プレスリリース
Press Release
Global ESG Strategy
2024年5月22日
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135781/3/135781-3-2c240a00e2b582ecbc4e8893f0dd7813-426x134.png ]
日本語プレスリリース
https://prtimes.jp/a/?f=d135781-3-6171d7ddc2445893eecb70f46efaa580.pdf
Swiss-Asia Financial Services Pte Ltd(以下「SAFS」)の運営ファンドであるGlobal ESG Strategy(以下「GES」)は、ESG(Environment(環境), Social(社会)及びGovernance(ガバナンス))の視点から中長期的な投資を行う投資ファンドであり、責任ある投資家として、建設的な対話等を通じ、日本の上場会社の中長期的な企業価値・株主価値の向上を実現することを後押ししていくことを運用方針としています。
GESは2023年より東証スタンダード上場の東京コスモス電機株式会社(以下「TOCOS」)(証券コード:6772)に対する投資を開始し、同社へのエンゲージメントを継続してまいりました。現在、SAFSの運営ファンドにてTOCOSの株式を議決権にして約16%保有しています。GESはTOCOS経営陣との対話を重ね、株価や資本コスト・資本収益性を意識した経営への変革を促してきましたが、十分な対応策が示されておりません。
TOCOSにおいては、創業以来の可変抵抗器事業に加えて車載用電装品事業を展開し、売上高で車載用電装品が50%を超えた2017年度以降はさらに業績を拡大し、2022年度には過去最高売上高を達成し、連結営業利益率も過去2期において10%を超えています。最近においても、TOCOSは、本年4月に新中期経営計画を公表し、2026年度の株主資本配当率(DOE)を3.5%とし、段階的に増配を目指すとしており、株主還元策を拡充する方針を打ち出すなど、一定の評価に値する新たな取り組みも公表しています。
しかしながら、TOCOSでは、業績が伸長し財務基盤の改善も進んできたにも関わらず、依然として、過度に資金を留保しており、十分に効率的な経営方針となっているとは言えません。この非効率性がTOCOSの適切な株価評価を歪めることとなっており、TOCOS株価は同業他社に比して非常に割安に評価されています。また、TOCOSは、GESからの各取締役への個別面談の申し入れに対して、一部の取締役しか応じないなど、株主との対話に前向きではありません。十分に効率的な経営が行われていないことは、社外取締役がTOCOS経営陣を適切に監督できていないことの現れでもあり、株主が積極的なアクションを起こさなければ自発的な改善は望めない状況にあります。
かかるTOCOSの抱える経営課題を解決するために、GESは2024年6月開催予定の定時株主総会に、資本効率の改善、及び株主との対話の促進を目的とした以下の3つの株主提案(以下「本提案」)を提出いたしました。本提案の詳細につきましては別紙をご参照ください。
議題1: 剰余金処分の件 〜1株あたり配当金571円〜
議題2: 定款の一部変更の件(剰余金の配当方針について)〜2024年度から2026年度まで配当性向100%又はDOE10%の配当額を維持する〜
議題3: 定款の一部変更の件(取締役による株主との面談対応について)
本提案が承認された場合、TOCOSの取締役会に対し、株主から、非効率な経営方針を温存していることについて十分な説明責任を果たすことが求められていることに加え、より効率的な資本配分の決定が全てのステークホルダーの利益に合致することが期待されているという明確なメッセージを発信することになります。ひいては、本提案を通じて、TOCOSのコーポレートガバナンスの改善と真に資本効率を追求する経営の実現、そして株主共同の利益の最大化を促進します。
本件に関するお問い合わせ先: globalesg@swissasia-group.com
Global ESG Strategyについて
GESは、ESG(Environment(環境)、Social(社会)及びGovernance(ガバナンス))の視点から中長期的な投資を行う投資ファンドであり、投資先との建設的な対話等を通じ、投資先の企業価値・株主価値の向上を実現することを後押ししていくことを方針としています。
Swiss-Asia Financial Services Pte Ltdについて
SAFSは、2004年設立、シンガポールを拠点とし、シンガポール証券先物法に基づく資本市場サービスライセンス(Capital Markets Services License)を保有する投資運用会社です。
免責事項
本資料は、SAFSの運営ファンドであるGESによるTOCOSに対する株主提案に係る情報提供を目的としており、それ以外の用途に用いられてはなりません。
本資料に記載された情報は、SAFS による独自の調査及び分析並びに一般に入手可能な公開情報に基づいています。SAFS、GES又はSAFSのその他の関係者 (以下「SAFSら」といいます。)は、その正確性、完全性、適切性、網羅性等について何ら保証するものではありません。
本資料は、SAFSらの独自の見解、予想、意見を示すものであり、これらは今後変わることがあり得ます。いかなる目的においても本資料に依拠してはならず、また、本資料を投資、金融、法律、税務その他の助言であると理解してはなりません。
本資料に含まれる情報又は意見には将来に関する記述が含まれています。これらの将来に関する記述や予測、予想は、説明のみのために記載されているものであり、もとより不確実、かつ、重大な不測の事態により実際の結果がこれら将来に関する記述と大きく異なることがあります。SAFSらは、かかる将来に関する記述や予測、意見、本資料に含まれる記載に関連して発生する直接的又は間接的なものを含む何らの損害について、一切の責任を負いません。
本資料に含まれるいかなる情報ないし内容も、いかなる意味においても、募集、推奨、サービスや商品の販促、広告、勧誘若しくは表明と解釈してはならず、また、いかなる投資商品の売買若しくは証券へのいかなる投資に関する助言若しくは推奨であるとも解釈してはなりません。
本資料は、株主総会における議案に関し、SAFSらが、TOCOSの株主を代理して議決権を行使する権限をSAFSら又はその他の第三者に対して付与することを要請するものではなく、そのように解釈されてはなりません。また、TOCOSの株主に対して、SAFSら又はその他の第三者を自らの代理人と定め自らに代わってその議決権を行使する権利を付与することを提案し、奨励し、勧誘し又はこれを目指すものではなく、そのように理解されてはなりません。
別紙
資本効率の改善の必要性
TOCOSは創業以来の可変抵抗器の製造販売に加えて車載用電装品の事業を展開。売上高で車載用電装品が50%を超えた2017年度以降はさらに業績を拡大し、新型コロナウィルス感染の影響が減退した2022年度には過去最高売上高を達成しています。
2023年度には車載用電装品事業の売上高構成比は58.7%に達しています。連結営業利益率も車載用電装品事業の貢献もあり2017年度に黒字化して以降、営業黒字を確保しており、2021年度以降は大幅に伸長し、直近2期は10%を超える営業利益率を記録しています。
売上高及び利益の伸長とともに純資産も積みあがり、2019年3月末に40億円に達して以降増加ペースを上げ、2023年度には70億円を超え、総資産に占める比率は56.7%以上に達しています。
バランスシート上の現預金と有利子負債の推移に目を転じてみても、業績が拡大した2021年3月期以降、純有利子負債は減少を続け、2024年3月期にはネットキャッシュポジションとなっています。
一方で設備投資額は増加しておらず、適切な成長投資・株主還元の両面で資金活用の方針が定まっておらず、徒に現預金と純資産がTOCOSに蓄積されている状況が続いています。
純資産及び純資産比率の推移
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135781/3/135781-3-d873127a3973ea7a71d1533b761bfab9-767x367.gif ]
出典: TOCOS開示資料
ネットキャッシュの推移
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135781/3/135781-3-3ef9abb3230a301abd993f8e81285cb8-753x370.gif ]
出典: TOCOS開示資料
業績が伸長し財務基盤の改善も進んできたにも関わらず、その結果としての純資産及びネットキャッシュの効率的活用を意識した経営がなされてこなかった結果、TOCOSは2023年度末において現預金が有利子負債額を上回りEBITDAの0.6倍に当たるネットキャッシュを抱えています。
このような非効率性が、TOCOSの適切な株価評価を歪め、TOCOS株価は同業他社に比して非常に割安に評価されることにつながっています。当期予想EV/EBITDA倍率では3.0倍、当期予想PERは9.3倍、前期実績PBRは0.74xに留まっています。
GESは、TOCOSの上述のような状況を打破するために、配当性向100%以上あるいはDOE10%以上のいずれか高い方の株主還元により、資本効率の改善とより高い水準の株主還元を求めます。
<株主提案 議案1:2023年度1株当たり配当額を571円とする>
蓄積された内部留保は、新たな事業投資に積極的に活用するべきですが、現時点で十分に具体的な投資計画が示されていない以上、大胆な株主還元として配当性向100%(注)の配当を行うことを提案します。本提案どおりの配当金及び配当利回り3.0%と想定した場合、TOCOS株価は約19,000円(現在株価の約5倍)まで上昇することが見込まれます。
<株主提案 議案2:2024年から2026年度まで配当性向100%又はDOE10%の配当額を維持する>
TOCOS新中計にて株主還元の改善が見られるものの、依然過度に資金を留保する内容であり不十分です。2023年度の期末配当の配当性向100%の配当の提案に加えて、蓄積された内部留保の株主還元のための一時的な手当てとして、2026年度までの期間、同水準の配当を維持すること、並びに配当性向100%以上及びDOE10%以上を配当決定方針に加えることを定款に明記することを提案します。
注: 議案1の571円という配当は、株主提案提出時の2024年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益にかかる会社見通しに対しては配当性向100%となる金額でしたが、その後決算発表があり、親会社株主に帰属する当期純利益が見通しよりも増額して着地したことで、配当性向約80%となる水準になっています。
本提案の配当方針による財務インパクトをTOCOS新中計の売上・利益計画、設備投資計画等を踏まえた前提条件で合理的に検証したところ、2026年度末でネットD/Eレシオ0.3倍、ネットデット/EBITDA 1.0倍、純資産比率47%を確保可能です。
TOCOSによると、新中計では2026年度末において若干のネットキャッシュになる見通しとのことであるところ、本提案の配当方針に基づくと、若干のネットデットとなるものの、TOCOSの財務健全性を損なわず、引き続き十分な財務余力を有することは明らかです。
株主との対話の促進の必要性
GESは、前述の剰余金の分配に関する問題及び十分な設備投資が行われていないなどの問題を議論するため、TOCOSの各取締役に個別の面談を求め、取締役会におけるガバナンスの状況、今後の経営戦略について理解する場を求めました。
しかしながら、本日現在まで、中島専務取締役及び小野取締役監査等委員以外との面談は実施されておりません。
コーポレートガバナンス・コードは、上場会社は企業価値向上のため株主総会の場以外において、株主との間で建設的な対話を行うべきとしています。
GESは、TOCOSの定款において、取締役による大株主との個別面談応答の義務を明記することを提案します。
上場会社は株主が多数に分散しており、分散された小口株主にとって、自らコストと時間をかけて取締役との対話を通じて経営の規律付けを行おうにも、その規律付け活動による便益は自らのみが享受できるのではなく全ての株主が一様に享受するものとなるため、小口株主は自らが費やすコストと時間に比して得られる便益が小さくなることが予見されることから、そのような経営の規律付け活動を行う誘因を持ちえません。このように上場会社では、株主が分散してしまっていることから、結果として経営陣により企業価値が毀損される経営が行われたとしても経営の規律付けがなされないという課題を抱えています。大株主が多くの小口株主を代表して、自らコストと時間をかけて個別面談を通じた建設的対話活動により経営の規律付けを行うことで、企業価値向上が促進された際には、それによって得られる便益は当該大株主だけではなく全ての株主が享受できることとなるため、個別面談を大株主が率先して行うことは株主共同の利益に資するものとなります。
TOCOSがこれを実施することは、株主との建設的対話が促進されることを通じて、TOCOSの企業価値向上に資するのみならず、TOCOSの経営陣の透明性、開かれた態度を表すものとして画期的であり、TOCOSがほかの上場企業の先駆的存在であること内外に示すことは、市場によるTOCOS株価の評価にもつながります。
<株主提案 議題3:取締役による株主との面談対応>
3%以上の議決権を有する株主、又は投資をするのに必要な権限を有する運用者から個別面談の要請があった場合、20営業日以内に個別面談に応じること(ただし、やむを得ない理由により当該期間内の個別面談ができない場合には、5営業日以内に面談を要請した株主または運用者にその旨を通知の上、対応可能な個別面談の日時を別途設定する)ことを提案します。
個別面談要請があった場合の面談の回数については、株主または運用者当たり、業務執行取締役等である取締役については四半期に1回以上、業務執行取締役等でない取締役については年に1回以上応じるものとする。
プレスリリース提供:PR TIMES