プレスリリース
船級認証と最新設備で安全な作業員輸送に貢献
当社が保有する洋上風力向け作業員輸送船(CTV)「RERA AS」(レラアシ、以下「本船」)は、石狩湾新港で洋上風力発電設備の建設・運転・保守を行う世界的な風力タービンメーカー Siemens Gamesa(シーメンスガメサ社)と当社の定期傭船契約に基づき、7月5日、石狩湾新港で当社からシーメンスガメサ社への引き渡しが完了しました。今後、本船は当社グループの北洋海運株式会社がシーメンスガメサ社との契約のもと、船舶管理と運航を担い、保守作業に関わる作業員輸送を7月中に開始します。本船は当社グループとして保有・運航する初のCTVで、日本国内で現在運航中のCTVの中では最大の総トン数を誇ります(当社調べ※)。
※2023年6月の調査によるもの。
本船は一般財団法人日本海事協会(ClassNK)から、国際基準の船舶安全管理システムを構築したことを示すISMコード(注1)認証とともに、作業員の安全な輸送に必要な設備やマニュアルを完備したことを認めるノーテーション(注2)「Wind Farm Support Vessel - Crew Transfer Vessel (WFSV-CTV)」を国内のCTVとして初めて取得しています。
本船は4月にシンガポールで竣工し、当社グループの京浜ドック株式会社の追浜工場を拠点に、フェンダーや無線機器など設備の換装や検査を経て日本籍船に変更されました。当社が提携する欧州最大手のCTV運航船社の1社であるNorthern Offshore Group AB(NOG社)の子会社Northern Offshore Service社(NOS社、スウェーデン)から技術・営業面でサポートを受け、6月からはNOS社が派遣した船長の指導のもと、北海道内で操船・座学などの教育訓練を重ねています。本船は同月27日に石狩湾新港に到着し、翌28日には石狩市の加藤 龍幸市長をはじめとする約40名の関係者を招いて記念式典が執り行われました。
自然を大切にするアイヌ文化は再生可能エネルギー推進の理念と親和性が高いとの考えからアイヌ語由来の「RERA AS」(「風が吹く」という意味)という船名とし、船籍港を石狩に登録しました。地域に広く愛される船を目指し、石狩湾新港での洋上風力発電の安全運転に寄与していきます。当社グループは本事業を足掛かりとして、今後拡大が見込まれる日本の洋上風力発電事業での更なる展開を目指します。
本船の特徴
本船は英国の船舶用機器メーカーReygar社のCTVに特化した運航モニタリングシステム「BareFLEET」を日本で初めて採用しました。これにより本船の動静や燃料消費量、機器の状態などのデータを総合的に収集して分析し、船内と陸上で確認することが可能となります。
本船は海上でも「途切れない通信」環境の実現に向け、スカパーJSAT株式会社とNTTワールドエンジニアリングマリン株式会社が提供する高速インターネットサービスを国内で初めて導入しました。陸地に近いエリアでは4G通信、離れた海域では高速衛星通信の利用が可能で、船員の業務環境や福利厚生の向上に寄与します。
本船にはNOG社が欧州の過酷な海域で運航するCTVで採用しているものと同型のフェンダー(注3)を搭載しています。このフェンダーは本船が風車の支柱に船体を押し付ける際に摩擦力を増加させ、船体を安定させる効果があります。作業員の移乗時の安定性を高め、安全な作業員輸送に直結します。
[画像1: https://prtimes.jp/i/120868/17/resize/d120868-17-4804a873be402c01554a-0.jpg ]
石狩湾新港に入港する「RERA AS」
[画像2: https://prtimes.jp/i/120868/17/resize/d120868-17-138b10cf572d3a63d0cc-1.jpg ]
「RERA AS」の乗組員と関係者
[画像3: https://prtimes.jp/i/120868/17/resize/d120868-17-cfc43d6a904284020f2c-2.jpg ]
「RERA AS」に搭載されたフェンダー
[画像4: https://prtimes.jp/i/120868/17/resize/d120868-17-8a78d5782c206018702a-3.jpg ]
記念式典の様子
左から 石狩市 加藤 龍幸市長、当社 横山 勉執行役員、当社 渡辺 浩庸常務執行役員、樋口 久也常務執行役員
本船概要
全長:27.10メートル
型幅: 9.00メートル
総トン数: 138トン
乗客定員数:12名
建造造船所:PT Kim Seah Shipyard Indonesia (Penguin Shipyard International子会社)
日本郵船株式会社は、洋上風力発電関連事業などのグリーンビジネスを通じた、低・脱炭素に向けた新しい価値創造の取り組みを対象としたESGブランド「NYK GREEN EARTH」を展開しており、今回の取り組みもその一環です。
[画像5: https://prtimes.jp/i/120868/17/resize/d120868-17-d004bc9b0558d4c0bb20-4.jpg ]
NYK GREEN EARTHロゴ
(※詳しくはこちら→ https://www.nyk.com/news/2022/20220427_02.html )
日本郵船グループは、中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を2023年3月10日に発表しました。“Bringing value to life.”を企業理念とし、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、ESGを中核とした成長戦略を推進します。(詳しくはこちら→ https://www.nyk.com/profile/plan/ )
今回の取り組みが特に貢献するSDGsの目標
[画像6: https://prtimes.jp/i/120868/17/resize/d120868-17-304cf2abbf5894798928-5.png ]
(注1)ISMコード
International Safety Management Codeの略で、人為的ミスによる海難事故を防止するために国際海上安全人命条約(SOLAS 条約)が定める諸規則。 総トン数500トン以上の全ての外航船および500総トン未満の国際航海に従事する旅客船では強制適用され、内航船の場合は本規則に基づく審査・認証を日本海事協会から任意で取得できる。
(注2)ノーテーション
各船級協会が要件を満たした船舶やシステムなどに与える認証。
(注3)フェンダー
船体と岸壁や構造物などとの接触による損傷を防ぐためのクッション材。
各社概要
Siemens Gamesa
本社:スペイン・サムディオ
CEO:Jochen Eickholt
ウェブサイト: https://www.siemensgamesa.com/
北洋海運株式会社
本社:北海道苫小牧市
代表取締役社長:中野 克也
ウェブサイト: https://hokuyo-kaiun.co.jp/
Northern Offshore Group AB
本社:スウェーデン・イェーテボリ
CEO : David Kristensson
ウェブサイト: https://n-o-g.eu/
関連動画
「RERA AS」の挑戦! PART-1 〜洋上風力発電を推進する、作業員輸送船の新風〜
[動画1: https://www.youtube.com/watch?v=5m6b8gNVbKM ]
「RERA AS」の挑戦! PART-2 〜洋上風力発電を推進する、作業員輸送船の新風〜
[動画2: https://www.youtube.com/watch?v=afmSHGOLWNg ]
「RERA AS」の挑戦! PART-3 〜洋上風力発電を推進する、作業員輸送船の新風〜
ー 近日公開予定 ー
プレスリリース提供:PR TIMES