プレスリリース
薬の効果を投与前から判定する「光診断薬」、新薬創出と薬事承認取得のための研究開発を加速
HILO株式会社(本社:北海道札幌市、代表取締役:天野麻穂、以下「当社」)はこのたび、グリーンコア株式会社と国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)を引受先とし、第三者割当増資により資金調達を行ったことをお知らせ致します。
このたびの資金調達により、1.肺がん、膵がん等を対象とする新規光診断薬の創出、2.製薬企業とのアライアンスを通した新しい治療薬創出のための研究開発 を主軸に研究開発を展開するとともに、これまで進めていた3.慢性骨髄性白血病(CML)を対象とした臨床検査の薬事承認取得のための臨床開発を加速してまいります。
■調達の目的
1.肺がん、膵がん等を対象とする新規光診断薬の創出
まずは肺がん、膵がんなどのパイプライン拡充を目指しますが、リウマチや潰瘍性大腸炎といったがん以外の疾患にも挑戦します。さらに未知の標的分子、すなわち新しい創薬ターゲットを探索しながら、光診断薬を創出します。すべてのがんに適用できるよう光診断薬のレパートリーを拡充します。
2.製薬企業とのアライアンスを通した新しい治療薬創出のための研究開発
光診断薬は、患者さんから取り出した生きた細胞1細胞レベルで薬剤感受性を判定します。他の創薬プラットフォーム技術では困難な、薬の効かない細胞の特性解析や動物実験の縮小、治験期間短縮などへの貢献に具体的な期待が寄せられています。サービス提供もすでに始めております。製薬企業との連携を通し、効率的な新薬開発に貢献します。
3.慢性骨髄性白血病(CML)を対象とした臨床検査の薬事承認取得
すでに私たちは、慢性骨髄性白血病(CML)の治療で用いられる6種類の分子標的薬(※1)のうち、患者さんごとにどれが効果的かを決定する技術開発に成功しています。現在までに140症例以上の実績があります。この技術を臨床検査として、少しでも多くの患者さんと医師に届けるため、薬事承認取得と保険適用をめざした臨床開発を加速させます。
■独自技術「光診断薬」
薬を飲み始める前から、患者さんごとに最適な分子標的薬の種類と量を直接判定することができる技術です。これにより、患者さんは回り道をせずに最適な薬にたどり着けるようになります。
光診断薬は、患者さんのがん細胞1細胞レベルで、がんの原因となっているタンパク質の活性を測定するバイオセンサーです。患者さんのがん細胞の中で、分子標的薬が効けば青、効かなければ黄色を呈するよう、フェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)(※2)という物理化学現象を利用した修飾を施しています(特許取得済)。
また、豊富なラインナップを作り出せる拡張性も光診断薬の魅力の一つです。光診断薬には本体にあたる部分があり、分子標的薬の標的となる分子の構造をカセットのように入れ替えることで、レパートリーをたくさん作り出すことができます(図1)。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/109146/4/109146-4-942e33c41b2afb0ae988aa7fd43d1e07-1440x810.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1.光診断薬のレパートリー拡張性
■用語解説
(※1)分子標的薬
がんの標準治療では、病気の原因となっているタンパク質だけを標的とみなして攻撃する「分子標的薬」が用いられるケースが増えています。従来の抗がん剤に比べ副作用が少なく、一般に治療効果が高いものの、患者さんごとにどの分子標的薬が最適かは治療開始前には判らないのが現状です。また、副作用も患者さんによって異なり、薬代も1日2万円を超えることがあります。このように、治療を受ける患者さんにとって肉体的・経済的に余分な負担を強いられる場合が少なくないことが課題となっています。
(※2)フェルスター共鳴エネルギー移動(Forster resonance energy transfer; FRET)(図2)
蛍光を発する分子同士の間でエネルギーのやり取りが起こる現象です。通常、励起光で励起されエネルギーを得た蛍光分子は蛍光を発します。FRETはそのかわりに、近接する別の蛍光分子にエネルギーを渡し、エネルギーを受け取った方の分子から蛍光が発せられる現象です。
光診断薬は、標的分子の活性に応じて構造が変化します。標的分子の活性がなければ(薬が効いていれば)青色を発しますが、活性があれば(薬が効いていなければ)FRETが生じ黄色を発します。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/109146/4/109146-4-eb146ee28e9ad6ccc77a470fe8d7b1be-1440x810.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2.光診断薬の原理(チロシンキナーゼ阻害剤の例)
■各出資者様からのコメント
グリーンコア株式会社 代表取締役 本庄 竜介 様
HILO株式会社の光診断薬技術が医療現場に実装され、最適な薬剤の処方が行えるようになることで、患者さんの負担を大幅に軽減させるだけでなく、医療保険財政負担の軽減にも繋がる可能性があります。
こうした社会課題に一丸となって取り組む天野社長や大場CTOをはじめとした結束の強い経営陣の取り組みに非常に感銘を受けました。HILO株式会社の発展のため、今後も積極的に支援して参ります。
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)
スタートアップ出資・支援室 香取 就美 様
HILO株式会社が実用化を目指す光診断薬は、北海道大学・大場先生が長年開発に取り組んできたものであり、JSTの研究開発成果も活用されています。近年、がんを中心に多くの分子標的薬が開発されていますが、効果に個人差がありその予測が難しいことや、薬剤耐性細胞の出現は患者さんへの負担となっています。同社技術の実用化による、患者さんの負担低減、また新規医薬品の開発への貢献を期待しています。同社の発展に向け、全力でご支援させていただきます。
■HILO株式会社について
HILOは「私たちは、イメージング技術で患者さま一人一人の未来に光を当て、安心して治療に挑むことができる社会を目指します。」をミッションとし、2021年8月に設立したJ-Startup HOKKAIDO認定スタートアップです。
コーポレートサイト:https://www.horizonillumination.co.jp/
■本件に対するお問い合わせ
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/109146/4/109146-4-a1f16f5ebc227a50c25c1e252fb22e08-775x336.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
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