プレスリリース
2035年の要介護者向け高齢者住宅・施設の需給バランスはどうなる?― 長期見通しを推計 ―
「自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ2023年度版」を2023年9月末に発行致しました。
本データ集は、高齢者住宅・施設の現在実績値を捉え、弊社データと47都道府県・政令指定都市(20市)・中核市(62市)・首都圏(109市)及び関西圏(71市)の全市、東京23区の介護保険事業(支援)計画・自治体へのヒアリング等から要介護者向け高齢者住宅・施設(包括ケア居室※数)について、2035年までの過不足状況を推計したものです。
2023年度版では、弊社データを用いて、第8期介護保険事業(支援)計画の施設・居住系サービスの数値目標(計画2年目)に対する達成状況を検証しました。また、補足として、2023年の包括ケア居室数(推計値)に2023年3月末時点のサービス付き高齢者向け住宅と住宅型有料老人ホームといった個別ケア居室※数(実績値)を加え、高齢者住宅・施設の過不足数を算出し、自治体間比較を行いました。
本予測は、事業者にとって将来の高齢者住宅市場の方向性を見る上で、重要な指標のひとつになるとともに、各自治体及び住民にとってその地域に住む安心感を計る上からも重要な指標となっています。
■第8期計画2年目の達成率は37.3%
第3期から第8期の介護保険事業計画の施設・居住系サービスの計画値と実績値、達成率を見ると、第8期計画値は、過去最低の10.1万人に減少しており、第8期計画2年目の達成率は37.3%に留まっています(図1)。
自治体ヒアリング等によると、第8期の公募は概ね計画通りに行われていますが、一部に開設の遅れや選定後辞退したケースが見受けられました。昨今の建築費の上昇、介護業界の人手不足、大都市圏の地価の高騰、半導体不足等が達成率に影響していると思われます。
図1 施設・居住系サービスの計画値と実績値、達成率の推移(全国)
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■(需要量:要介護2以上の場合)2035年には242万人分の包括ケア型の高齢者住宅・施設の供給が不足
本データ集では、要介護者向け高齢者住宅・施設(包括ケア居室)の過不足状況を、需給と供給の差分に置き直して将来予測をしました。
需給は、介護者のケアなしには自立した生活ができない要介護2以上の認定者数及び要介護3以上の認定者数の2パターンとし、供給は、包括ケア居室(施設系・居住系サービス)に小規模多機能などの地域密着型サービスを加えました。
第8期計画や過去の実績値とその伸び率から予測すると、全国では需要量を要介護2以上とした場合、包括ケア型の高齢者住宅・施設は2035年に242万人分不足、要介護3以上とした場合は88万人分不足と予測されます(図2、図3)。
補足として、2023年の供給数に個別ケア(サ付住・住宅型)居室数を加え、過不足を算出したところ、要介護2以上の場合は128万人分不足、要介護3以上の場合は5万人分不足となっています(図2、図3)。
図2 介護施設等の供給過不足数予測(全国)【需要量:要介護2以上の場合】
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72736/23/72736-23-aafa3c7cf4aa8a7092dd5108442385da-306x264.png ]
図3 介護施設等の供給過不足数予測(全国)【需要量:要介護3以上の場合】
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72736/23/72736-23-804cdbfa553a00e4ca9b66e7c7097480-305x264.png ]
※2025年、2035年の住宅型とサ付住は、2023年3月末時点の実績値を使用しています。
■都市部を中心に、個別ケアを加えても不足状態の自治体が見られる一方で、住宅型とサ付住が穴埋めとなり、不足解消状態にある自治体では入居者の重度化が課題に
都道府県別に見ると、大阪府と東京都の包括ケア居室の不足量が突出しており、都市部の不足状況が深刻となっています(図4)。
政令指定都市について、供給量に住宅型とサ付住を加え、要介護3以上の認定者数10万人当たりで見ると、堺市が1.5万人でトップとなっています(図5)。堺市は、要介護者の受け皿を増やすため、従来の厳しい総量規制から一転し、第8期で既存の住宅型とサ付住について特定施設への転換を進める方針です。
中核市について、供給量に住宅型とサ付住を加えると、旭川市、函館市、高崎市では不足が解消状態にあります(図6)。これらの自治体では、包括ケア型の高齢者住宅・施設は充足しているものの、既存の住宅型やサ付住の入居者の重度化が今後の課題と思われます。
特別区は、供給量に住宅型とサ付住を加えてもいずれの自治体も不足状態にあります(図7)。
政令指定都市・中核市・特別区を除く、首都圏・関西圏全市では、くすのき広域連合、市川市、西東京市、岸和田市、所沢市で包括ケア居室の不足量が多くなっています(図8)。
図4 都道府県別/2023年の要介護者向け高齢者住宅・施設(包括ケア居室)の過不足数と住宅型・サ付住の供給数【需要量:要介護3以上の場合】
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72736/23/72736-23-6c2a3317ff7807bfb8a9bd06793f0d85-573x388.png ]
図5 政令指定都市別/2023年の要介護者向け高齢者住宅・施設(包括ケア居室)の過不足数と住宅型・サ付住の供給数【需要量:要介護3以上の場合】
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図6 中核市別/2023年の要介護者向け高齢者住宅・施設(包括ケア居室)の過不足数と住宅型・サ付住の供給数【需要量:要介護3以上の場合】
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72736/23/72736-23-33176cdc961204f03fe3d38519e0d544-554x383.png ]
図7 特別区別/2023年の要介護者向け高齢者住宅・施設(包括ケア居室)の過不足数と住宅型・サ付住の供給数【需要量:要介護3以上の場合】
[画像7: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72736/23/72736-23-b04b29aa764b6b345357f827dc6c5f9f-580x447.png ]
図8 首都圏全市・関西圏全市別/2023年の要介護者向け高齢者住宅・施設(包括ケア居室)の過不足数と住宅型・サ付住の供給数【需要量:要介護3以上の場合】
※政令指定都市・中核市・特別区除く。
[画像8: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/72736/23/72736-23-ae260fc1a0e1707caafdd67fbb87c4ec-578x392.png ]
出所)弊社データ、各自治体の第8期介護保険事業(支援)計画、自治体ヒアリング、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」、総務省「令和2年国勢調査」、厚生労働省「介護保険事業状況報告」等を基に、弊社が推計・予測。
注1)本データ集における包括ケア居室とは、居住と介護を一体的に提供する施設系・居住系サービスに、在宅で看取りを行う際に必要と考えられる以下の地域密着型の居宅サービスを追加したもの。
施設系:介護老人福祉施設(地域密着型を含む)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院
居住系:特定施設入居者生活介護(以下「特定施設」と略、地域密着型を含む)、グループホーム
※特定施設には介護付有料老人ホーム、特定施設の指定を受けたケアハウス・サービス付き高齢者向け住宅・養護老人ホーム含む。
地域密着型:定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護小規模多機能
注2)本データ集における個別ケア居室とは、居室と介護を個別に提供する以下の住宅型・サ付住のこと。
住宅型:住宅型有料老人ホームの略。2021年度末及び2023年3月末時点の弊社データ。
サ付住:サービス付き高齢者向け住宅の略。2021年度末及び2023年3月末時点の弊社データ。特定施設の指定を受けたものを除く。
■商品概要
商品名 : TPデータ・サービス「自治体別高齢者住宅・施設等の需給予測データ 2023年度版」
発行日 : 2023年9月末日
商品概要 : 高齢者住宅マーケット動向の予測に役立つ「データ集」「分析レポート」
主な分析項目: 第8期介護保険事業計画期間中の施設・居住系・地域密着型サービスの整備計画の集計・分析、施設・居住系・地域密着型サービスの需給動向の中長期予測、各自治体の特定施設・特養等の公募状況の調査
対象エリア : 全国332自治体
(都道府県47ヶ所、政令指定都市20ヶ所、中核市62ヶ所、特別区23ヶ所、首都圏・関西圏の全市〈政令指定都市・中核市を除く〉180ヶ所)
株式会社タムラプランニングアンドオペレーティング
https://www.tamurakikaku.co.jp/
プレスリリース提供:PR TIMES