プレスリリース

SAS Institute Japan株式会社

SAS、アジア太平洋地域(APAC)におけるAI動向調査を実施

(Digital PR Platform) 2024年11月14日(木)11時05分配信 Digital PR Platform

AI先駆者とAIフォロワーのギャップが明らかに
日本は、AIガバナンス重視の慎重な姿勢ながらも、46%の組織がAI投資拡大を予定

データとAIのリーディング・カンパニーである米国SAS Institute Inc.(以下、SAS)は、アジア太平洋地域(APAC)におけるAI動向調査をIDCに委託し、「IDC データとAIの動向:アジア太平洋地域2024年(Data and AI Pulse: Asia Pacific 2024)」を発表しました。調査結果によると、APAC地域の組織はAI導入に急速に取り組んでおり、回答者の約43%が今後12か月以内にAIへの投資を20%以上増加させた大規模な投資を計画しています。しかし、AIに大規模な投資を行っているものの、APACの企業のうちAI先駆者と自負しているのはわずか18%にとどまり、AI先駆者が長期的な変革を推進している一方で、AIフォロワーは明確な戦略を欠いた多様なプロジェクトを試みています。

この調査はアジア太平洋地域におけるデータとAIの活用状況の把握を目的として、アジア太平洋の8つの市場(オーストラリア、中国、インド、日本、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ)において、2024年6月に実施されました。銀行・金融、製造業、政府、ヘルスケアなどの分野から509の企業の幹部・経営陣を対象に、AIへの投資の意思決定、AIに期待する役割、導入の課題、信頼されるAIの成果を達成するためのプロセス管理について、調査しています。

APACでの主な調査結果:

40%の組織が少なくとも3倍の投資対効果を期待
43%の組織が今後12か月以内にAI投資を20%以上増加させる計画
AI導入の成功に向けたスキルギャップは業界全体の一貫した課題であり、特に医療業界(41%)で顕著、次いで政府機関(38%)、保険業界(32%)、銀行(29%)

日本での主な調査結果:


2024年には46%の企業がAIプロジェクトを拡大予定
AIに特化した人材不足という重大な課題に直面しており、42%の企業が主な課題に
AI導入に向けた課題としては、人材不足の他、AIソリューションの明確な評価基準の不備(30%)、包括的なAIガバナンス・リスク管理の欠如(29%)

調査に回答したAI先駆者は、AIによる主要なビジネス成果として、新たな収益成長の推進(32%)、運用効率の向上(31%)、および利益増加(26%)を挙げています。これに対してAIフォロワーは、顧客サービスの改善(27%)、市場シェアの拡大(25%)、迅速な市場投入(25%)を主要な成果として報告しています。

SASのアジア太平洋およびEMEAエマージング担当シニアバイスプレジデント、シュクリ・ダバギは、次のように述べています。「AI先駆者とAIフォロワーの間の目標とする成果の違いは、明確な戦略とロードマップの欠如を示しています。AIフォロワーが短期的な生産性重視の成果に焦点を当てる一方で、AI先駆者はより複雑な機能かつ業界特有の事例へと移行しています。企業がAIの変革をもたらす可能性を活かそうとする時、ビジネスリーダーはAI先駆者とAIフォロワーの違いから学ぶことが重要です。『ゴールドラッシュ』的な考えを避けることで、信頼性のあるAIとデータ、プロセス、スキルに基づく長期的な変革を実現することができます」

また、IDCアジア・パシフィックのデータ、アナリティクス、AI、持続可能性、産業研究担当バイスプレジデント、クリス・マーシャルは、次のように述べています。「最新調査『IDC Data and AI Pulse: Asia Pacific 2024』は、APACの何百もの大企業がどのようにAIの導入や実用化に取り組んでいるかを示す模範であり、業界における先駆者とフォロワーを明確にしています。調査結果から得られるインサイトは、AI導入を成功させるための障壁を明らかにし、企業が新たな技術に対して賢明な投資を行えるようにします」

生成AIはAI技術の一部
多くのAIに関する話題が生成AIに集中する一方で、本調査では、組織が予測AIや解釈AIに対しても投資していることを明らかにしています。2023年には、生成AIはAI投資のわずか19%を占めるのみでしたが、2024年には34%に増加する見込みであり、前述の3つのカテゴリーでよりバランスの取れた予算配分になると予測されます。

IDCの最新の支出ガイドによると、アジア太平洋地域のAI支出は2024年に450億ドルに達し、2028年には年平均成長率24%(2023-2028年)で1,100億ドルに達する見込みです※1。調査によると、企業は2024年の生成AIに対する投資の増額に向けて予算を再配分しており、3分の1がインフラの近代化からの、37%がアプリケーションの刷新からの資金を生成AIに再配分すると回答しています。

ROIに対する過大な期待
この調査結果は、AIの投資対効果に対する過大な期待によって引き起こされる潜在的な「ゴールドラッシュ」を示しています。調査によると、40%の組織が少なくとも3倍の投資対効果を期待しており、「取り残される恐怖」がAI支出を増長しています。その結果、AIはしばしば投資とその成果、ビジネス価値との明確な整合性がないまま導入されています。

43%の組織が今後12か月以内にAI投資を20%以上増加させる計画を立てている中、戦術的な投資の見込みが成果を上回ることで、AIに対する失望が生まれるリスクがあります。ビジネスリーダーはAIから成果を得るまでには時間がかかり、長期的な価値を確保するためにはしっかりとしたAI基盤が必要であることを認識する必要があります。

SASのダバギ氏は、次のように述べています。「生成AIツールの利用によりユーザーは魔法にかかったように感じていますが、企業環境に統合するには多くの作業が必要となり、適切なインフラが整っていなければなりません。また、これらのツールに対する期待はしばしば非現実的です。落とし穴を理解し、課題に取り組む方法を学ぶことで、AIの導入と実装における成功率を高め、ビジネス目標を達成する機会を得ることができます」

業界におけるAIの動向:スキルギャップの課題は医療業界、政府部門で顕著
この調査はAPAC地域において、AIがさまざまな業界に与える影響を詳細に分析しており、銀行、保険、医療、政府機関に重点を置いています。

AI導入の成功に向けたスキルギャップは業界全体の一貫した課題であり、特に医療業界(41%)で顕著であり、次いで政府機関(38%)、保険業界(32%)、銀行(29%)と続きます。これら業界は、意思決定の合理化、さらなる自動化、新製品やサービスの市場投入の迅速化、コスト削減、その他多くのメリットを実現するために、データとAIの能力向上に投資を続けています。

それでも一部の事例では一貫して成功裏に導入されています。例えば、銀行では、トップ3の事例として、流動性リスク管理、資産と負債の管理、金融犯罪分析が挙げられます。保険業界では、保険金詐欺、製品のオムニチャネル提供、インテリジェントな価格設定の事例が見られます。医療業界では、医療詐欺やコスト削減が注目される事例であり、政府機関では社会福祉プログラムの整合性確保、緊急対応の支援、税収と歳入のコンプライアンスが主要なAI事例です。

国ごとに異なるAI導入のトレンド:リードする中国に続くインド、日本
APAC地域におけるAIの状況は国によって異なり、それぞれの市場は独自の導入トレンドを示しています。中国はAI投資でリードしており、今後12か月でAIプロジェクトの大幅な増加(59%)が見込まれ、インド(51%)や日本(46%)もそれに続きます。さらに、中国と韓国は他国に比べてAIの導入と統合がより迅速に進んでいます。この差は、投資レベル、規制の整備、AI人材やインフラの利用可能性などの要因によって引き起こされています。日本、オーストラリア、韓国、そして多くの東南アジア地域では、スキルを持った人材不足が国家的かつ業界的な懸念事項となっています。

日本は慎重姿勢ながらも半数近くの企業がAI投資の拡大を予定
日本はAI投資に慎重でありながら、2024年には46%の企業がAIプロジェクトを拡大する予定です。日本企業は特にAIガバナンスに注力しており、新たに施行される規制への対応を重視しています。
また、他国同様に日本もAIに特化した人材不足という重大な課題に直面しており、42%の企業がこれを主な課題として挙げています。さらに、AIのリスク管理やガバナンスフレームワークに関する懸念が重要視されています。

日本はAIガバナンスに焦点を当てた慎重なアプローチ
日本では多くの企業がAIを機能レベルで導入しているものの、非効率的なデータ管理やデータ制約によって進展が妨げられていることが判明しました。日本企業では、業務効率の向上、事業のレジリエンス強化、革新の促進のためにAIを活用しています。しかし、必要なAIスキルの不足(42%)、AIソリューションの明確な評価基準の不備(30%)、包括的なAIガバナンス・リスク管理の欠如(29%)など、重要な課題に直面しています。これらは、AI導入の基盤となり、結果的に半数の企業はAIを機能レベルで短期的な視点での採用にとどまり、より戦略的で組織全体にわたる運用には進んでいません。

現在、日本にはAIに特化した規制はなく、近日中での導入の計画もありません。代わりに政府は、非拘束的なガイダンスを提示しつつ、民間企業の自主規制に依存する、革新に配慮した「アジャイル・ガバナンス」アプローチを採用しています。そのため、企業レベルでAIパフォーマンスを向上させる主な要因として、責任あるAIは重視されていません。しかし、AIやデータ管理システムは、自動化を超えて、人的モニタリングを組み込み、機械だけでは対処できない複雑な問題にも対応する必要があります。

今回の調査は、今後数年にわたるAPACにおけるAI投資の増額に伴う機会と課題を浮き彫りにしています。AIの潜在能力を最大限に引き出すためには、企業は社内のスキル開発、戦略的ユースケースの強力なポートフォリオの構築、そしてスタートの段階からAIのコストとリスクに対する計画が必要です。そうすることで、約束された高い費用対効果を実現し、将来のAI投資への信頼を深めることができます。
このレポートの詳細は、eBook「Data and AI Pulse: Asia Pacific 2024」( https://www.sas.com/ja_jp/offers/data-and-ai-pulse-asia-pacific.html
)でご覧ください。

調査概要:
この調査はアジア太平洋地域におけるデータとAIの活用状況の把握を目的として、アジア太平洋の8つの市場(オーストラリア、中国、インド、日本、韓国、マレーシア、シンガポール、タイ)において、2024年6月に実施されました。銀行・金融、製造業、政府、ヘルスケアなどの分野から509の企業の幹部・経営陣を対象に、AIへの投資の意思決定、AIに期待する役割、導入の課題、信頼されるAIの成果を達成するためのプロセス管理について、調査しています。

※1 IDC’s Worldwide AI and Generative AI Spending Guide, August 2024
*本リリースは2024年10月23日に米国SAS Institute Inc.より発表されたプレスリリース( https://www.sas.com/en_sg/news/press-releases/2024/october/data-and-ai-pulse-asia-pacific.html
)を、日本向けに加筆・編纂したものです。

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