プレスリリース
[プレスリリース]酪農学園大学の臼井教授らが、産業廃棄物であるホタテの貝殻を活用することで農場の堆肥中の薬剤耐性菌対策を実現!
研究成果のポイント
-家畜糞便に含まれる薬剤耐性菌が、堆肥を介して環境に広がることが問題
-産業廃棄物であるホタテの貝殻は、焼成することで殺菌作用を示す
-家畜糞便を堆肥化する際 、焼成ホタテ貝殻粉末を堆肥に添加する事で、薬剤耐性菌を著しく減少させることに成功
-薬剤耐性菌が環境を介して拡散することを防ぐ手段として期待
[研究成果の概要]
酪農学園大学臼井教授らの研究グループは、焼成ホタテ貝殻粉末や石灰窒素を家畜糞便の処理に活用し、家畜糞便に含まれる薬剤耐性菌を減少させることに成功しました 。
抗菌薬が効かない細菌である薬剤耐性菌の拡散が、公衆衛生上の大きな問題になっています。動物に対しても抗菌薬は使用され、家畜の糞便にも薬剤耐性菌は含まれます。そのため、家畜糞便に含まれる薬剤耐性菌が、堆肥化を介して、環境に拡散することが懸念され、問題解決が求められていました。
そこで、産業廃棄物であるホタテ貝殻を焼成すると殺菌作用を示すこと、また、肥料として利用される石灰窒素にも殺菌作用があることに着目し、それぞれ家畜糞便に混合し、堆肥化を行いました。結果、焼成ホタテ貝殻粉末および石灰窒素を添加することで、家畜糞便に含まれた薬剤耐性菌を著しく減少させることに成功しました。
今回の方法が現場で活用されることで、農場からの薬剤耐性菌の拡散を防ぐことが期待されます。また、産業廃棄物であるホタテ貝殻を有効活用する一つの手段となることも期待されます。
[論文発表の概要]
Enami M, Fukuda A, Yamada M, Kobae Y, Nakajima C, Suzuki Y, Usui M*. Heated scallop-shell powder and lime nitrogen effectively decrease the abundance of antimicrobial-resistant bacteria in aerobic compost. Environ Technol Innov. 34. 103590. 2024.
https://doi.org/10.1016/j.eti.2024.103590
▼本件に関する問い合わせ先
酪農学園大学 獣医学群 獣医学類
教授 臼井 優
住所:北海道江別市文京台緑町582番地
TEL:011-388-4723
メール:usuima@rakuno.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/