プレスリリース
Press Release
Global ESG Strategy
2024年5月24日
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日本語プレスリリース
https://prtimes.jp/a/?f=d135781-5-60e4f0f96b35d07dd5401678519e22de.pdf
株主提案本文
https://prtimes.jp/a/?f=d135781-5-c18e02fd715543fb409033e1f6967264.pdf
Swiss-Asia Financial Services Pte Ltd(以下「SAFS」)の運営ファンドであるGlobal ESG Strategy(以下「GES」)は、ESG(Environment(環境), Social(社会)及びGovernance(ガバナンス))の視点から中長期的な投資を行う投資ファンドであり、責任ある投資家として、建設的な対話等を通じ、日本の上場会社の中長期的な企業価値・株主価値の向上を実現することを後押ししていくことを運用方針としています。
GESは2023年より東証スタンダード上場の株式会社ウィザス(以下「ウィザス」)(証券コード:9696)に対する投資を開始し、同社へのエンゲージメントを継続してまいりました。現在、SAFSの運営ファンドにてウィザスの株式を議決権にて約19%保有しています。これまでの間、同社が創業家の関わるガバナンス上の深刻な問題点を抱えており、また、上場企業として求められる資本効率に対して無自覚な経営が漫然と行われていることが明らかとなりました。
具体的には、ウィザスは資本コストや資本収益性を無視した経営方針により、業界最低レベルの株価評価に陥っています。その主因は、資本効率を無視した大幅なネットキャッシュ状態にあることが挙げられますが、これを解消するための基本的な財務方針もありません。このようなむやみにキャッシュを溜め込む企業体質は、東証の要請する「バランスシートをベースとする資本コストや資本収益性を意識した経営」 にも明らかに反します。
さらに、同社では創業者及び創業家である堀川家への特定の地位・報酬の供与、創業家による競合他社との役員兼務、子会社株式の取得を通じた創業家への実質的な利益供与、創業家を実質的に保護する買収防衛策の導入・維持などが行われており、ウィザスは上場企業でありながら、一株主である創業家に対する過剰な配慮や利益誘導が行われ、上場企業として目指すべき成長や株主共同の利益の実現が阻害されている状況にあります。
GESはこれまで、ウィザス経営陣との対話を通じて、これらの問題点及び課題の改善を求めてきました。しかしながら、ウィザス経営陣は現状に何ら不適切な点はないとの説明に終始し、自発的に改善される兆しが見られないことから、このたび、2024年6月開催予定の定時株主総会に同社のガバナンス体制の根本的な改善と資本効率の改善を目的とする株主提案(以下「本提案」)を提出しました。
かかる本提案は、別紙のとおり、1.資本効率の改善の一環としての大胆な株主還元、2.創業家を優先・優遇する「番頭経営からの脱却」を図るガバナンス改革、3.株主との建設的対話の促進、4.創業者関係者らの既得権益を守るための買収防衛策の廃止を実現するための計10個の議案からなります。
GESは、これらの株主提案の実現及びウィザス株主の皆様への情報公開により、ウィザスのガバナンス上の深刻な問題点の解消と真に資本効率を追求する経営の実現を図り、株主共同の利益の最大化を目指してまいります。
本件に関するお問い合わせ先: globalesg@swissasia-group.com
Global ESG Strategyについて
GESは、ESG(Environment(環境)、Social(社会)及びGovernance(ガバナンス))の視点から中長期的な投資を行う投資ファンドであり、投資先との建設的な対話等を通じ、投資先の企業価値・株主価値の向上を実現することを後押ししていくことを方針としています。
Swiss-Asia Financial Services Pte Ltdについて
SAFSは、2004年設立、シンガポールを拠点とし、シンガポール証券先物法に基づく資本市場サービスライセンス(Capital Markets Services License)を保有する投資運用会社です。
免責事項
本資料は、SAFSの運営ファンドであるGESによるウィザスに対する株主提案に係る情報提供を目的としており、それ以外の用途に用いられてはなりません。
本資料に記載された情報は、SAFS による独自の調査及び分析並びに一般に入手可能な公開情報に基づいています。SAFS、GES又はSAFSのその他の関係者 (以下「SAFSら」といいます。)は、その正確性、完全性、適切性、網羅性等について何ら保証するものではありません。
本資料は、SAFSらの独自の見解、予想、意見を示すものであり、これらは今後変わることがあり得ます。いかなる目的においても本資料に依拠してはならず、また、本資料を投資、金融、法律、税務その他の助言であると理解してはなりません。
本資料に含まれる情報又は意見には将来に関する記述が含まれています。これらの将来に関する記述や予測、予想は、説明のみのために記載されているものであり、もとより不確実、かつ、重大な不測の事態により実際の結果がこれら将来に関する記述と大きく異なることがあります。SAFSらは、かかる将来に関する記述や予測、意見、本資料に含まれる記載に関連して発生する直接的又は間接的なものを含む何らの損害について、一切の責任を負いません。
本資料に含まれるいかなる情報ないし内容も、いかなる意味においても、募集、推奨、サービスや商品の販促、広告、勧誘若しくは表明と解釈してはならず、また、いかなる投資商品の売買若しくは証券へのいかなる投資に関する助言若しくは推奨であるとも解釈してはなりません。
本資料は、株主総会における議案に関し、SAFSらが、ウィザスの株主を代理して議決権を行使する権限をSAFSら又はその他の第三者に対して付与することを要請するものではなく、そのように解釈されてはなりません。また、ウィザスの株主に対して、SAFSら又はその他の第三者を自らの代理人と定め自らに代わってその議決権を行使する権利を付与することを提案し、奨励し、勧誘し又はこれを目指すものではなく、そのように理解されてはなりません。
別紙抜粋(詳細はPDF版をご覧下さい。)
■資本効率の改善と株主還元策の拡充
資本コストや資本収益性を全く無視した経営スタンスと業界最低レベルの株価評価
ウィザスは関西圏を中心に展開する学習塾事業に加えて、今や連結営業利益の89%を創出する全国で展開する通信制高校を含む高校・大学事業が近年大幅に成長し、非常に高い利益率水準を達成しています。しかし高い利益率にも関わらず、ウィザスの株価評価は2023年度予想EBITDAベースのEV/EBITDA倍率で2.8倍と、同業他社に比して著しく低く、その主因はウィザスの大幅なネットキャッシュ状態にあることが挙げられます。
ウィザスにおいては、すでに総資産の38.5%にあたる70億円超のネットキャッシュが積み上がっています。ウィザスの期末配当の配当性向は25%未満の予定であったところ本年5月13日に約60%と増配する発表をしたことは一定の評価に値しますが、同業他社の配当性向が平均で50%を超えており、一部企業で100%を超えている中、ウィザスにおいては具体的な大きな投資計画が無いため、引き続き既に過剰なネットキャッシュが更に積みあがる予定であり、配当規模は不十分です。
加えて、ウィザス経営陣は、GESとの対話において同社の業態上大きな設備投資は必要が無いと説明してきた一方、学習塾と通信制高校の2つを両輪として事業を行っているために、学習塾事業のみを行っている会社よりも財務余力が必要だと感覚的な話を基に説明しており具体的な必要水準は示されていません。
GESは、このようなウィザスの現状を踏まえ、資本効率の改善と株主還元策の拡充のため以下の株主提案を行います。
<株主提案 議案1:配当金の決定を取締役会決議から株主総会決議に変更する>
ウィザスでは、定款の定めにより、取締役会が独自に配当額を決定しており、内部留保を取締役会の裁量により運用しています。このように、取締役会が配当額の決定に対する自由裁量を有していることが、同社の資金効率・キャピタルアロケーションに無自覚な、株主に対しても極めて無責任な経営を可能にしている悪因であることは明らかです。そこで、配当決定権を株主総会に取り戻す定款変更を行うことを提案します。
<株主提案 議案2:2023年度期末配当を配当性向150%とする>
蓄積された内部留保は、新たな事業投資に積極的に活用するべきですが、現時点で十分に具体的な投資計画が示されていない以上、大胆な株主還元として配当性向150%の配当を行うことを提案します。
<株主提案 議案3:2024年度、2025年度においても配当性向を150%とする>
蓄積された内部留保の株主還元のための一時的な手当てとして、2025年度までの期間、同水準の配当を維持することを定款に明記することを提案します。
少なくとも2025年度まで仮に配当性向を150%としたとしても、下表のとおり、引き続き大幅なネットキャッシュ(2025年度末で約56億円、EBITDAの1.9倍もの水準)を維持し続けることとなり、ウィザスの財務健全性を損なわないことは明らかです。
仮に2024年度の配当性向を150%とし、株価が配当利回り3%程度まで上昇した場合、ウィザス株価は約6,667円(2024年5月20日時点の株価の約4.6倍)まで上昇することが見込まれ、株主共同の利益に資することは明らかです。
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■”番頭経営”からの脱却のためのガバナンス改革
ウィザス創業家(堀川家)の公私混同にかかる深刻な状況
ウィザスでは、上場企業であるにもかかわらず、20%程度の一株主の創業者関係者が未だにウィザスを創業家自身のプライベートカンパニーであるかのように振舞っており、創業者関係者によるウィザスの実質的な支配、ウィザス及び連結子会社等の私物化が懸念される状況となっています。
創業家への特定の地位・報酬の供与
創業者の堀川一晃氏は、ウィザスの100%子会社の株式会社ブリーズの代表取締役社長を31年以上にわたって務めています。それだけにとどまらず、堀川一晃氏には、2015年にウィザス取締役を退任したのち、毎月150万円、年間1,800万円に上る相談役報酬が支払われています。これはウィザスの業務執行取締役の平均報酬総額と同程度の水準であり、ウィザスの従業員平均年収の3倍を超える水準です。
創業者の長男にあたる堀川直人氏は、約16年以上も100%子会社の株式会社SRJの代表取締役社長を務めておりますがり、その間、目立った業績へ貢献は見られませんでした。さらに、学習塾事業をけん引した実績がないにもかかわらず2024年3月からウィザスの学習塾事業の執行役員に就任しています。また、ウィザス子会社の株式会社テラス1(以下「テラス1」)の代表取締役にも就いており、事業の実績ではなく創業家という理由で明らかに特定の地位の独占が行われています。
このように説明がつかない状況にもかかわらず、ウィザスの経営陣は適切・適任であると判断していると主張し続けています。事業価値の明らかな向上が確認できていない中、特定の個人が特定の地位を占めることは異常な事態で、ガバナンス上不適切と言わざるを得ません。
創業家による競合他社との役員兼務
創業者の長男の堀川直人氏は、ウィザスの取締役を退任した後1年以内に、競合企業である株式会社学研塾ホールディングスの取締役に就任し、その退任の発表と同時期である2024年3月に、今度はウィザスの執行役員に就任しました。短期間での競業企業相互間での取締役としての去就は、当該個人が一方企業で得たノウハウや機密情報、アイディアを意図せずとも、流用しているとの疑念を招き、双方の企業関係者からの訴訟リスクを誘発するものです。実際にも、前職で得た機密やノウハウの流用を避けようとするあまり、現に取締役を務める会社での施策実行を躊躇する可能性も否定できません。
また、堀川直人氏は、ウィザスグループの中でICT(情報通信技術)を使った教育サービスを展開する連結子会社SRJの社長を16年間勤めながら、競合企業である市進ホールディングスの連結子会社で同様にICTを使った教育サービスを展開するウィングネットの社外取締役を今年の2月末まで務めていました。競合し得るサービスを展開する可能性がある中、両社の取締役を務めることでウィザスにとって最適なICT事業展開を行うことを躊躇した可能性があったことも否定できません。
創業家への実質的な利益供与(3億59百万円)
ウィザスは、2023年10月、77.4%の株式を保有していた子会社のテラス1の残りの22.6%の株式を580百万円で追加取得し、100%子会社化したと四半期報告書の注記に記載されています。
創業家の長男である堀川直人氏は、テラス1の14%の株式を個人で保有する株主であったことから、上記580百万円の株式取得代金のうち359百万円が堀川直人氏個人に払われたこととなります。
GESは、生駒社長に対して、そもそも一従業員が自社の連結子会社の株式を保有すること自体通常では考えられないことであるが、なぜ堀川直人氏が連結子会社の14%もの株式を個人で保有することとなったのか尋ねたところ、当時の意思決定にご自身も入っていたことから、具体的な理由も知っているけれども話したくないとの返答がありました。
創業者関係者は、ウィザス子会社の私物化や、競業避止義務意識の欠如等の懸念があり、事業価値の向上よりも個人的な評判・関係構築のために濫用している可能性が憂慮されます。現経営陣においても、ウィザス本体及びグループ会社の役職等についてすら創業家の好き勝手な人事希望を受け入れている懸念があり、役員報酬や経費支出をその私腹を肥やすために利用し子会社役員の立場を子会社の事業価値の向上よりも個人的な評判・関係構築のために濫用しているのではないかという当然の疑義が生じることを許してしまっている現状は、一般的な制限をもってしても、かかる状況は打破し難いものです。未だにウィザスが創業家の会社であるかのように振舞う創業者関係者が影響力を増大させることはウィザスの企業価値・株主共同の利益向上を阻害します。
GESは、ウィザスにおける抜本的なガバナンス改革のために、以下の株主提案を行います。
<株主提案 議題4:連結子会社の取締役の就任制限について>
ウィザスの連結子会社等の取締役は、連続又は合計5年間を超えて、同じ連結子会社等の取締役に就任することができなくすることを提案します
<株主提案 議題5:同業他社の取締役又は役員経験者の取締役及びマネジメントへの就任制限について>
当会社事業と同様の事業を営む他社の取締役または役員を務めた個人は、他社での任期終了後1年間、当会社において、他社で関与した事業と同種の事業を担当する取締役、執行役員、カンパニー長、本部長、副本部長および部長に就任することができなくすることを提案します。
<株主提案 議題6:創業家関係者の取締役就任への制限>
創業者関係者がウィザスの連結子会社、持分法適用非連結子会社および関連会社の取締役になることができなくすることを提案します。
■株主との建設的対話の促進
GESは、本株主総会に先立ち、ウィザスに対し、全取締役との個別面談を重ねて申し入れましたが、ウィザスは取締役との個別面談の設定を拒否しました。コーポレートガバナンス・コードにおいて、上場会社は企業価値向上のため株主総会の場以外において、株主との間で建設的な対話を行うべきとしています。
また、株主平等原則は、合理的な範囲で株式数に応じて取り扱いの差異を設けることを許容しており、企業価値向上の視点から対話を実施するにあたり、大株主との個別面談を妨げるものではありません。
経営陣による大株主との個別面談応答のの便益は当該大株主だけでなく全ての株主が享受できるため、大株主が率先して個別面談を行うことは株主共同の利益に資することとなります。
<株主提案 議題7:取締役による株主との面談対応>
3%以上の議決権を有する株主、又は投資をするのに必要な権限を有する運用者から個別面談の要請があった場合、20営業日以内に個別面談に応じること(ただし、やむを得ない理由により当該期間内の個別面談ができない場合には、5営業日以内に面談を要請した株主または運用者にその旨を通知の上、対応可能な個別面談の日時を別途設定する)ことを提案します。
個別面談要請があった場合の面談の回数については、株主または運用者当たり、業務執行取締役等である取締役については四半期に1回以上、業務執行取締役等でない取締役については年に1回以上応じるものとする。
■創業者関係者らの既得権益を守るための買収防衛策の廃止
前回の株主総会招集通知では、ウィザス創業者関係者らの株式の保有割合を20.11%と開示するとともに、買収防衛策の維持の目的を「外部者」である買付者からの買付行為による企業価値、株主共同の利益の毀損の防止であるとするところ、この文脈からも防衛策の存置が、創業者らの既得権益の保持を企図していることは一見して明らかです。
ウィザスは、「外部者」の排除の理由として、ウィザスが社会において担う、公共的役割を強調されていますが、防衛策が実際に意図するところの創業者関係者の偏重、創業者一族への配慮は、会社の私物化と言わざるを得ず、ウィザスが重視するとされる「公共的使命についての認識」と対極をなすものです
前回の株主総会における買収防衛策の賛成比率は79.04%と、見た目上は8割に近いものの、上記の通り、創業者関係者らの保有割合が2割を超えていたことや実際に議決権行使された比率に鑑みれば、創業者関係者以外のその他の株主からの賛成は50%に満たない低い水準でした。
以上の理由により、GESは、第一次的には現行の買収防衛策の廃止とその仕組みの撤廃を提案するとともに、次善の策として、買収防衛策が特定の関係者を利する道具として使用されることを抑止すべく、その公平な適用を明示する文言の追加を提案します。
<株主提案 議題8:買収防衛策の廃止>
2023年6月28日開催のウィザス定時株主総会で承認された「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策」を廃止する。
<株主提案 議題9:定款第18条の削除の件(買収防衛策の導入等の条文削除について)
定款第18条(買収防衛策の導入等)を削除する。
<株主提案 議題10:定款の一部変更の件(買収防衛策の創業者関係者らへの適用について>
議案8が否決される場合には、定款第18条(買収防衛策の導入等)にて買収防衛策は創業者関係者も対象となることを明記する定款変更を行うことを提案します。
プレスリリース提供:PR TIMES