プレスリリース
非接触音響探査法による作業の自動化・効率化への取り組み
実際に人が居住している民間マンションにて、飛行中のドローンからの音波照射加振によるタイル外壁点検を実施。
足場を組まなくても、叩き点検と同様な外壁点検が実施可能な時代に!
赤外線カメラでは検出できない内部欠陥でも、高精度かつ高速に検出可能。
2022年2月、実際に人が居住している鎌倉市にある民間マンションにて、飛行中のドローンからの音波照射加振を用いたタイル外壁点検の実験が実施されました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/49026/22/resize/d49026-22-eda781b57bc03ef9daa8-0.jpg ]
このような民間マンションを含めた高層の建築物では10年毎に、ハンマーを用いた叩き点検等による検査が求められていますが、実際には仮設足場等の費用負担が大きいために現実的ではなく、非接触方式による検査方法の開発が期待されています。
桐蔭横浜大学の杉本研究室で開発された、ドローンからの音波照射加振を用いた非接触音響探査法であれば、足場を組まなくても、叩き点検と同様な外壁点検を非接触で実施可能であることが、タイル外壁試験体を用いた実験結果から明らかになっています。
しかしながら、人が居住している民間マンションでは、周囲の状況(実際にドローンを飛ばせるかどうか)や住民の合意も必要になるため、なかなか提案手法を試行できる場所が見つかりませんでした。そこで、今回は神奈川県の大規模修繕コンサルタントの協力を得ることにしました。その結果、大規模修繕をおこなう前段階として、足場を組まない事前調査時に、赤外線カメラを搭載したドローンを用いた検査に加えて、提案手法である音源を搭載したドローンを用いた実験的な検査についても住民側から許可を得ることができました。
[画像2: https://prtimes.jp/i/49026/22/resize/d49026-22-8cdf405ec94f8c7b33cb-1.jpg ]
実験は、赤外線カメラでは温度変化を検出しにくい、日中日の当たらない壁面に対して実施されました。最初に音源を搭載したドローンを外壁の3〜5 m程度に接近させて、音波照射を行います。次に地上部に配置された高感度のレーザドップラ振動計を用いて、壁面の振動を計測します。もし、タイル外壁の下に剥離や空洞等の欠陥(振動しやすい箇所)があると、健全部と振動の仕方が変化するために欠陥部を検出することができます。
[画像3: https://prtimes.jp/i/49026/22/resize/d49026-22-ab4556f8becfb2240d81-2.jpg ]
今回の実験結果からは、1階と2階の間に小さな剥離と思われる箇所が発見されています(他は健全部と推定、足場を組んだ上での点検および大規模修繕は今後実施される予定とのこと)。なお、今回の事例は、飛行中のドローンからの音波照射加振を用いた非接触音響探査法による、初めての民間マンションにおける欠陥検出例になります。
今後もドローンの進化に伴い、提案手法も飛躍的に発展していく可能性があるため、提案手法の実用化に向けた検討を続けていく予定です。
プレスリリース提供:PR TIMES