プレスリリース
がん治療に携わる医師、がん患者さんを対象に調査を実施
小野薬品工業株式会社(大阪市中央区)とブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社(東京都千代田区)はこのほど、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)※1の国内承認によるがん免疫療法の誕生から10年の節目を迎えたことから、同療法に対する現状評価を把握するため、がん治療に携わる医師100人、がん患者さん900人を対象にオンライン調査を実施しました。
調査対象となった医師の9割が「新たながん治療の選択肢」としてICIによる治療を評価したほか、ICIによる治療を受けたことのある患者さんの約7割が「治療選択肢が増える」「がん患者にもっと広く知られて欲しい」とICIによる治療を評価しました。また、医師・患者さんともに約半数が、今後のICIについて「治療効果の向上」に期待を寄せていることもわかりました。
一方で、がんの免疫療法と呼ばれる療法の中には、治療効果や安全性が科学的に証明されていない療法もあります*2。がんの免疫療法についての情報が混在することで、治療を検討する患者さんが困惑してしまう可能性もあり、より広範かつ信頼性の高い医療情報を提供することの必要性も浮き彫りになりました。今回の調査では、約4割の医師が「がん免疫療法と称する、エビデンスのない情報への厳格な監査・措置」「がん免疫療法と称する、エビデンスのない医療行為への厳格な措置」が必要と回答し、「ICIに関してがん患者が正しく理解できる情報」を6割を超える患者さんが希望していることも、本調査結果から明らかになっています。主な調査結果は以下の通りです。
医師調査結果の概要
9割の医師がICIを新たながん治療の選択肢として評価し、今後期待することとして約5割の医師が「治療効果の向上」と回答
90%の医師が、「がん治療の選択肢として地位を築いた」、8割以上が「さらなる発展を期待したい治療法である」「患者さんに正しく理解して欲しい治療法である」など、がん治療の新たな選択肢としてICIによる治療を評価。(参考データ集:医師調査 「1.ICIへの評価」)
今後のICIへの具体的な期待として、約50%の医師が「化学療法や放射線療法など他の治療法との併用で治療効果が向上すること」「効果が出る患者さんが増えること」と回答。(参考データ集:医師調査「2.ICIについて今後期待すること」)
約4割の医師ががん免疫療法と称するエビデンスのない治療への措置が必要と回答。正しい理解のため、3割強の医師が「正しく理解できる」「広く知らしめる」情報提供を求めている
がんの免疫療法と呼ばれる療法には、治療効果や安全性が科学的に証明されていない療法もある中で※2、約40%の医師が「がん免疫療法と称する、エビデンスのない情報への厳格な監査・措置」「がん免疫療法と称する、エビデンスのない医療行為への厳格な措置」が必要だと思うと回答。(参考データ集:医師調査 「3.ICIによる治療のさらなる浸透のために必要だと思うこと」)
30%以上の医師が「正しく理解できる」「広く知らしめる」患者さんへの情報提供だけでなく、患者さん以外の生活者にも認知を広げることを求めている(参考データ集:医師調査 「4.ICIの情報提供について感じていること」)
患者調査結果の概要
ICI使用経験のある患者さんの約7割が、自身のICI治療を評価
ICI使用経験のある患者さんからは「治療の選択肢が増えてうれしい」(68%)など、ICI治療を評価するほか、「がん患者にもっと広く知られて欲しい」(68%)と他の患者さんにとっても新たな治療の選択肢になることを期待する声もあった。(参考データ集:がん患者調査「1.ICIへの評価」)
患者さんの約半数が、今後のICIについて「治療効果の向上」や「生活の質の維持」に期待
ICI使用経験の有無にかかわらずICIを認知している患者さんが「ICIに今後期待すること」は、「転移性のがんに対しても効果を発揮し、転移を制御または減少させること」(51%)「副作用が発生しても管理がしやすく生活の質を大きく損なわないこと」(51%)「効果が出る患者が増えること」(49%)など。(参考データ集:がん患者調査「3.ICIについて今後期待すること」)
がん免疫療法の詳細に関する認知割合は、ICIの使用経験の有無により10ポイント超の差。がん免疫療法と称する民間療法が多いことを知っているのは、20ポイント超の差
「がん免疫療法」を知っていると回答した患者さんでも、ICIの使用経験の有無によって「がん免疫療法は免疫の力を利用してがんを攻撃する治療法だ(ICI使用経験者80%/ICI未使用経験者64%)」「医学的に効果が認められているがん免疫療法は今やがんの一般的な治療法の1つとなっている」(同73%/同42%)と詳細認知に10ポイント以上の差があるだけでなく、「がん免疫療法と称するエビデンスのない民間療法も多い」(同64%/48%)についてもICI使用未経験者で詳細認知割合が下回る。(参考データ集:がん患者調査「4.がん免疫療法の認知に関する自己認識」 「5.がん免疫療法の詳細に関する認知状況」)
患者さんの半数以上が、ICIについて「がん患者が正しく・広く理解できる情報提供」を望む
ICI使用経験の有無にかかわらずICIを認知している患者さんが「ICIの情報提供について今後期待すること」として、「ICIについてがん患者が正しく理解できるような情報提供」(61%)のほか、51%が「ICIについてがん患者が広く知ることができるような情報提供」「患者に限らず一般生活者がICIについて正しく理解できるような情報提供」を挙げた。(参考データ集:がん患者調査「6.ICIの情報提供について今後期待すること」)
調査概要
【調査実施期間】2024年6月21日〜6月28日
【調査対象】医師:ICI適応がん腫いずれかに関連する診療科で全身化学療法によるがん治療経験のある医師(病床数200床以上)100名、患者さん:1.20〜70代のICIによるがん治療の経験者200名/2.20〜70代のICI適応のがん腫だがICIでの治療は未経験のがん患者さん700名
【調査手法】:オンライン調査
参考データ集
https://prtimes.jp/a/?f=d131503-15-d8521812d9e920ee598dfbcec4989a4d.pdf
※1免疫チェックポイント阻害薬(ICI)について
免疫細胞の働きを抑制する「免疫 チェックポイント」を阻害することで、がん細胞に対する免疫を活性化・持続させる治療薬。がん治療には「手術療法」「化学療法(抗がん剤治療)」「放射線療法」があり、さらにICIが2014年に国内承認された。国内では現在8種類のICIが承認、使用されている。
※2出典:国立がん研究センターがん情報サービス(参照日:2024年7月17日)
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/index.html
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