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日本毛織株式会社(ニッケ) 衣料繊維事業本部

ニッケ120年の歴史で初!当社が開発した「NIKKE AXIO」が宇宙ステーションの船内服に採用されました。過酷な着用条件における性能が評価された、全く新しいウール素材の「開発秘話」を公開します。

(PR TIMES) 2022年02月02日(水)11時45分配信 PR TIMES

宇宙に旅立つ新・交撚糸。独自技術の秘密は開発者の「逆転の発想」

日本毛織株式会社(ニッケ)が特許を保有する「NIKKE AXIO(ニッケアクシオ)」糸を使用し開発された宇宙船内服が、JAXAの厳しい要求基準を満たし、国際宇宙ステーション(ISS)にて搭載可能との認定を受けました。
今回、これを記念し、宇宙環境でも快適に着用できると評価された素材がどのように生まれたのか、その開発秘話を公開します。
[画像1: https://prtimes.jp/i/91940/2/resize/d91940-2-5e2cb57ba52c219258bb-0.jpg ]




「NIKKE AXIO(ニッケアクシオ)」宇宙へ

今回、国際宇宙ステーション(ISS)にて搭載可能の認定をうけた宇宙船内服は、シタテル株式会社と株式会社スノーピークが、「宇宙と地上双方の暮らしをアップデートする衣服」プロジェクトを共同企画し、JAXA「宇宙生活/地上生活に共通する課題テーマ・解決策の募集」に応募したものです。
この商品は国際宇宙ステーション(ISS)に搭載予定の生活用品候補として選定され、安全性や搭載性などJAXAによる厳正な審査を経て、国際宇宙ステーション(ISS)にて搭載可能の認定を受けました。
当社は宇宙での過酷な着用環境を考慮し、蒸れにくく臭いにくいという本来のウールの特性を生かしつつ、優れたストレッチとソフトな肌触りや、毛玉ができにくく丈夫で長持ちする「NIKKE AXIO(ニッケアクシオ)」を両社に提案し、採用に至りました。


「NIKKE AXIO(ニッケアクシオ)」(特許 第5701275号)とは

ウールの繊維束の内側にフィラメントを包み込み、綺麗な流れを描くように交撚するIN-SPIRAL SPIN製法による偏芯螺旋構造の糸です。表面はウールのソフトな風合いを最大限に活かし、快適性能を内に秘めた、細く強い奇跡の新・交撚糸です。


NIKKE AXIO 誕生秘話

開発の背景は「ニッケのプライド」
ウールはもともと衣料に適した数多くの機能を持ち、美しさや肌触りの点でも優れた素材ですが、ユニフォームのように長時間・長期間の着用を前提にすると、ポリエステル等の合成繊維を適切に配合して耐久性を増す必要があります。NIKKE AXIOが誕生する以前にも、例えばコアヤーンや精紡交撚といったさまざまな複合紡績技術が存在しましたが、いずれも「十分な強度」と「ウールの良さ」を両立するものとは言えませんでした(少なくとも120年以上ウールに携わってきた当社にはそう思えました)。どちらかを取ればどちらかが犠牲になる、この二律背反に取り組むことは、「ウールのニッケ」にとって必然の課題でした。


[画像2: https://prtimes.jp/i/91940/2/resize/d91940-2-2772282b447f98ef2f8e-1.jpg ]


きっかけは「逆転の発想」だった
話は2011年にさかのぼります。各地の製造現場で経験を積んだ後、愛知県の一宮事業所で開発担当に着任した安田智則は、当時の主力素材であった精紡交撚糸の紡績工程に疑念を抱きます。その頃現場では、糸の強度維持を最優先とし、ウールに巻き付ける合繊フィラメントのテンション(引っ張る力)を限界近くまで強くしていました。そうすれば確かに糸の強さは増しますが、ウールの持つ「柔らかさ」や「ふくらみ」といった持ち味が消されてしまいます。実際、当時の精紡交撚糸を使って織りあげた素材は、夏物衣料の一部に採用されるだけで、用途は限定的でした。
「糸の強度だけ満たせばいいのか!」安田の開発者魂に火が付きます。彼は現場の常識と真逆の発想、すなわち「巻き付けるフィラメントにテンションをかけない」というやり方で開発に着手しました。開発を離れている間に精紡機の管理技術が進み、安田の着想を具現化するためのノウハウが蓄積されていたことも追い風になりました。

上司の一言が流れを変えた
開発に着手した当初、現場の反応は冷ややかなものでした。「そんなやり方で強度を保てるはずがない・・・」 、従来のやり方に慣れ親しんだ現場の人々にとって、安田のチャレンジは自己否定に見えました。邪魔こそされないものの、手伝ってくれる人はいません。孤立無援の安田はひとり試行錯誤を繰り返すことになります。
翌2012年、NIKKE AXIOの誕生にとって欠かせない出会いがありました。この年、一宮事業所長に着任した岡田啓は、安田の持ち込んだ試作品を見てその可能性を直感します。「やろまい(岐阜弁で「やってみよう」)。みんな助けたって!」彼は即座に指示を出しました。
「自分は紡績技術には門外漢で、それがかえって良かったのかもしれません」と岡田は振り返ります。

上司の指示でしぶしぶ協力を始めたスタッフたちでしたが、もともと技術者のマインドは持っています。この糸が持つ魅力を理解するにつれ、一人二人と積極的な仲間が増えていきました。開発のスピードが加速します。

[画像3: https://prtimes.jp/i/91940/2/resize/d91940-2-011adc145288fe11e0d8-2.jpg ]


「長所しかない」糸が完成
安田と仲間たちの努力が実を結び、プロトタイプが完成しました。「ウールの良さが出る糸、ということには自信があったが、強度に関しては正直不安だった」と述懐する安田の不安をよそに、この糸は試験の結果、十分すぎるほどの強さを示します。そればかりか、試験を進めるにつれ「よく伸びてへこたれない」「そのまま洗える」「毛玉ができにくい」といった、当初想定していなかった性能が次々と明らかになりました。この開発糸はすぐさま特許出願され、当初「Nagaragawa」と命名されました。名前の由来は、開発に携わった岡田と安田が同じ長良高校の同窓生であったことから来ています。
「『ながら』はわかったけど、なんで『川』が付くんですか」という質問に、安田ははにかみながら答えます。「作った自分が息をのむほど美しい糸で、幼いころいつも眺めていた長良川の清流が頭に浮かんだんです。柄にもないんですけどね・・・」
[画像4: https://prtimes.jp/i/91940/2/resize/d91940-2-be40095c68d1b8d7b410-3.jpg ]



販売開始、そして宇宙へ
「Nagaragawa」は、発売に向けて幾度も微調整された後、「NIKKE AXIO」と名前を変えて、まず編地用の原糸として発売されます。2013年、いち早くその性能に目を付けた大手靴下メーカーに採用され、高価格帯にもかかわらず好調な売れ行きを示しました。その後さらに改良を重ねて織糸への転用に成功、2014年には航空会社の制服をはじめとする多くの企業に採用されました。着心地が良い上に、長期間着用しても美しさが続く、との声を数多くいただいています。
2017年には主力事業である学生服市場での販売を開始。最高級素材との位置づけにも関わらず、2021年度までに累計40万着分(ブレザー換算)の出荷量を記録するベストセラーになりました。
そして、2022年、夢の素材が宇宙へ旅立ちます。


「NIKKE AXIO」素材を使用した商品は、以下の店舗でご購入いただけます。宇宙性能をぜひご自宅でお試しください。
<NIKKE WOOL FAMILY楽天市場店>
https://www.rakuten.ne.jp/gold/nikke-wool-family/

<NIKKE 1896 神戸店> ※NIKKE AXIOのソックスを販売しています
神戸市中央区明石町47番地 ニッケ神戸ビル2F
TEL 078-335-1520
https://www.nikke1896.jp/

【会社概要】
会社名:日本毛織株式会社
所在地:大阪府大阪市中央区瓦町3丁目3-10
URL:https://www.nikke.co.jp/

※NIKKE AXIOとNagaragawaは、日本毛織株式会社の商標です。



プレスリリース提供:PR TIMES

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