プレスリリース
ベンチャーキャピタルANRI 給付型奨学金「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」4期生10名が決定!!
日本の科学技術の発展に貢献することを目指して、世界最先端の基礎研究に取り組む学生を対象とした給付型奨学金を支給
独立系ベンチャーキャピタルANRI(東京都渋谷区:代表パートナー 佐俣アンリ、以下 ANRI)は、日本の基礎科学研究への支援として、数学や物理学、生物学、化学など実用化までに時間がかかる基礎研究の分野に取り組む学生を対象とした給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」 を実施しており、この度、第4期生となる10名が決定したことをお知らせします。
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ANRIでは、2019年より日本の科学技術の発展に寄与することを目的とし、基礎科学研究に取り組む学生への給付型奨学金プログラムを運営してまいりました。今回もたくさんのご応募をいただき、心より感謝申し上げます。
ANRIは、創業当時からの強みであるインターネット領域に加え、ディープテックやライフサイエンスなどの幅広いテクノロジー領域の研究開発型スタートアップへの投資をしており、日本の研究技術を世の中へ創出する支援を行っております。一方で、その世の中に出る研究技術は、それまで多くの研究者が携わった基礎研究の基盤があるからこそと考えており、基礎科学研究に取り組む学生への給付型奨学金プログラムの運営を行ってまいりました。
世界に目を向けると、Paypalの創業者であり投資家であるPeter Thielが『Thiel Fellowship』を、そしてGoogle元CEOであるEric Schmidtが『Schmidt Science Fellows』という奨学金プログラムを実施する等、ベンチャー経営者やベンチャーキャピタルが世界の発展の為に奨学金プログラムを運営しています。また、日本でも基礎研究への底上げを図るためにスタートアップ企業から学生を支援する財団などが立ち上がる動きも出ております。
当社は、今後もANRI基礎科学スカラーシップを通じて、日本の科学技術の発展に寄与することを目指し、この取り組みを続けてまいります。
■「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」ついて
給付金額:1人当たり50万円
募集人数:最大10人
募集対象:数学や物理学、生物学、化学などの分野において優秀な成績を収めた学生
(※具体的な年齢の制限は設けません)
募集方法:募集の際、公開いたします
選考方法:書類選考後、面接を予定
※第5期生の募集について※
2022年春以降にANRI公式メールマガジンにてお知らせいたします。通知をご希望の方は、下記ご登録ください。
【ANRI公式メールマガジン登録フォーム】
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfi6jslnTQmMQMVzP8Eb0PsjHpYLJX8g5haCUh8leEspiEcPg/viewform
今回の「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」第4期生となる10名をご本人のコメントと共にご紹介いたします。(順不同)
■ 神野 拓哉さん 東京大学大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻
私が研究する大気科学は、物理や化学を基礎において理論・観測・数値計算を利用し、なぜ惑星の大気システムが今ある姿をしているのかを問う学問です。なかでも熱帯の雲や降水は、気候変動が社会にとって大きな問題となる以前からそれ自体物理的・数理的探求の対象としてとても魅力的なものです。さまざまな時空間スケールの現象が複雑に折り重なるカオスの中で、積雲の群れが自発的にクラスターを作り出す「自己組織化現象」の解明を中心に、積雲対流を支配する根本的な法則を大規模シミュレーションから導き出すことを目指して研究を進めています。
今回いただいた支援を受けて国内外の研究者と協働する足掛かりとし、人類の自然観を育てて数十年後の社会にもインパクトを与えるような研究成果を残せればと思います。
■ 篠田 あかりさん 九州大学大学院生物資源環境学科府 生命機能科学専攻
近年の飽食の時代においては、肥満でも肥満がリスク因子となる 2型糖尿病にならずに健康を維持する方法の解明は喫緊の課題です。その中で、モンゴル国は昔から畜産品を中心とする高脂質・高動物性タンパク質の食生活を中心とし、肥満者が多いにも関わらず、肥満がリスク因子である 2 型糖尿病患者が少ないことが分かっています。私はこの謎を解明するため、肥満や2型糖尿病と深く関与する腸内フローラ(腸管内に生育する細菌群)に着目しました。現在はモンゴル国の健康肥満者と 2 型糖尿病肥満者の腸内フローラの比較を行っています。本研究を通じて肥満でも血糖値上昇を回避する腸内フローラを明らかにしたいと考えています。私は研究をする中で、腸内フローラと様々な分野との融合研究の可能性を感じてきました。今回ANRI奨学金に採択いただけたことで、ご支援だけでなく新たな繋がりを得ることができ、大変嬉しく思います。ぜひこのネットワークを有機的に機能させ、研究の発展に繋げていきたいと思います。
■ 木村 和貴さん 京都大学大学院 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻
宇宙には太陽よりも10倍、あるいは100倍以上の質量を持つ星が存在していてそれらは大質量星と呼ばれています。大質量星は非常に明るく輝くことで莫大なエネルギーを宇宙空間に放出したり、我々の身体の元となるような重元素を生成するため、銀河や宇宙の進化を考える上で非常に重要な天体です。実はビッグバンが起きてすぐ後、宇宙で最初に形成された星々はその多くが大質量星だったと考えられています。そのため、銀河などの構造が宇宙初期にどのように作られてきたのかを理解するためにはこれらの大質量星に対する理解が必要不可欠です。現在私はスーパーコンピュータを用いて宇宙初期での大質量星の形成過程を明らかにしようと研究を行っています。この度はANRIの皆様に研究の魅力を理解して頂けたこと、ANRI奨学金に採択して頂いたこと、非常に感謝しております。今回のご支援を活かしてより一層研究を推し進め、宇宙の理解に貢献するような面白い成果を出せるよう頑張りたいと思います。
■ 山口 そのみさん 東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻
ゲノムDNAにコードされた遺伝情報の多くは、mRNAに転写され、タンパク質へと翻訳されることで発現します。しかし近年、タンパク質へと翻訳されない非コードRNAが数多く知られるようになり、遺伝子発現調節やトランスポゾンのサイレンシング、ウイルス防御など様々な生物プロセスで重要な機能を果たすことが知られています。私はこの非コードRNAの中でも20-30塩基長の小分子RNAに着目しました。小分子RNAは単体では機能せず、Argonauteというタンパク質とRISCと呼ばれる複合体(RNA induced silencing complex)を形成し、標的RNAを抑制することが知られています。私は、小分子RNAと関連するタンパク質の複合体構造を明らかにすることで、小分子RNAの産生とRISCの形成過程の解明を目指し研究を行っています。この度はANRI奨学金に採択していただき、ありがとうございます。今回のご支援を生かしてさらに研究を加速していきたいと考えております。
■ 松田 佳祐さん 大阪大学大学院生命機能研究科
昆虫などの外骨格生物は、脱皮という方法で不連続に成長します。体の中に折りたたんだシートを作った後、外の殻を壊し、そのシートを広げるという方法で、身の周りの様々な外骨格生物の形ができているわけですが、その詳しい仕組みは明らかにされていません。私はこれまでに、カブトムシの蛹の角形成を題材に、その折り畳みの研究をしてきましたが、本研究では、さらに成虫の角の形成過程を研究することで、様々な外骨格生物の形ができる仕組みを明らかにしたいと思っています。研究費の獲得や研究成果の発表は研究者にとって重要な仕事ですが、大学院生の申請できる研究費はあまりありません。VCであるにも関わらず、応用研究に留まらない支援をしてくださる本研究費には、感謝しかありません。また、本研究費を通じて、様々な領域で精力的に研究をされている大学院生とのつながりができたことも、とても嬉しく思います。この研究費を活かして、自分なりの研究を見つけたいと思います。
■ 波々伯部 夏美さん 東京大学大学院理学系研究科
吸盤は宿主動物の体表や岩や砂などの基質に固着するための器官であり、コバンザメの仲間やヒル、イカ、タコの吸盤が有名な例ですが、その他にも寄生性吸虫類(扁形動物)や紐形動物など、様々な動物種で幅広く獲得されています。私はこれまでにヒモビル(紐形動物)を対象に胚発生の各段階をステージングし、吸盤の形成前後で発現している遺伝子を調べるためにトランスクリプトーム解析を進めてきました。本研究では、吸盤形成に関与する遺伝子が胚発生のどの段階・どのタイミングで発現するのか、またそれらの遺伝子は吸盤をもたない近縁種ではどのように振る舞うのかを調べることで、紐形動物における吸盤形成のメカニズムを明らかにしたいと考えています。紐形動物のようなマイナーな非モデル生物を用いた研究は前人未踏のフロンティアが広がっている一方で、応用や発展研究への道のりはまだ遠く、研究費獲得に繋がりづらいのが現状です。今回のご支援を活かして研究に邁進し、生物の形態多様化やその機構の理解に貢献できるよう尽力したいと思います。
■ 金田(高田)真悟さん 東京大学大学院工学系研究科電気系工学専攻
次世代の低消費電力エレクトロニクスの一つとして、スピン流を活用する技術が注目されています。スピン流とは、電子のスピンの向きによって電子の移動する方向が異なる電子の流れを指します。このスピン流を用いた低消費電力メモリとして、スピン軌道トルク磁気抵抗メモリ(SOT-MRAM)が提案されています。SOT-MRAMは、情報の書き込み動作として、電流とスピン流の変換が必要であり、その変換効率が消費電力を決めています。従って、スピン流と電流の変換現象の深い理解と、高効率に変換できる材料が求められています。そこで私は、スピン流と電流の変換現象の物理と高効率な変換材料探索の研究を行っています。今回、ANRI基礎科学スカラーシップに採択していただき、誠にありがとうございます。ANRI基礎科学スカラーシップは、我々のような博士学生にとって、大変大きな支援となります。今回のご支援を活かして、より面白い物理の発見や材料探索など、研究に邁進していきたいと思います。
■ 佐藤 拓哉さん 東京大学大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻
窒素は海洋一次生産を制限する主要な要因であるため、その動態を理解することは地球全体の物質循環や気候変動への応答を理解する上で必要不可欠です。生物窒素固定は生物利用可能な窒素を導入するプロセスであるため海洋窒素循環におけるキープロセスとしてこれまでも研究されてきました。しかし、このプロセスを担う窒素固定生物の多様性、分布、制限要因はこれまでほとんど理解されていません。私は、海洋現場実験に加え、研究室でのアンプリコンシークエンシング解析、一細胞同位体分析を導入することで窒素固定生物の生態学的役割の解明を目指しています。今回、ANRI基礎研究スカラーシップに採択いただき誠にありがとうございます。ANRI基礎研究スカラーシップは我々のような博士課程学生にとって貴重な支援となります。今回の支援を活かしてフィールド調査と実験室解析の両輪で研究に邁進したいと思います。
■ 田中 詩織さん 東京農工大学生物システム応用科学府 食料エネルギーシステム科学専攻
プラズマと呼ばれる現象は工業や医療分野など、様々な場面で幅広く利用されています。私たちの身近にも、空気清浄機や消毒用オゾン生成器などといった、放電によりプラズマを発生させることで起こる現象を利用した機械が存在しています。これらの装置に用いられているような、プラズマと気中分子との相互作用はわかっているものが多い一方、私たちの身体に含まれているようなデリケートな物質との相互作用に関してはほぼ未解明です。近年、皮膚に含まれるコラーゲンIとプラズマとを相互作用させたとき、医療用接着剤として働くような新たな機能が付与できることも報告されており、プラズマと生体分子との相互作用にはまだ見ぬ可能性が隠されていると期待できます。 現在私は放電によって生成したプラズマを生体内の分子に作用させることで、結果として生じる新たな分子状態・溶液内での会合状態を明らかにすることを目的に研究を進めています。ANRI第4期生に選ばれ、非常に光栄です。いただいた研究費をもとに、プラズマと生体分子との相互作用に対する新たな知見を得る一助としたいと考えています。
■ 梅崎 大介さん 九州大学大学院工学府 量子物理工学専攻
エネルギー問題は環境問題などが複雑に絡み合う、人類最大の課題の一つです。再生可能エネルギーと並び、温室効果ガスの排出がなく、燃料の可採年数が数百年以上あるものとして、核融合炉が研究されています。核融合炉は核分裂反応を用いる原子力発電と並んで語られることが多いですが、「原理的に暴走とは無縁」「長寿命の放射性廃棄物を生じない」などの多くの利点があります。核融合炉は長年開発が続けられていますが、実現していない理由として、金属壁がプラズマから受ける熱負荷に耐えられないことなどがあります。そこで私は、金属壁近傍でプラズマイオンと中性粒子(原子・分子)間で生じる大角度の弾性散乱に注目し、既存の理論では説明できない実験事実の解明と、新しい熱負荷低減手法の提案を目指しています。この度、ANRI第4期生に選んでいただき、大変光栄に思います。研究費を有効に活用し、人類の未来に貢献できるよう、研究に精進してまいります。
■ベンチャーキャピタルANRIについて
ANRIは2012年のANRI1号ファンド設立より、一貫して創業初期(シード期)に特化してスタートアップへの投資を実行、現在4つのフラッグシップファンドを累計約350億円にて運用中。2022年1月には、フラッグシップファンドとは別に、気候変動・環境問題特化型「ANRI GREEN 1号ファンド」を設立し運用を開始いたしました。
「未来を創ろう、圧倒的な未来を」というビジョンのもと、創業当時からの強みであるインターネット領域、またディープテックやライフサイエンスなど幅広いテクノロジー領域への大学発研究開発型スタートアップへの支援をしております。シード期の企業への投資を中心に、その後の投資ラウンドも追加投資を行うことで、起業家の事業実現を一貫した姿勢で手厚く支援をいたします。
■ 会社概要
社名:ANRI株式会社
代表者:代表パートナー 佐俣アンリ
所在地:東京都渋谷区渋谷2丁目6−6 Good Morning Building 201
企業HP:https://anri.vc
プレスリリース提供:PR TIMES