• トップ
  • リリース
  • 産業革新投資機構(JIC)、ESG・DE&I推進に関する投資先インタビューを公開

プレスリリース

  • 記事画像1
  • 記事画像2
  • 記事画像3
  • 記事画像4

産業革新投資機構(JIC)、ESG・DE&I推進に関する投資先インタビューを公開

(PR TIMES) 2024年04月26日(金)19時40分配信 PR TIMES

企業価値向上を加速するESG推進を

 JICはPRI(責任投資原則)に署名し、ESGへの取り組みを進めており、その重要な要素となるDE&Iについても推進しています。
 JICがLP投資を行うシードVCの株式会社ジェネシア・ベンチャーズで、ESGやDE&Iを考慮した経営・投資に取り組む河合将文パートナー/チーフ・サステナビリティ・オフィサー、吉田実希シニア・ポートフォリオ&パートナーシップ・マネージャー、宮原綾子ポートフォリオ&パートナーシップ・マネージャーのインタビューを公開しました。
https://www.j-ic.co.jp/jp/topics/genesia.html
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/126311/14/126311-14-7a601b94ed295a788c235353604816cd-1160x600.jpg ]

ESG の推進自体が目的ではない

河合パートナー/チーフ・サステナビリティ・オフィサー(以下「河合」):
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/126311/14/126311-14-f69cd240f2b51859e23d9cb45c0cf318-666x559.jpg ]

投資テーマとしてクライメートテックを含むサステナビリティ領域に関心を持っていたことが、ファンドとしてのESG経営やESG投資を検討する入口になりました。また、「すべての人に豊かさと機会をもたらす社会を実現する」というジェネシア・ベンチャーズのビジョンも、ESGの理念と重なる部分が大きいと感じていました。そこで、PRIに署名してESG投資方針を策定するところから始めましたが、起業家にとってもメリットが感じられる実効性のある取組にするため、予め長期的なロードマップを作成しました。投資検討プロセスにいかにESGの要素を統合し、投資後は起業家とどのように対話をしていくか、ESG経営の具体的な支援策をどのように設計するか、どの項目をKPIとして計測・評価し、ESGの効果を可視化してレポーティングするか等、最初の段階でESG推進の全体的な枠組みと実施のステップを具体的に策定していました。

宮原ポートフォリオ&パートナーシップ・マネージャー(以下「宮原」)
昨年発行した『ESGレポート』(https://drive.google.com/file/d/1YqKJmWBXMsqtobiJkGCXEkZBfzpVxcZj/view))では、国内100社近くの投資先を対象にアンケートを実施し、ESG経営に対するスタートアップのスタンスを把握・可視化しました。本レポートは、スタートアップの間でのナレッジ共有や、必要な取組を補完するための情報発信を目的としています。また、ジェネシア・ベンチャーズではESGの推進自体が目的ではなく、人的資本経営やガバナンス強化がスタートアップの事業推進や持続可能な経営体制の構築に繋がり、結果として企業価値が向上するという仮説のもとESGに取り組んでおり、一連の流れを加速するために、『ESGレポート』が羅針盤のような役割を果たせればと考えています。

(河合)
投資検討プロセスにESGを組み込むため、ESGチェックリストも独自に作成しました。環境、社会、ガバナンスに関する40項目ほどを評価し、重要項目の洗い出しを行っています。ただし現時点のESG対応の可否をもって投資判断をしているわけではなく、あくまでリスクや機会を分析し、今後の対応方針を明確にすることが目的です。ESGチェックリストを活用して特定した重要項目に関しては、2年から3年の時間軸で経営者と対話しながら、改善や強化に向けて協働していきます。ちょうど投資時に定めた重要項目の振り返りが必要な時期になりましたので、当初考えていたことがどの程度達成できているのか、期待どおり進んでいない場合、梃入れすべきなのか、あるいは方向性を見直すべきなのかといった評価を行い、継続的にESG経営の改善を図っていきたいと考えています。

(宮原)
投資先のスタートアップに対しては、ESGの取組におけるリソースを補うためのサービスとして『ESGソリューション(https://www.genesiaventures.com/esg-solution/)』を提供しています。例えば、社内のハラスメントやメンタルヘルスに関して外部専門家に相談できる窓口や、不正や横領に関する内部通報窓口を設けています。企業規模の大小にかかわらず、そうした制度を設けることが法令で求められるようになってきましたが、こうした外部の動きに対する感度を高く持ちながら、具体的な取組に反映していけるように、チーム全体 で心掛けています。ESG推進支援に関しては、定期的な勉強会の実施やガイドラインの共有等を通じて体系的に実施していますが、女性を含む多様なバックグラウンドを持つ方たちの勉強会への参加促進等、スタートアップの代表者以外のメンバーへのナレッジ共有については、工夫の余地があると感じています。

(河合)
『ESGソリューション』のメニューを少しずつ増やしていますが、コスト負担の問題もあり、無制限には対応できないというのが悩ましいところです。また、社内でESGの取組を推進するためのリソースを十分に確保することも容易ではないため、効率よく進めるための仕組化が重要になると思います。私たちの場合は、『ESGソリューション』のような枠組み作りや外部リソースの活用等により、なるべく負担を減らしています。実務面では、PRI署名機関としてのレポーティング等に多少時間を要することもありますが、そのようなプロセスを通じて投資検討時に非財務情報をより多角的かつ精緻に評価できるようになり、投資後のバリューアップでも幅広い支援策を提供できるようになったと考えており、プラスの効果が大きいと思います。そういう意味では、JICがグローバルで様々なアセットクラスに投資されている中で得た海外の先行事例や、他のVCや海外スタートアップの取組事例等をご共有いただけると、ESGに関する取組強化やレベル向上にも繋がると思います。

吉田シニア・ポートフォリオ&パートナーシップ・マネージャー(以下「吉田」)
JICは幅広く投資活動をされていて、業界全体の底上げが可能なポジションだと思いますので、そういった取組にも期待しています。

ESGの取組は目的を共有し、徐々に浸透させていくもの

(吉田)
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/126311/14/126311-14-3d161bfa917e12fb431a1b1123935207-682x552.jpg ]

ジェネシア・ベンチャーズ社内における共通認識の醸成も重要です。ESG推進も含め、個性豊かなメンバーが同じ方向を向いて進めるように、ビジョンやミッション、行動指針(Genesia Principles)といった大上段の合意形成を丁寧に行い、時間をかけて、全メンバーに浸透させています。投資先に対しても、ビジョン・ミッションの策定の重要性を共有しています。自社の軸となる考えをしっかり言語化することで、採用においてもミスマッチを防ぎ、価値を共有する仲間を増やすことができると思います。

(宮原)
毎週行われる全社会議で、行動指針に関連する個人やチームの行動を共有する時間を設けていますが、それによって共通認識が形成され、目指すものがより明確になります。自身がチャレンジしたいことも、行動指針の観点でプレゼンすることで理解を得やくなることもあります。

(河合)
当初は社内でもESGに対する理解には個人差がありましたが、ESGに関する取組は全体で目的を共有して、時間を掛けて徐々に浸透させていくものだと感じています。慣れのような側面もあり、ESGチェックリストの確認作業や投資委員会資料への重要項目の記載等を積み重ねていくことで、体で覚えることから意識も強化されていきます。ジェネシアはクライメートテック分野の投資にも注力していますが、これは正にESGの重要なテーマの一つです。ESG推進においては、VCの本業である投資活動でもESGへの対応が伴うことが大切ではないかと思います。

投資家側に多様性がないことで課題が見過ごされる可能性

(吉田)
スタートアップは社会の負を捉えそれを解消し、新たな価値を作っていくという挑戦をしていますが、投資家側に多様性がないことで課題が見過ごされる可能性があります。そのため、スタートアップ業界における多様性の欠如を大きな課題と捉え、ジェネシア・ベンチャーズとしても具体的な取組を検討、推進しています。例えば、投資の意思決定において、フラットな目線で事業の本質的な価値を見いだせるように、無意識での判断の傾向を自身で認知するため、アンコンシャスバイアスに関するワークショップを実施しています。また、国内投資先のエリア分散のため、関東圏以外の地域へのリーチも強化しており、アカデミアのバックグランドを持つ起業家や各地域の特性を活かしたスタートアップとの面談機会を創出しています。私たちが主催、もしくはメンバーが登壇するイベントでは、講師のジェンダーの多様性を担保することを考えています。ただ、多様性の確保が目的になってはいけません。様々なバックグラウンド、属性の方たちと協働することにより投資、イベント開催などの取組で高い成果を出すことができると考えています。

(宮原)
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/126311/14/126311-14-8c7d7e4a3bafe2aab7d10ea1771df09d-702x562.jpg ]

私は金融機関からVCに転職しましたが、関心はありつつもVCやスタートアップでの働き方に関する情報にあまりリーチできていませんでした。偶然、ジェネシア・ベンチャーズでの働き方に関する情報発信に触れ、VCの世界に足を踏み入れましたが、VCやスタートアップでのフレキシブルな働き方等、女性に限らず、様々なバックグラウンドを持つ方の背中を押すような情報発信が必要だと思います。JICは資本力や発信力があると思いますので、人材プールの形成や情報発信等を通じてVCやスタートアップに関心を持つ方の背中を押すようなことをしていただけたら、人材の流動性が高まると思いますし、私たちとしても連携させていただけたらと思っています。

(吉田)
女性活躍推進の面では、周囲のサポートと互いの歩み寄りが欠かせないと思います。 キャピタリストと起業家間のコミュニケーションにおいては、夜の会食や週末の時間を使ったロングミーティングの開催が必要になることもあります。「女性活躍推進のために、子育て中の人は参加が難しいからそれらをやめよう」という発想になりがちですがそうではなく、例えばその間ベビーシッターに頼みやすくなるよう会社側で補助を出す等、機動的に選択肢を提供できれば、仕事での挑戦を諦めずに家庭とのバランスを保つことができるかもしれません。だれか一人が我慢をするのではなく、外部のサポートにも頼りながら上手く子育てを分担できれば、家族のキャリアをお互いに持続的に応援できる環境にも繋がると思います。理想的なライフワークの比重は人によって異なります。ジェネシア・ベンチャーズでは育児休暇の間も、希望があれば一定期間を超えるとプロジェクト単位で業務に携わることができるのですが、そういったフレキシブルな制度も求められているのではないでしょうか。

(宮原)
フレキシブルな働き方のオプションがあるというのは、子育てや介護等、様々なライフイベントでキャリアを中断することなく、チームで助け合って仕事を進めることができるようになるため心理的にも良いと思います。まだこうした意識の醸成や仕組みづくりは道半ばですが、業界全体として底上げしていけたらと思います。


<JICファンド管理室メンバーのコメント>

鈴木 良枝ファンド管理室長 マネージングディレクター(兼 ESG推進担当)
「ジェネシア・ベンチャーズは日本のVCとしてはかなり早い段階からESGに取り組まれ、PRIにもJICより先に署名されていました。ESGとDE&Iへの取り組みや情報発信も志高く素晴らしいもので、ぜひご紹介したいと考えておりましたので、今回実現してとても光栄に思います。直接お話を伺って、各取り組みはジェネシア・ベンチャーズのビジョンやミッションに合致するものであることが改めて理解でき、JICに対する期待等を知ることもできましたので、投資先や経済社会全体の持続的な価値向上に向けて、取り組みを推進していければと考えております。」

小川 瑶子
「ジェネシア・ベンチャーズのESGやDE&Iへの取組に関する発信を以前より拝見していましたが、今回のインタビューを通じて、改めてその取組みの素晴らしさを実感しました。特に社内でのESGの推進やリソース不足であるスタートアップへのサポートについて、実際に行っている具体的施策をお伺いでき、大変勉強になりました。弊社も勿論ですが、多くのVCやスタートアップにとって参考になる内容かと存じます。今後も様々な取組の発信を楽しみにしております。」

枇榔 翔
「ジェネシア・ベンチャーズのESG推進に関する考え方や取組をお伺いする機会を頂け、大変光栄に思います。ESGが企業価値向上に繋がるという考えや投資プロセスへのESG要素の組込など、各取組が非常に素晴らしいものであることを改めて実感しました。特に女性活躍の面において、利用者目線で真に利用できるルール作りなど、女性活躍を推進するJICにとって非常に勉強になる考えを聞くことができました。今後も力を併せて社会全体の持続的な価値向上に繋がる取組を進めていければ嬉しく思います。」



プレスリリース提供:PR TIMES

このページの先頭へ戻る