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日本難病・疾病団体協議会(JPA)3つのアンケート結果を発表

(PR TIMES) 2024年11月19日(火)16時15分配信 PR TIMES

(1)紙の保険証廃止に関するアンケート(2)難病の医薬品等の「適用拡大」についてのアンケート(3)難病患者就労支援状況 会社の制度や職場での対応に関するアンケート


 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会(JPA)(代表理事:吉川 祐一)は、3つのアンケート『紙の保険証廃止に関するアンケート』、『難病の医薬品等の「適用拡大」についてのアンケート』、『難病患者就労支援状況 会社の制度や職場での対応に関するアンケート』を実施し、このたび結果を発表いたしました。それぞれの概要は下記の通りです。

1. 紙の保険証廃止に関するアンケート
 紙の保険証廃止について、様々な報道等により現状のまま移行を実施すれば、医療機関、行政機関、支援機関等の関係機関に大きな負担と混乱をもたらすことが予想されている中、患者・家族においてもその声を集約するため、JPA加盟団体に対してアンケート調査を実施した。

 アンケートに対しては、全体で54団体(全国疾患団体21団体、地域難病連13団体、全国疾患団体支部18団体、支援団体2団体)より回答が寄せられた。
全体の52%(28団体)よりマイナ保険証への移行について反対の考えが示され、どちらともいえないという回答とあわせると9割を超える結果となり、賛成とした団体は9%(5団体)にとどまった。

 反対の主な理由としては、 情報漏洩やカードの紛失、盗難、悪用の危険性など、マイナンバーカードに対する不安の他、移行理由が不明といった理由が挙げられた。
また、どちらともいえないとした理由としては、上記の他に高齢者や障害者へのフォローや事前準備、情報提供の不足などが挙げられた。

 上記のアンケート結果から、患者家族の立場においても、マイナ保険証への円滑な移行は到底期待できず、大きな負担と混乱をもたらし、難病法の目的である「患者に対する良質かつ適切な医療の確保と難病の患者の療養生活の質の維持向上」に反する施策となりかねないと言える。
よって、紙の保険証廃止については時期尚早と考え、マイナ保険証と紙の保険証の選択が可能となるようにしたうえで、マイナ保険証については、関係機関の体制整備や患者・家族をはじめとする国民の不安払しょくに向けた丁寧な説明に十分な時間を割くことを提起していきたい。

アンケート結果の詳細は、PDF版を下記からダウンロードできます。
https://nanbyo.jp/JPAsurvey/20241119_JPAsurvey1.pdf
2. 難病の医薬品等の「適用拡大」についてのアンケート
 難病は種類が多い一方で症例数が少ないという制約の中、開発が進みにくい医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発等を、患者の協力を得ながら積極的に支援する(「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」より)、とされている中、疾患により保険適用外となっている具体的な医薬品やそれらに関する要望についてJPA加盟団体に対してアンケート調査を実施した。

 アンケートに対しては31の団体から意見が寄せられ、22の団体から26の疾患について、適用拡大の要望が寄せられ、具体的な20の医薬品名が寄せられた。現在、難病対策課とも情報を共有し、疾病ごとにそれらの医薬品や治療法等が現在どのような検討状況であり、それに対して今後どう対応していくべきかを共に考え、課題解決にあたっていく予定である。

 アンケート結果からは、結論として、難病や希少疾患からの適用拡大を求める声は切実であり、ドラッグラグロスの問題はその一例に過ぎないこと、また、その治験や審査の制度や状況等を、患者や患者団体が把握しづらい環境にあることも明らかになった。

 このため、希少な難病の医薬品開発や治療研究の制度や体制の推進に当たっては、市民や当時者に分かりやすく情報が提供され、当事者も開発等の様々な段階で参加して、推進・共創していくことがあるべき姿であり、そのためには、関係するステークホルダーが協働して、障壁となっているものを取り除き体制を整えていく必要を提起していきたい。

アンケート結果の詳細は、PDF版を下記からダウンロードできます。
https://nanbyo.jp/JPAsurvey/20241119_JPAsurvey2.pdf

3. 難病患者就労支援状況 会社の制度や職場での対応に関するアンケート(難病患者に対する合理的配慮の提供義務、差別禁止、治療と仕事の両立支援等の推進のための具体例に対する、企業側の困難度合いを調査)<実施主体:難病・慢性疾患全国フォーラム実行委員会>
 難病患者の障害者手帳所持率は3割を切る(※)中、治療と両立しながら働こうとすると、就職活動、治療や通院、通勤、働き方などで、勤務先の制度や職場個別の対応を求めるなど、患者個人で対応するにはきわめてハードルの高い課題に直面する。
また、企業や支援機関も、難病等の患者への合理的配慮提供等が法的義務であるにもかかわらず、特に、障害者手帳を持たない者への十分な把握、理解、対応ができておらず、その義務を果たせていない。それらの法定雇用率への算入についても、政府での具体的検討は行われておらず、マスコミでもたびたび取り上げられる大きな課題となっている。
このような現状を踏まえ、今回、合理的配慮提供義務、差別禁止、治療と仕事の両立支援策として約30の具体的項目を考え、企業の制度導入率を調べ、現状の困難性を調査した。また、難病患者の障害者法定雇用率への算入、並びに法定雇用率の制度そのものについての意見も収集した。

 調査結果として、それら約30の項目について「既に制度化している」と答えた企業担当者の割合の平均は20%を切る結果となったが、リモートワーク、フレックスタイム、病気休暇、時差出勤などの制度化については40%近くに上った。一方で、週休3,4日の正社員制度、入院時のサポート体制、健常な社員と別の休憩時間の確保、重症難病患者の重度訪問介護の利用などは、10%前後と低く、ジョブコーチや両立支援コーディネータの配置も10%に満たない状況であった。また、中小企業(従業員500人未満)とそれ以外では、すべての項目で大きな差が出た。
一方で、「既に制度化している」という回答に「制度化が可能である」「個別に対応している」という回答を加えると、従業員数500人以上の企業担当者の各項目の平均は78%に上った。これは、大企業では、多くの項目は、取り組みや働きかけ次第で、制度化に持っていくことなどが、困難な話ではなく、期待できることを示唆している。このため、今後、政府や企業、そして経営者や労組などに対して、これらを推進する仕組みづくりの構築、そして中小企業対策を早急に訴えたい。

 なお、同時に調べた、多様性への「全社的対応」は、「女性」「高齢者」に比べ、難病等や発達障害は大変低い結果となった。しかし、対応が「非常に難しい」と答えた割合は、難病等や発達障害どちらも2割未満であり、こちらも雇用率参入やダイバーシティ&イクルージョンの推進次第で改善の余地は十分あると考える。

 難病等を法定雇用率に入れることへの自由意見の記入では、賛成または進めたいとする意見が37%と多数あった一方、反対または難しいとする意見や、わからないとする意見や、基準やルールや証明等が必要とする意見も多くあり、難病についての理解と啓発を進め、企業が自信をもって対策を進められる環境づくりが必要なことがうかがわれた。
法定雇用率自体についても、「厳しい・難しい」「制度設計への疑問や提言」の2種の意見が自由意見数の半数以上(51%)に上った。

 なお、同様の調査を、患者側に対しても実施しており、2024年11月30日(土)に東京で開催される「難病・慢性疾患全国フォーラム2024」(http://www.nanbyo.sakura.ne.jp/forum2024/)で速報値を発表する予定である。
また、JPAでは、このフォーラムの第2部で、難病を持つ患者さんの障害者法定雇用率への算入、合理的配慮提供義務と差別禁止、治療と仕事の両立支援について、行政や有識者とともにみなさんで考える機会を持つ。ぜひご興味ご関心のある方は参加をご検討いただきたい。

※ 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 難病患者の就労困難性に関する調査研究
https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/houkoku172.html

アンケート結果の詳細は、PDF版を下記からダウンロードできます。
https://nanbyo.jp/JPAsurvey/20241119_JPAsurvey3.pdf

以上

プレスリリース提供:PR TIMES

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