プレスリリース
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Simple PAFシリーズ
左:Simple PAF 239M(φ239 mm)、中央:Simple PAF 8M(φ8 inch)、
右:Simple PAF 15M (φ15 inch)
各衛星分離部の前面についている箱状の部品がSimple Pin Puller350
川崎重工は、 H3ロケット試験機2号機により初めて打ち上げられた新規開発の非火工品分離デバイス「Simple Pin Puller(シンプル ピン プラー)」(火薬を使わず、電気信号により機械的な結合状態を解除し得るデバイス)と、それを利用した小型衛星用衛星分離部「Simple PAF(シンプル パフ)」が、宇宙空間で正常に機能することを確認しました。
衛星分離部(PAF:Payload Attache Fitting)とは、衛星をロケットと結合させ、宇宙空間到達後に衛星をロケットから分離させる機能を持つものです。Simple Pin Pullerを用いたSimple PAFにより、衛星分離時の衝撃を和らげるとともに外乱を低減させるなど、衛星本体への負荷軽減に寄与します。
当社は、2019年から国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、小型衛星用の非火工品分離機構を使用した衛星分離部の共同研究を実施するとともにJAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)における連携活動により運用性を向上し、これらの成果を活用した「Simple Pin Puller 350」と、これを用いたSimple PAF シリーズの「Simple PAF 15M」を製品化しました。2024年2月に打ち上げられたH3ロケット試験機2号機における「超小型衛星相乗り※1」の取り組みで選定された50s級衛星の衛星分離部に「Simple PAF 15M」が、3U衛星※2の放出機構の非火工品分離デバイスとして「Simple Pin Puller 350」が有限会社オービタルエンジニアリング社製3Uポッドに採用され、いずれの製品も宇宙空間で正常に作動し、搭載された衛星は所定の軌道に投入されました。
<Simple PAF シリーズ・Simple Pin Puller 350の特長>(当社製従来品比べ)
○低コスト・短納期
○衛星分離時の低衝撃化(200Gsrs以下。ただし衛星質量等により変動する場合あり)
○ITAR(米国の国際武器取引規則)の規制対象外であることから輸出の際の米国政府の許可は不要。
○ユーザによる運用作業簡易化(特別な技術なしに衛星とPAFの結合作業が可能、など)
〇従来の火工品の発火電流と同等の電流で作動
「Simple PAF」には、衛星分離面のインターフェース径が異なる3タイプのラインナップがあり、大小様々な衛星に対応可能です。また、「Simple Pin Puller 350」単体での販売も行っており、衛星の展開構造などを作動させるための装置として使用可能です。
今後も当社は、衛星フェアリングをはじめとした宇宙関連機器の実績と優れた技術力を活かし、国内国外を問わず世界の衛星打ち上げ事業ならびに宇宙空間を活用した社会発展に積極的に貢献していきます。
※1:超小型衛星相乗り
大学・民間企業等への継続的な軌道上実証機会提供を確保し、必要な技術知見を獲得することを目的とし、メインミッションに影響を与えない範囲で、質量が概ね100s以下の超小型衛星を搭載するJAXAの取り組み。
※2:3U衛星
1辺約10pの立方体(1U)を3個つなぎ合わせた大きさの衛星
Simple PAFシリーズの主な仕様
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*1:Simple PAF 8M、Simple PAF 239M:PAFとのI/F面から衛星重心高さ275mm、機軸・横方向加速度5G以内の場合。Simple PAF 15M:PAFとのI/F面から衛星重心高さ375mm、機軸・横方向加速度5G以内の場合
*2:オプションを含まない質量
*3:衛星質量に合わせてバネの強さを調整する
Simple Pin Puller 350 の主な仕様
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以上