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Spectrum Instrumentation GmbH

スペクトラム社製A/Dコンバータカードが危険度が極めて高い火山の早期警戒システムに採用

(PR TIMES) 2023年05月16日(火)13時45分配信 PR TIMES

スペクトラム社製PCIeデジタイザカードが6km離れた場所でも極微弱な火山活動を検知

デジタイザなど計測機器のメーカであるスペクトラム・インスツルメンテーション社(本社ドイツ・グロースハンスドルフ/以下、スペクトラム社)のアナログ-デジタル変換回路(A/Dコンバータ)カードがこの度、火山噴火の早期警戒システムに採用されました。
中米グアテマラには3つの活火山があり、いずれも近隣には複数の村が点在しています。そこに住む人々の命を守るためには、噴火に対する早期警戒システムの存在が極めて重要になります。これまでにもそうしたシステムは開発されていますが、グアテマラの火山は溶岩の代わりに火砕流(火砕物密度流)を噴出する、極めて危険な火山として知られています。火砕流は、噴火時に放出されるガスや岩、灰などから成る非常に危険な熱雲で、流下速度は最高時速600km、温度は800℃にまで達します。したがって、住人が速やかに避難できるよう、できるだけ多くの警告を早期に発することが不可欠です。Amin Amiri博士率いるユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究チームは、こうした火砕流を研究し、レーダーを用いた超高感度早期警戒システムを開発しています。そして、その中核を担うのが、スペクトラム社のPCIeデジタイザカードM2p.5921-x4モデルです。このデジタイザカードは非常に感度が高く、観測装置を火山の斜面から6km離れた距離に設置しても微小な火山活動を検知することができます。

この装置は、送受信用アンテナ(リフレクター)を備えたXバンドおよびKuバンドのレーダーシステムで構成され、火山の斜面に火砕流が出現すると、反射した戻り信号と送信信号とを比較して火砕流の規模および火山活動に関する情報を含む中間周波数(IF)信号を生成します。生成されたIF信号は、スペクトラム社のM2p.5921-x4カードによって毎秒20メガサンプルでデジタル化され、同社の計測ソフトウェア「SBench 6」を介して処理されます。

[画像1: https://prtimes.jp/i/95734/12/resize/d95734-12-fb465ecf118629ece6b2-0.jpg ]

図1:電子装置は、ジャングルの湿気や雨、野生動物から保護するため、金属製の箱に収納されている。

Amin Amiri博士は次のように述べています。
「私たち研究チームはつい最近、サンティアギート火山の斜面の1つをモニタリングするための装置を設置して戻ってきたばかりです。今回の火砕流観測は、この種の火山活動のメカニズムを理解するための初の試みです。火山活動はいつ起こるかわからないので、観測装置には地震感知器を内蔵し、振動を感知するとレーダーシステムが起動する仕組みになっています。これにより、火砕流の発生に関連するデータのみを収集することができます。また同時に、グアテマラのジャングルの奥地に設置され、電力を太陽光発電に頼るしかない装置の節電にもなっています。数ヶ月後には保存されたデータを収集するために現地へ戻り、残りの2つの斜面にもそれぞれ観測装置を設置する予定です」

[画像2: https://prtimes.jp/i/95734/12/resize/d95734-12-13100fd919235172e03a-1.jpg ]

図2:活発な活動が続くサンティアギート火山は、さらに大きなサンタマリア火山に形成された側火山(溶岩ドーム)である。

当初、装置はターゲット斜面から4kmの距離で動作させることを想定し設計されていましたが、ジャングル内の地形が設置に適していなかったことから、さらに離れた6km地点の高台に設置されることになりました。距離が予定より50%も増したため装置の感度低下を懸念した研究チームは、ジャングル上空から火山の斜面までドローンを飛ばし、その動きを装置に検知させ、正常に動作することを確認しました。

Amin Amiri博士は、さらに次のように述べています。
「この装置を早期警戒システムとして成功させるためには、感度の高さが重要な鍵となります。スペクトラム社のデジタイザカードをテストした結果、ノイズフロアが-100dBmと驚異的に低いことがわかり、そのおかげで火砕流の最初の兆候である火山斜面の微小な動きをすべて捉えることが可能な移動目標指示装置(MTI)システムを構築することができました」

この研究においてAmiri博士のチームが直面した最大の難関は、高温多湿の環境、そして蚊への対処でした。自分たちだけでなく、すべての電子機器をそれらから守らなくてはなりませんでした。湿度、雨、野生動物への対策として、金属製の箱を使用することになりましたが、箱に穴を開けられない上にジャングルの気温は35℃を超えるため、装置の冷却が大きな課題となります。そこで、箱は常に日陰になる場所に置き、箱の中に扇風機を付けて空気を循環させる対策がとられました。チームは現在、次の装置の設置に向けて、箱の上部に熱を放出するための大きな羽根を取り付けたり、太陽電池式の小型冷蔵庫を内蔵するなど改良を進めています。

[画像3: https://prtimes.jp/i/95734/12/resize/d95734-12-706caea9f9e9e73e0f50-2.jpg ]

図3:活火山の斜面から6100メートルの地点に設置した最初の観測装置。

Amiri博士は、最後に次のように述べています。
「スペクトラム社のデジタイザカードを選んだ理由のひとつは、温度、湿度ともに幅広い帯域で動作するよう設計されていることです。さらに、周辺温度が高温になりすぎた際には、システム保護のために回路を自動的に遮断するサーマルカットアウト機能を備えていることも決め手になりました。他のプロジェクトでもスペクトラム社製のデジタイザを使ったことがあり、その製造水準の高さはよく理解しています。ジャングルの奥地でも安心して使用し続けられるので、交換のために地球の裏側まで飛んでいく必要がなくなりました」

スペクトラム・インスツルメンテーション社(Spectrum Instrumentation)について
1989年に創業したスペクトラム社(CEO 兼 創業者Gisela Hassler)は、モジュラー設計を利用することでデジタイザ製品および波形発生器製品をPCカード(PCIeおよびPXIe)やスタンドアローンのEthernetユニット(LXI)として幅広く生み出しています。スペクトラム社は30年間に、トップブランドの業界リーダーやほとんどすべての一流大学を含む、世界中のお客様に製品をご利用いただいています。当社はドイツのハンブルク近郊に本社を構えており、5年保証と設計エンジニアやローカルパートナーによる優れたサポートを提供しております。スペクトラム社の詳細については、https://www.spectrum-instrumentation.com/ をご確認ください。



プレスリリース提供:PR TIMES

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