プレスリリース
国立循環器病研究センター(大阪府吹田市、理事長:大津欣也、略称:国循)では令和4年(2022年)12月1日に、循環器領域における新しい医療の実現を目指し、「センター内センター」として、
1. 弁膜症(SHD)センター
2. 成人先天性心疾患センター
3. 不整脈センター
4. 先進心不全センター
5. メディカルゲノムセンター
の5センターを設置いたしました。
5センターの設置により、世界を視野に入れた診療と研究とのハイレベルな連携を図り、国立の高度専門医療機関である国循でなければ実現できない医療の実現を目指しております。
■センター内センターを設置する6つの意義
1. 高い専門性を持つ各診療科が横断的に連携することにより、世界をリードする医療を提供する。
2. 研究所、オープンイノベーションセンターといった資源を生かし、新規医療技術を積極的に開発する。
3. 国循発のエビデンスにより、将来の新たな診療指針の提案及び構築に繋げる。
4. 教育、人材育成を行い、ナショナルセンターの使命である循環器医療の均てん化に貢献する。
5. 専門性の高いメディカルスタッフ(コメディカル)を育成し、自立したリームづくりに繋げる。
6. 循環器領域のゲノム医療を、がん領域と並ぶゲノム医療のトップランナーとする。
以下、各センターが目指すものと各センターの概要についてご紹介させていただきます。
また、国循公式HPでも、各センターのより詳細な内容(https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/5center/)を掲載しておりますのでご覧ください。
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弁膜症(SHD)センター(https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/5center/valvular_disease_center/)
<弁膜症(SHD)センターが目指すもの>
日本は欧米やアジア各国と比較しても高い高齢化率にあり、今後も上昇していくとされています。高齢になると多くの心臓疾患の発症率は上昇しますが、センターの名称にある弁膜症も、加齢とともに発症率が上昇します。
心臓には4つの弁があり、これにより、心臓の中で血液が一方向性に効率よく流れることを可能とします。弁膜症になると、弁が十分に開かず血液が通過しにくい、あるいは血液が弁の隙間を通って逆戻りするなどに至り、その結果、肺に水が溜まるなどして呼吸困難などの症状を起こします。
従来は、弁膜症の治療には、外科医が胸を開けて人工弁に置換する、あるいは弁を修復する、という侵襲の大きな方法しかありませんでしたが、この10年で治療法は大きく変わり、カテーテル治療など、患者さんへの負担を軽くした侵襲度の低い治療が選択肢として加わりました。
低侵襲治療は外科医と内科医が共同で行っており、内科医の中でも色々な専門性を有する医師が参画する必要があり、従来の診療科の枠組みを超えたチーム編成が求められます。
国循では、国内で実施可能な色々な低侵襲治療を既に実施しておりますが、この治療を行うチームの枠組みを院外の方々に認知していただきにくかったこともあり、弁膜症(SHD)センター設立に至りました。()で書いておりますSHD(structural heart diseaseの略語)というのは構造的心疾患と訳され弁膜症以外の病気も含みますが、患者数の多い弁膜症を本センターの名称に用いております。
このセンターでは、高いレベルの治療を今後も患者さんに提供することは当然ですが、海外で開発された新規治療の国内導入に必須である治験に積極的に取り組み、海外とのデバイスラグと呼ばれる治療導入の遅れを少しでも短縮することへの貢献、新しい治療指針の提唱、新しい治療機器の開発促進も使命と考えております。
<センター概要>
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成人先天性心疾患センター(https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/5center/achd_center/)
<成人先天性心疾患センターが目指すもの>
近年の医療の進歩により、生まれながらの心臓病(先天性心疾患)をお持ちのお子さんの多くが成人期を迎えることができるようになりました。しかし、このように先天性心疾患を持ちながら成人された患者さん(成人先天性心疾患:ACHD)は、一般の成人の方が罹る心筋梗塞や高血圧症などとは全く異なった心臓病であることから、一般の病院では十分な医療が受けられない場合があります。
当院では、開設以来長年、このような特別な医療の必要な先天性心疾患の患者の医療に取り組んできました。現在では、全国で最も多いACHD患者数の診療をおこなっている病院となっています。
これらの背景から、さらに充実した日本における最高レベルの医療の提供を目指したACHDセンターを設立しました。ACHD医療に関してのご相談などがありましたら、お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。
<センター概要>
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不整脈センター(https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/5center/arrhythmia_center/)
<不整脈センターが目指すもの>
動悸やめまいといった症状を取り除くことが治療の中心であった不整脈診療は、メカニズムの解明や治療機器の進歩により、今や“治る”時代となっています。さらに、積極的な不整脈治療によって、心不全や突然死といった“重症化予防”ができることも明らかとなり、不整脈診療の重要性が増しています。
不整脈診療の大きな柱は、カテーテルアブレーション、植込みデバイス、遺伝性不整脈の3つですが、当院は開設以来、約半世紀にわたり、これら3つの柱に並行して積極的に取り組み続け、国内でも屈指の不整脈実績を誇っています。
さらに、低侵襲・個別医療(precision medicine)・チーム医療などを通じ、様々な心疾患をもつ患者さまへ適切で安心できる不整脈診療を提供できるように、さらなる高いレベルの診療を目指し、このたび不整脈センターを設立しました。
不整脈診療に関してご相談があれば、些細なことでいつでも気軽にお問合せください。オンラインを通じたセカンドオピニオンも大歓迎です。
<センター概要>
[画像4: https://prtimes.jp/i/112842/1/resize/d112842-1-7e5afa6823748e5ffd9c-3.jpg ]
先進心不全センター(https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/5center/advanced_heart_failure_center/)
<先進心不全センターが目指すもの>
超高齢社会を迎えた我が国において、心不全患者さんはどんどん増えており、心不全は社会全体で取り組むべき課題です。
一方で、新規心不全治療薬の出現、心不全に合併した僧帽弁逆流へのカテーテル治療やペースメーカ治療、難治性心不全に対する人工心臓や移植医療などの非薬物治療の進歩によって、心不全治療はこの数年でめざましく向上しています。
心不全はあらゆる心疾患の結果生じる状態であり、これら薬物治療・非薬物治療を駆使して、心不全のコントロールから原疾患の治療、さらには終末期の患者さんには緩和ケアまで、全人的な視点から、患者さんごとに最適な治療を提供していくことが重要です。
先進心不全センターは、各診療科の枠組みを超え、患者さんにこのような最適な治療を提供するために設立されました。さらに、当センターの特徴を活かし、未解決の難治性疾患に対して、将来を見据えた画期的な新規治療法を開発していくために、研究所とも連携し、より良い心不全診療を目指したいと思っています。
心不全診療に関して、ご質問ご意見などありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
<センター概要>
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メディカルゲノムセンター(https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/5center/medical_genome_center/)
<メディカルゲノムセンターが目指すもの>
病気になるリスクを知りたい、より有効な治療法を選択したい、難病に対する新たな治療法が欲しい、といった循環器病における課題に対して、現在提供可能な従来型標準治療では、こうした社会的要請に十分に応えられているとは言えません。
がんや難病領域では、既にゲノム診断や発症リスク評価、分子標的薬剤の開発、抗体医薬、細胞治療といった、新たな医療が創出されています。循環器病の克服のためには、次世代型医療技術の開発による新たな医療の創出が求められており、これが国循メディカルゲノムセンターの設置理由です。
様々な疾患に対して、ゲノム医療は、予測、予防、診断、治療のすべての段階をカバーするものです。
臨床部門からは、個々の患者さんの同意のもと、様々な循環器疾患の情報や検体がバイオバンクなどを介して提供されます。ここからゲノム情報や診療情報を中心とした情報解析、探索を行い、病態の原因としてあがってきた分子の機能解析を行い、さらには生体機能解析や創薬開発に繋げ、最終的に臨床や社会実装といった形で社会還元を目指します。
国循における各専門領域のスペシャリストが横断的に参画することで、高度な専門技術が提供されるのもメディカルゲノムセンターの特徴です。臨床専門医、情報解析、基礎医学研究、創薬といった、目標達成に必要とされる部門を一気通貫的に備えており、新たな研究開発アプローチを通して、循環器病における従来型医療にブレークスルーをもたらしたいと考えております。
<センター概要>
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プレスリリース提供:PR TIMES