プレスリリース
シュローダー グローバル債券チームによる経済見通し
2024年5月
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ジュリアン・ホゥダン
グローバル・アンコンストレインド債券チーム・ヘッド
グローバル債券やグローバル・クレジットを運用するグローバル・アンコンストレインド債券チームによる、マクロ経済環境見通しとポートフォリオへの示唆をご紹介します。
グローバル・アンコンストレインド債券チーム(以下、運用チーム)は、世界のさまざまな状況を分析し、現在のマクロ経済環境とその方向性を評価しています。
ソフトランディングシナリオを引き続きベースケースとして維持しています。ただし、米国で複数のインフレ指標が上振れとなり、また、グローバルの製造業サイクルが上向きの流れとなっています。このような環境においては、コモディティ価格が上昇する可能性があり、ノーランディングシナリオのリスクが上昇したと認識しています。
米国インフレにおけるサプライズ
ゲーム・チェンジャーか?一時的な上振れか?
最近の米国の根強いインフレ指標の発表はこの2つの間に位置すると考えます。年内の利下げ開始を否定するものではないものの、米連邦準備制度理事会(FRB)が一旦立ち止まり、様子見する理由ができたことは明らかで、6月に利下げを実施する可能性は相対的に低下したと考えます。
パウエルFRB議長が重視するインフレ指標である住居を除くコア・サービスCPIは、ここ数ヶ月少し気がかりな傾向を示してい
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ます。この「スーパーコア」インフレは、3月分は前月比で0.7%上昇、3ヵ月変化率は年率換算で8%を超えています。より幅広いインフレ指標をみてみても、足元のインフレはFRBが利下げを近々開始するには高すぎる水準で推移しています。
しかし、米国に関して悪いニュースばかりではありません。債券投資家として楽観的となる理由が労働市場にあると考えます。賃金上昇率は低下傾向にあり、欠員率も徐々に低下しているほか、離職率の低下が継続していることは特に重要だと考えます。離職率は賃金上昇の先行指標であり、離職率が低下すれば、企業が労働者を確保し、引きつける圧力が弱まるため、賃金上昇の速度も弱まることになります。
グローバル製造業サイクルは改善
世界の製造業は改善を続けています。中国からのニュースは良好であり、今後数ヶ月間、主にユーロ圏の経済成長に恩恵をもたらす可能性が高いと考えます。このような環境はソフトランディングの実現を後押ししていると考えますが、コモディティ価格の上昇が今後のインフレ圧力につながる可能性に対して警戒を維持する必要があります。
ポートフォリオへの示唆は?
金利戦略では、バリュエーションは魅力的な水準にあるものの、マクロ経済の状況を鑑みると、利回りがもう一段上昇する可能性があるほか、FRBが慎重な姿勢に傾く可能性があるため、デュレーション(金利リスク)は中立といたします。なお、イールドカーブのスティープ化についてはまだ収益獲得の余地があると考え、選好を維持しています。国別選択に関しては、英国のインフレが今後他の国に追いつく形で低下する可能性があるとみているほか、米国はドイツやカナダに対して相対的に選好する姿勢といたします。
その他、ブレーク・イーブン・インフレ率へのポジティブな見方を強めています。コモディティ価格の上昇リスクと中央銀行による一定程度の金融緩和が、ブレーク・イーブン・インフレ率の上昇につながると考えます。
資産配分では、高クオリティのクレジットであるカバードボンド等証券化商品の選好を継続しています。社債では、バリュエーション上の魅力度および今後の他資産に対するアウトパフォーマンスの可能性が低下したとの見方から、ユーロ建て投資適格社債に対する強気の姿勢を弱めています。ただし、年限が短めの社債については選好を維持しています。米国投資適格社債については、スプレッドが歴史的にタイトな水準になっており、国債対比でのリスク・リターンの魅力度が薄いと考え、全体的に弱気の見方を維持しています。
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