プレスリリース
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(以下、GHIT Fund)はマラリアに対するワクチンおよび治療薬開発に約9.1億円、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)に対する製品開発に約2.7億円の合計約11.8億円の投資を決定したことを発表いたします。*1
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/120361/7/120361-7-cbe0084bf1d3b554aed8249b6e79f1bb-2048x1152.jpg ]
マラリアは、世界で年間約2億5,000万人が罹患し、2021年には約62万人*2が死亡しています。また、顧みられない熱帯病(NTDs)は、世界で16億人以上の人々に影響を与える20以上の熱帯感染症を中心とした疾患群*3であり、特に低中所得国の貧しい地域に偏り分布し、人々の健康や生活に大きな影響を与えています。診断薬、ワクチン、治療薬などが必要な状況にも関わらず、資金や人材が不足し、研究開発が進んでいません。GHIT Fundはこの顧みられない感染症と闘うため、日本の技術およびイノベーションと海外の機関との連携を促進し、新薬などの研究開発に投資をしています。
非臨床試験段階にある次世代のマラリアワクチン開発に約5.7億円の投資
第一に、住友ファーマ株式会社、愛媛大学、欧州ワクチンイニシアチブ(EVI)、ポルトガルの非営利バイオテクノロジー企業であるInstituto de Biologia Experimental e Tecnologica (iBET) が共同で進める赤血球期マラリアワクチン開発プロジェクトに約5.7億円の投資を行います。現在、最も開発が進んでいるマラリアワクチンは有効性が低く、十分に感染を阻止できないという点から、さらに効果の高いワクチン開発が望まれています。本プロジェクトの推進により、より効果的な次世代ワクチンの開発が期待されます。
第二に、田辺三菱製薬株式会社、Medicines for Malaria Venture (MMV)、ジョージア大学による抗マラリア薬の前臨床候補物質の創出を目的としたプロジェクトに約3.3億円の投資を行います。
その他、顧みられない熱帯病対策として、笹川保健財団、アメリカハンセン病協会、オズワルドクルス研究所によるハンセン病ワクチンの臨床試験段階のプロジェクトに約1.5億円、株式会社医学生物学研究所とアメリカの非営利診断薬開発企業であるDrugs & Diagnostics for Tropical Diseases (DDTD)を含むパートナーシップによる住血吸虫症とオンコセルカ症の診断薬開発プロジェクトにそれぞれ約5,500万円と約6,600万円の投資を決定いたしました。
GHIT Fund CEOの國井修は、「日本の強力なリーダーシップと海外のパートナーの協力のもと、マラリアと顧みられない熱帯病に対する新しい製品開発に投資できることを嬉しく思います。新たなパートナーの参画によって第3期の製品開発を加速化し、一日も早く現地に新薬等を届けたいと思います」と述べています。
2023年9月27日時点で、47件のプロジェクトが進行しており、内訳として、19件の標的・探索研究、17件の非臨床試験、11件の臨床試験*4となります。(別紙2)GHIT Fundのこれまでの累積投資金額は約302億円となります。
別紙は以下のリンクよりご覧ください。
https://prtimes.jp/a/?f=d120361-7-6d81449ed1b1d0f81185e9718d5ae212.pdf
注記
*1これらの案件は、2022年11月〜2023年7月にかけて実施した公募RFP2023-001(製品開発プログラム)の中から選定され、承認されたものです。
*2 WHO(世界保健機関)https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/malaria 参照
*3 WHO(世界保健機関)https://www.who.int/health-topics/neglected-tropical-diseases 参照
*4 薬事申請の段階にある案件を含みます。診断薬開発において、途上国における 患者サンプルを使用した臨床的妥当性の評価を行う段階に入った案件については、表現の便宜上、臨床試験として扱う。
【注意事項】
1. GHIT Fundでは、製品開発案件に対して「助成」することを、「投資」と表現しています。製品開発に対して資金提供だけを行うのではなく、積極的に進捗管理に関与し、成果が見込めないプロジェクトについては直ちに中止するなど、厳格なポートフォリオ・マネジメントを行っています。一般的に用いられる、金銭的利益を目的とした「投資」とは意味合いが異なります。
2. 「継続投資」とは、過去にGHIT Fundから投資を受けている製品開発パートナーが、GHIT Fundから新たな投資を受ける際に用いることを指します。
3. 本プレスリリースの別紙2に記載した各プロジェクト概要は、製品開発パートナーがGHIT Fundに提出した資料から該当箇所を抜粋したものです。詳しくは、GHIT Fundのウェブサイトを御覧ください。
【グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)について】
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画が参画する国際的な官民ファンドです。世界の最貧困層の健康を脅かすマラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症と闘うための新薬開発への投資、ならびにポートフォリオ・マネジメントを行っています。治療薬、ワクチン、診断薬を開発するために、GHIT Fundは日本の製薬企業、大学、研究機関の製品開発への参画と、海外の機関との連携を促進しています。詳しくは、https://www.ghitfund.org/jpをご覧ください。
プレスリリース提供:PR TIMES