プレスリリース
ロレアルリサーチ&イノベーション、森下仁丹株式会社とロレアル初、植物由来化粧品有用成分でできた最先端の「アクティブデリバリーカプセル」の開発に成功
環境に配慮した技術で、有用成分を濃縮
世界最大の化粧品会社ロレアルグループの日本における研究開発部門である日本ロレアルリサーチ&イノベーションセンター(研究所:神奈川県川崎市、所長:アミット・ジャヤズワル)は、医薬品製造企業である森下仁丹株式会社(大阪府大阪市、代表取締役社長:森下 雄司)との共同研究により、植物から得た化粧品の有用成分を用いた「アクティブデリバリーカプセル」の開発に成功しました。このカプセルは有用成分をカプセル膜に高濃度に含むと同時に、カプセル内に他の様々な有用成分を封じ込めることによってそれらを酸化や変質から守り、長期間にわたる性能と安定を維持することが可能になります。これまでのカプセルは有用成分をカプセル内に閉じ込めるだけのものでしたが、この新規カプセルは化粧品の有用成分自体がカプセル膜の主要構成成分である、ロレアルで初めてのシームレスカプセルとなります。
■ 植物由来化粧品有用成分でできたシームレスカプセル
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ミロタムヌス フラベリフォリア(Myrothamnus flabellifolia) はアフリカ南部に生息する植物で、乾季には水分を失って葉を落とし長期にわたって枯れたような状態になりますが、いったん雨が降って水を含むと、数時間のうちに元の形に復活することから「復活の植物」とも呼ばれています。アフリカではこの植物の復元力ゆえに、伝統的医療に使われてきました。現在ではその過酷な環境への耐性が注目され、化粧品原料としても関心が高まっています。
ミロタムヌス フラベリフォリアからの抽出物を寒天とアルギン酸ナトリウムと共に、森下仁丹株式会社の持つシームレスカプセル技術でカプセルにしました。外膜に植物抽出物を含むこのアクティブデリバリーカプセルの内部には化粧品の有用成分である脂溶性のビタミンEやビタミンC誘導体、抗酸化能が高い一方で不安定なフェルラ酸などを封入でき、この外膜によって完全保護された有用成分をフレッシュな状態で提供することができます。このような先進的デリバリー技術は、これまでに類がありません。 数々の試作を繰り返し、膜厚をギリギリのところまで薄くしたことによって、このアクティブデリバリーカプセルは指や化粧品容器のポンプの吐出圧力などで容易に破壊でき、透明性も向上、また、これまでのカプセルにありがちな皮膚の上でヌードル*を生じることもなく、使用性が良くなっています。
日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンター スキンケア開発研究所研究員の丸山和彦は「化粧品有用成分をできるだけ濃縮した形で製品中に入れるために、カプセル膜に組み込むことを考えました。森下仁丹株式会社の高い技術力のおかげで、初めて化粧品有用成分をカプセル膜に濃縮できただけでなく、他の有用成分の内包や膜厚の調節などによって、製品に応用した際の機能面でも、また感触面でも化粧品素材として満足できるカプセルを開発することができました。実際にアジア人女性にこのカプセルを含むフォーミュラを使用していただきましたが、90%以上の方に使用感が高く評価されています」と語っています。
*ヌードル:化粧品を皮膚に塗布した時に、摩擦によって生じることがある、紐状の固形物
[画像2: https://prtimes.jp/i/72207/9/resize/d72207-9-09c3dd7e1b6baf37db25-1.png ]
■ ロレアルの新しい価値: 環境を考慮した持続的な技術開発
今回開発されたアクティブデリバリーカプセルは、植物由来の抽出エキスと天然成分である寒天、天然由来成分のアルギン酸ナトリウムを使用しており、製造過程においても、有機溶媒を使用しない、環境への負荷を抑えたプロセスが用いられています。また、カプセルの製造を行っている工場はISO14001を取得、クリーン燃料である天然ガスを用いた「コージェネレーションシステム」を採用したことによりCO2排出量を削減するとともに、大気汚染にも配慮しています。アクティブデリバリーカプセルは、ロレアルが推進しているサスティナビリティプログラム、「ロレアル・フォー・ザ・フューチャー」の2030年に向けてのコミットメントに合致した化粧品素材となっています。
■ 日本のエコシステムを活用した製品開発:医薬品メーカーと化粧品メーカーの共同研究
ロレアルグループは1983年から日本での研究開発をスタートし、製品開発のみならず、日本人の皮膚や毛髪、社会・文化、化粧習慣など、あらゆる角度から研究を行っています。日本のリサーチ&イノベーション センターは日本の大学や研究機関、また様々な技術を持つ企業との協働を通じて日本の先進技術を取り入れ、日本、アジア、そして世界の市場で展開する魅力的な製品を生み出しています。今回は、医薬品メーカー森下仁丹株式会社との初めての共同研究により、医薬品・食品分野で利用されていたシームレスカプセルを化粧品に応用し、化粧品の有用成分自体がカプセル膜の構成成分である新規アクティブデリバリーカプセルの開発に成功しました。このプロジェクトの統括責任者であったマチュー・キャシエは、「日本を代表する医薬品メーカーである森下仁丹株式会社との共同研究により、最先端のアクティブデリバリーカプセル技術をロレアルの製品に応用でき嬉しく思います。このパートナーシップは、最先端のパフォーマンスを常に消費者に提供し続けるための重要なマイルストーンです」と今回の共同研究について述べています。
ロレアルは、今後も森下仁丹株式会社と共同で、アクティブデリバリーカプセル技術を活用した開発を進めていきます。ロレアルが推し進める地球環境を考慮した持続的な技術開発で、消費者のみなさまのより健やかで美しい肌のための製品を開発してまいります。
なお、今回開発されたアクティブデリバリーカプセルは、ロレアルグループブランドであるアルマーニビューティーの「クレマ ネラ レビセンタリス メタコンセントレート」に応用されています。
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ロレアルグループについて (https://www.loreal.com/)
ロレアルは、100 年以上にわたって美に専念してきました。35*の多様で補完的なブランドからなる独自の国際的なポートフォリオにより、グループは 2020 年に 279 億 9,000 万ユーロの売上高を達成し、世界中で 85,400 人の従業員を雇用しています。世界有数のビューティーカンパニー であるロレアルは、マス市場、百貨店、調剤薬局・ドラッグストア、ヘアサロン、トラベルリテール、ブランドリテール、E コマースなど、あらゆる流通ネットワークに展開しています。 研究とイノベーション、そして 4,000 人の研究専任チームは、ロレアルの戦略の中核であり、世界中の 美への熱望を叶えるために活動していま す。ロレアルは、2030 年に向けてグループ全体で意欲的な持続可能な開発目標を掲げ、より包括的でサステナブルな社会に向けてエコシステム を強化することを目指しています。*L’OREAL Annual Report 2021 に基づく
ロレアルリサーチ&イノベーションについて
(https://www.loreal.com/ja-jp/japan/articles/science-and-technology/beauty-research-and-innovation/)
日本における研究開発は1983年にスタートし、現在、日本ロレアル リサーチ&イノベーションセンター(所在地:川崎市、所長:アミット・ジャヤズワル)として、戦略的なイノベーション拠点としての役割を担っています。数ある外資系化粧品企業においても、もっとも歴史ある研究開発部門であり、いち早く日本の文化、歴史、社会を深く理解し、200名以上の研究員が、ラグジュアリーブランドをはじめ、グループの各ブランドおよび様々なカテゴリーの製品開発を行っています。代表的なブランドはランコム、シュウ ウエムラ、キールズ、ヘレナ ルビンスタイン、ケラスターゼ、ロレアル プロフェッショナル、メイベリン ニューヨークなど。
森下仁丹株式会社について (https://www.jintan.co.jp/)
主な事業:医薬品、医薬部外品、医療機器ならびに食品等の製造および販売
業祖 森下博が「社会への奉仕」を信念とし、1893年の創業来、人々の健康や豊かな暮らしの一助となる製品をご提供して参りました。当時、懐中の総合保健薬(当時は赤大粒仁丹)として開発し、その後は口中清涼剤として親しまれる銀粒の「仁丹」(現在は医薬部外品 販売名:仁丹N)、その製造から着想を得て、独自に開発し事業領域を拡大しつつある「シームレスカプセル技術」と、これまでの生薬研究の蓄積と独自技術の確立・育成を通して、幅広い領域で企業活動を行なっています。
プレスリリース提供:PR TIMES