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日本電信電話株式会社

世界初、NTTとオリンパスによるクラウド内視鏡システムに関する共同実証実験を開始 〜IOWN APN技術の高速低遅延を活かし内視鏡システムのクラウド化を実現〜

(Digital PR Platform) 2024年03月27日(水)15時06分配信 Digital PR Platform

発表のポイント:

NTTのIOWN APN技術とオリンパスの内視鏡に対する高度な技術を活用し、クラウド上で内視鏡の映像処理をリアルタイムで実現するクラウド内視鏡システムの実証実験を開始します。
本実証などを通じて、クラウド内視鏡システムのビジネス化にむけたリファレンスモデルを確立し、両社で内視鏡装置の処理性能の限界の克服やメンテナンス性の向上と同時に、柔軟で迅速な市場対応に貢献します。

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)とオリンパス株式会社(本社:東京都新宿区、取締役・代表執行役社長CEO:シュテファン カウフマン、以下「オリンパス」)は共同で、内視鏡の映像処理機能をクラウド上で実現するクラウド内視鏡システムの実証実験を開始しました。
 クラウド内視鏡システムはオリンパスの内視鏡に対する高度な技術を活用し、内視鏡装置内で処理されてきた映像処理を遠隔地に設置されたクラウド上で実施するものですが、従来のネットワーク技術では実現が困難でした。今回NTTのIOWN APN技術※1、2を活用することにより、クラウド上でのリアルタイム映像処理を実現します。本実証などを通じて、クラウド内視鏡システムのビジネス化にむけたリファレンスモデルを確立し、両社で内視鏡装置の処理性能の限界の克服やメンテナンス性の向上と同時に、柔軟で迅速な市場対応に貢献します。

1.背景



 内視鏡は、先端の管を体内に挿入し、検査や組織サンプルの採取の際に使用される医療機器です。その低侵襲性と高い安全性から適用領域は年々拡大しており、また高機能化も進んでいます。
[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2341/85393/700_306_202403251130366600e1cce8280.JPG


 内視鏡登場当初も体内をリアルタイムで見る事ができる画期的な装置でしたが、その後、高精細なハイビジョンへの対応、光学技術を駆使したNBI(Narrow Band Imaging)の導入、観察と同時に検体を採取する機能などにより大きな発展を遂げ、最近では内視鏡撮影映像から病変の恐れがある部位を術者に提示するなどといった高度な支援機能を備え、より安全かつ確実な病変部位の早期発見に貢献しています。

 一方で、現在の内視鏡は内視鏡内で全ての機能を処理しており、性能限界やメンテナンス性が課題となっています。また、リアルタイムでの遠隔診断や治療の実現など新たなユーザーニーズに基づく柔軟な機能改善/アップデートが必要になる場面が増えることが予想されます。そこで、映像処理等処理負荷の高い一部の機能をクラウド上で分担する「内視鏡のクラウド化」が議論されています。
データセンタ上に構築したクラウド上のGPU等で処理を分担することにより、クラウド側でのソフトウェアアップデートによる最新機能の提供、複数の病院間での映像情報の共有によるリアルタイムでの遠隔診断や治療の実現などが期待されます。




[画像2]https://digitalpr.jp/simg/2341/85393/700_474_20240326170347660281634858d.JPG


 内視鏡のクラウド化にあたっては、既存のシステムをクラウド上に移行することに加え、以下のような主にネットワーク面での技術課題が存在します。


映像処理を遠隔地のクラウド上で実施する際、操作者へ映像処理の遅延による違和感を与えないよう、内視鏡とクラウド間で遅延を発生させない高速低遅延のネットワークを実現すること
ネットワークに障害が発生しクラウドが利用不可となった場合、異常を速やかに検知し、最低限の機能を内視鏡側で提供する(フォールバック機能)など、医療機器である内視鏡が求められる高い可用性を実現すること
情報を安全かつ正確に伝送するため、データ転送の経路上において量子コンピュータでも解読されにくい高度なセキュリティ対策を講じること

2.実証内容
 NTTとオリンパスは、IOWN APNを中心に、クラウド内視鏡システム実現に向けたネットワーク面での技術課題解決を目的とした実証実験を開始しました。今回の実証実験では、実際の内視鏡とGPUサーバをIOWN APNで接続した実験環境を構築し、それを起点として今後以下のような検証などを双方で実施していく予定です。

高速低遅延を実現する光伝送パスで内視鏡とクラウドを模擬したサーバを接続することで、クラウド化に伴う処理の遅延が発生しないことの検証
ネットワーク障害時におけるフォールバックなどをふくめ、医療機器に求められる高い信頼性、可用性をシステム全体として実現できることの検証
量子計算機でも攻撃が困難なセキュア光トランスポートネットワーク技術※3を用いて内視鏡とクラウド間を暗号化することで、情報のセキュリティが確保できることの検証

 本実験終了後、NTTとオリンパスは実証で得られた知見をもとに、クラウド内視鏡システムのビジネス化に向けた検討を共同で進めます。さらにNTTは、医療機器をクラウド化する際の諸技術課題を解決する、医療機器向けネットワークのリファレンスモデルを確立させ、オリンパスはクラウド内視鏡システムなどに最適なネットワーク、およびそのリファレンスモデルの確立に寄与します。

3.参加企業の役割・位置づけ
(1)NTT
 高速低遅延のネットワークをお客様に提供してきた実績を有するとともに、拠点間を超大容量
のエンドエンド光パスで接続するIOWN APNをはじめとしたIOWN構想を推進しています。今回の実証では、IOWN APN技術を活用し、内視鏡クラウド化のために必要なネットワークの検証と最適化を行います。

(2)オリンパス
 消化器内視鏡の分野においてグローバルでトップシェアを持つとともに、その機能高度化、特に内視鏡の機能をクラウド化する「クラウド内視鏡システム」構想を推進しています。今回の実証では、クラウド内視鏡システム構想に基づき具体的な要求条件、評価項目等を提示するとともに、実験に必要な内視鏡装置の提供を行います。

4.今後の展開
 今回の実証を通じクラウド内視鏡システムの実現性を確認するとともに、高度な医療へのアクセス拡大などの社会課題の解決に貢献してまいります。加えてNTTとしては、実証で得られた知見をもとに、他の医療機器についてもクラウド化を推進するなど、ユースケースの拡大の検討を進め、オリンパスとしては今回の結果を応用し、IOWNの技術を活用したお客様のニーズまたは課題解決に資する先進的なクラウド内視鏡システムなどの技術検討を継続して実施します。

<用語解説>
※1 Innovative Optical and Wireless Network (IOWN)
IOWNは、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成されます。

※2 All Photonics Network (APN)
APNは、ネットワークから端末、チップの中にまで新たな光技術を導入することにより、これまで実現が困難であった超低消費電力化、超高速処理を達成します。1本の光ファイバ上で機能ごとに波長を割り当てて運用することで、インターネットに代表される情報通信の機能や、センシングの機能など、社会基盤を支える複数の機能を互いに干渉することなく提供することができます。

※3 セキュア光トランスポートネットワーク技術
光伝送装置間で耐量子計算機暗号(PQC:Post-Quantum Cryptography)や量子鍵配送(QKD:Quantum Key Distribution)を用いて共通鍵を共有し、その鍵で通信を暗号化することで、量子コンピュータ時代でも安全な情報通信を実現する技術
https://www.rd.ntt/research/JN202111_16202.html
 

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