プレスリリース
〜東京都オリンピック・パラリンピック準備局「明日の混雑予報ポータル」にてデータ提供〜
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)は株式会社unerry(以下:unerry)と人流情報を高度に推計する技術を開発し、東京都オリンピック・パラリンピック準備局が運営する「明日の混雑予報ポータル」において活用されました。
本技術は、株式会社NTTドコモ(以下:ドコモ)が提供する人口統計情報「モバイル空間統計(R)」(注1)とunerryが提供するリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank(R)」(注2)の位置情報データに、NTTデータとunerryが共同開発した拡大推計技術を掛け合わせることで実現しています。
今後NTTデータは、本技術を位置情報サービスにおける人流推計サービスとして展開することにより、コロナ禍における混雑の緩和や観光回遊の促進等、社会への貢献を目指します。
背景
東京都オリンピック・パラリンピック準備局が整備した「明日の混雑予報ポータル」は、イベント当日と前後1日の街の混雑予報と実績を地図上に表示するもので、イベント期間中の混雑回避を目的に、運用されました。これまで、混雑度を予測するのは単一の人流データソースからでは難しいという課題がありました。今回の共同開発では、リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」の位置情報データとドコモ携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口統計情報である「モバイル空間統計」データを統合的に処理し、それぞれのデータの強みを生かし、弱みを相補することで本課題を解決しました。
概要
本技術では、時間的・空間的分解能の高い「Beacon Bank」のデータを用いてイベント会場などの「特定エリア来訪者」を検出し、来訪前後の位置情報を補間処理することで前後行動を推定します。推定された前後行動に該当する地域メッシュ(500m四方)での集計値に対して「モバイル空間統計」による高精度滞留人口を掛け合わせることで、「エリア来訪者」数の拡大推計(注3)を行います。
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2020年に行われたプロ野球の試合日の来場者データを対象として、検証を実施し、試合が行われた日と試合が行われていない日での球場周辺の混雑状況を比較し分析したところ、本技術を活用して算出した推定来場者数が来場者数の実績とおおよそ一致しました。また、試合が行われた日の混雑状況から来場者数分の差分をとった数値が、試合が行われていない日の滞留人口と同じ傾向になるという結果が得られました。このことから、来場者による人流・混雑状況が高い精度で抽出できたと評価できました。この結果、「明日の混雑予報ポータル」において本技術が採用されました。
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大規模なスポーツイベントなどで競技会場などの特定エリアへの来訪者の移動実績を、実際の人数レベルで推定することは、データの空間的分解能やデータ総量の問題があり、単一の人流データソースでは、実現が難しいという課題がありました。NTTデータは、「明日の混雑予報ポータル」における明日の混雑予報サービスの運用にあたって「Beacon Bank」の位置情報データと「モバイル空間統計」データの統合的な処理による混雑推計データの提供と、明日の混雑予報のWEBサイト上での地図描画機能を実装し、イベント期間における、都内の混雑緩和に貢献しました。
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今後について
本技術は、プロ野球をはじめとするスポーツイベントによる周辺混雑への影響の推定や、野外フェスなどのイベント等での活用による、安心な移動の実現や混雑回避の誘発、自治体の観光動態調査、商業施設や商店街でのリアルマーケティングでの活用などに役立てることができます。
NTTデータでは、本共同開発の成果を、位置情報サービスにおける人流推計機能として提供していくとともに、NTTグループで取り組む「4Dデジタル基盤(R)」(注4)の実現に向けて、NTT研究所と連携し、予測精度向上など高度化を目指します。
NTTデータの位置情報サービスは、地理空間情報や人流・交通流データ等の位置情報データを活用したサービスを、ユーザー企業の利用形態に合わせて最適な組み合わせで提供します。ここでは、今回掛け合わせたデータのみならず、複数データソースの人流データを統合的に扱い、高精度・高分解能で位置情報を推定することで、イベント開催時の混雑緩和、観光回遊促進等、幅広い用途でのサービスの提供を目指していきます。
注釈
注1) モバイル空間統計は、ガイドラインに沿って作成された集団の人数のみを表す人口統計情報であるため、お客さま個人を特定することはできません。なお、モバイル空間統計のガイドラインでは、お客さまのプライバシーを保護するため、個人識別性を除去する「非識別化処理」、ドコモの携帯電話普及率を加味して人口を拡大推計する「集計処理」、さらに少人数を除去する「秘匿処理」を適切に実施することを定めています。
注2) リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」は、大量のビーコンをネットワーク化して相互活用できるプラットフォーム(特許技術)としてスタートしました。現在はGPSも含めたリアルタイム人流ビッグデータや「カメラの設置なしで精度良く施設内人数を推定する独自IoT機器(特許技術)」をはじめとした多様なIoTデータとの連携が可能な、リアルな「場所」と「ヒト」をAI解析できるマーケティングプラットフォームとなっています。とりわけ日本全国約210万個(2021年9月現在)規模となったビーコンネットワークには、GPSでは難しい屋内/地下街の店舗単位での高精度な行動ログが集積され、消費者行動が詳細理解できることが強みとなっています。なお、「Beacon Bank」では、個人を特定するデータ・情報は使用しておりません。
注3) 拡大推計とは、同一メッシュにおける(「モバイル空間統計」の滞留人口数)/(「Beacon Bank」の人数)にて算出される拡大比率を、Beacon Bankデータに乗じることで実人数を推計する手法を指します。
注4) 「4Dデジタル基盤」は、ヒト・モノ・コトのさまざまなセンシングデータをリアルタイムに収集し、「緯度・経度・高度・時刻」の4次元の情報を高い精度で一致・統合させ、多様な産業基盤とのデータ融合や未来予測を可能とする基盤です。NTTのIOWN構想における「デジタルツインコンピューティング(DTC)」を支える基盤として、NTT研究所の技術とNTTグループのノウハウ・アセットを活用し、2021年度からの機能の順次実用化と、継続した研究開発による機能拡充をめざします。詳細については、以下のサイトをご覧ください。
https://www.rd.ntt/4ddpf/
・「Beacon Bank」は日本国内における株式会社unerryの登録商標です。
・「モバイル空間統計」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
・その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。
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