると考えられます。

「自律的ファイルダンプシステム」は、所定のスケジュールに沿って、利用者毎に必要な時間帯のみ通信帯域を割り当てることが可能です。また、複数の通信回線が有る場合に宛先を指定する機能も備え、将来的に利用者の要求に応じた通信サービスを構築することができます。

(2)軌道上保管データの再現
大容量の実験データや映像ファイルは、軌道上ファイルサーバへ一時的に保管された上で、後からまとめてダンプされます。「自律的ファイルダンプシステム」は、ファイル名を含めディレクトリ構造を維持した状態で、圧縮、暗号化して伝送可能です。そのため、利用者は軌道上保管されたファイルが、あたかも地上のファイルサーバへ再現された様に利用することが可能です。

また、ダウンリンクの際は通信状況に応じてパケットの欠損が生じることがあります。さらに、TDRSの様に複数の衛星を切り替えながら通信する場合は、ショートハンドオーバと呼ばれる数十秒間通信が途絶える時間帯が発生します。本システムは、その様な場合でも欠損部分を自動で識別し、必要な部分のみを再送、補完する仕組みを有しています。ハッシュ値の一致も自動で確認されるため、利用者の手間が無く、運用の効率化に繋がります。

軌道上実証結果


4月19日から21日(UTC)にかけて実施した軌道上実証では、米国Axiom Space社及びAWSの協力のもと、当社が開発した「自律的ファイルダンプシステム」のソフトウェアをISSに設置されているAWS Snowcone上の Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)インスタンス(仮想サーバ)へ展開し実行しました。そのうえで、これをファイルサーバに見立て、ユーザ当たり合計約1GB(ギガバイト)のファイルを3ユーザ分作成し、地上側の端末へ順次伝送する試験を行いました。結果として、途中データ欠損に伴う自動再送も経ながら、指定したスケジュールに従い、与えられた通信帯域(5Mbps)内で、全ファイルを地上側の端末へ再現することに成功しました。
[画像: https://prtimes.jp/i/42485/26/resize/d42485-26-dfa5b5f75833073b661b-0.png ]

今後の展開


LEO商業化・市場拡大においては、より自動化、自律化、効率化が進むと考えられます。本システムは、大容量ファイルのダウンリンクを計画に沿って実行し、欠損を自動検知し、再送を行うシステムであり、将来のLEO商業化・市場拡大への貢献が期待されます。

今回の技術実証においてAWS Snowcone上の Amazon EC2で本ソフトウェアを展開、実行できたことにより、今後の宇宙へのクラウド拡大に合わせて、本ソフトウェアのスムーズな移行が進むとともに、軌道上でエッジ処理を行ったうえでのデータダンプ等さまざまな可能性が広がります。今後この技術のさらなる実証を進め、宇宙利用への展開を目指します。

有人宇宙システム株式会社(JAMSS)について


有人宇宙システム株式会社(JAMSS)は国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」を運用する唯一の民間企業です。JAMSSは1990年創立以来、ISS計画における「きぼう」、「こうのとり」の運用、宇宙空間における安全・安心の確保、宇宙飛行士や管制要員の訓練、宇宙実験の実施などに携わってきました。今や宇宙空間は国家プロジェクトだけでなく、民間企業も利用する場に変化しつつあります。JAMSSもまた、「きぼう」の利用、衛星の開発・運用や衛星データの活用をはじめとした民間企業による宇宙利用に力を入れています。これまでに培ったノウハウを生かし、今後は月や火星といった更なる宇宙探査においても、開拓に寄与し、リードしていきます。

コーポレートサイト https://www.jamss.co.jp/
宇宙利用サポートメディア「ASMILLA(アスミラ)」 https://www.asmilla.com/
私たちの身近にある「宇宙」を知る!宇宙メディアサイト「JAMステ」 https://www.jamss-station.jp/

本リリースに関するお問い合わせ


有人宇宙システム株式会社 広報窓口
https://www.jamss.co.jp/contact/

プレスリリース提供:PR TIMES

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