プレスリリース
[画像: https://prtimes.jp/i/75293/6/resize/d75293-6-2ce68e71db7f3ecd90ab-0.jpg ]
2021年12月30日
カタリスト投資顧問株式会社
株式会社NIPPOに対するエンゲージメントについてのご報告
カタリスト投資顧問株式会社(以下「当社」)は、当社が投資助言を行う投資信託であるマネックス・アクティビスト・マザーファンドを通じて、日本企業にエンゲージメント投資を行っております。
先日、当社が少数株主利益保護に関する問題提起を行っていた、株式会社NIPPO(以下「NIPPO」)に対する、NIPPOの親会社であるENEOSホールディングス株式会社とザ・ゴールドマン・サックス・グループ・インクによる、特別目的会社を介した公開買付け(以下「本件」)が成立いたしました。残念ながら、当社が問題提起の上でNIPPOにご提案した、公正性担保措置プロセスの再考には至りませんでした。しかし、日本の資本市場の前進に資する重要なエンゲージメントとなったと考えております。
当社が本件について問題提起をした後、国内外の多くの投資家・メディアから問い合わせを受けました。その後、皆様もご存知の通り、大手グローバル投資家3社が本件への意見および当社への賛同を表明するに至るという、極めて稀なケースとなりました。日本の資本市場の進化を後押しする力が働いている証左と言えましょう。これ以外にも、日本の資本市場を憂うる有識者の方々から数多くの励ましの声を頂戴しました。関係省庁ほか各所とも本件について議論をする機会に恵まれました。一貫して、当社の問題提起について好意的であり、資本市場の在り方に対する問題意識を喚起することができました。
一方で、多くの市場関係者の賛同を得ながらも、最終的にNIPPOによるプロセスの再考に至らなかったことは事実であり、親子上場およびその解消プロセスの公正性担保の難しさ、問題の根深さを改めて認識いたしました。親会社による上場子会社の買収においては、既に親会社が上場子会社の株式の過半数を保有しているため、他の買収者が対抗提案を実施しても、親会社が応じない限り対抗提案が成立することはありません。故に、子会社における少数株主保護、特に子会社に設置される特別委員会による少数株主保護の配慮とアクションが極めて重要となりますが、役員解選任権を事実上親会社が持つ中で、親会社の意向に反する対応を子会社役員が取ることは、その構造から困難が伴います。また、アドバイザーにおいても、案件受注を考えると、今後の有望な依頼主となり得る親会社の意向に背くアドバイスをするインセンティブは働きにくくなります。
だからこそ、子会社が設置する特別委員会が、その少数株主利益保護のいわば最後の砦であり、極めて重要な役割が制度上も期待されている訳ですが、この「特別委員会の役割」が、いまだに我が国に於いて社会的に正しく・強く認識されていないことが、我が国の資本市場の大きな課題であると再認識しました。今後、東証市場再編の流れの中で、親子上場の解消案件は増えてくると考えられ、その際の上場子会社の少数株主の利益を守るために、これらの構造的な問題の解消をするべく、当社は様々なステークホルダーの方々との対話を継続し、日本の資本市場の活性化に取り組んで参ります。加えて、関係省庁等に対しても各種コードやガイドラインの改善の働きかけを行って参ります。当社は引き続き、あらゆる資本市場関係者の皆さまと共に、コーポレートガバナンス改革の真の実現に尽力していく所存です。
以上
プレスリリース提供:PR TIMES