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プレスリリース

緑茶成分の加齢性難聴に対する有効性に関する産学共同研究

(Digital PR Platform) 2024年01月22日(月)14時00分配信 Digital PR Platform

iPS細胞創薬技術の食品・ヘルスケア領域への応用

株式会社伊藤園(本社・東京都渋谷区、代表取締役社長:本庄大介、以下「伊藤園」)と北里大学医学部(神奈川県相模原市、学部長:浅利靖)の藤岡正人教授、長尾和右講師らの研究グループは、このたび、加齢性難聴に対する緑茶成分の有効性に関する共同研究を開始いたしました。

超高齢社会の到来に伴い加齢性難聴は増加の一途を辿っており、その推定患者数は1,500万人以上*1と見積もられています。難聴はそれ自体が直接の死因となることはありませんが、認知症発症の最大のリスクファクターであり、認知症患者の実に9%が難聴を原因として発症するものとされています*2。したがって、難聴進行の抑制は、難聴によるQOL低下のみならず、健康寿命の延伸、さらには社会保障負担の観点でも喫緊の課題となっています。

北里大学では、難聴患者の採血検体からiPS細胞を樹立し、病気の内耳細胞を作製して病気の原因や治療法探索を調べる研究技術を有しています*3,4。今回、この技術を用いて、伊藤園中央研究所が有する多数の緑茶含有成分の中から内耳細胞保護効果を探索する共同研究を、両者の産学共同研究で行う運びとなりました。研究グループを含め、国内外の多数の研究チームがこの手法で創薬研究開発を展開して成果を挙げてきていますが*5、一方でiPS細胞技術の健康食品・ヘルスケア領域への応用は世界的に見ても乏しく、本研究は、iPS細胞の活用方法としての裾野を広げる重要な社会実装研究と考えられます。また、ヒト細胞を活用して加齢性難聴に対する効能効果が実証された医薬品は国内外ともに皆無であり、その基礎研究は社会的にも、科学的にも意義深いものと言えます。

世界的にも重要性が高まっている「動物愛護の精神」や「持続可能な開発目標(SDGs)」の観点などから、伊藤園グループにおいても取り扱う全ての製品開発において動物実験は実施しない方針を掲げてきました*6。一方で、機能性表示食品や特定保健用食品の開発における基礎的研究の質の担保は、国民の健康・福祉の観点から重要な課題であり、動物実験代替法の開発の重要性が以前より指摘されています。そのため今回の共同研究は、北里大学が有する高度なiPS細胞技術とサイエンスを積極的に活用し、医学研究の立場からこれらの社会的責任を果たすとともに、事業のグローバル化に対応する大手企業が抱える開発ニーズを満たす、先進的な実学研究と考えております。

註)*1: 日本老年医学会 49(2) 222-227 *2: Lancet 390(10113) 2673-2734 *3: Stem Cell Res. 2023 Mar:67:103017. *4: 国際特許取得(WO2023033149)*5: Otology Japan 31(4) 425-434 *6: 伊藤園グループ動物実験方針(https://www.itoen.co.jp/company/policy/animal/



北里大学医学部 教授 藤岡正人からのコメント:
時間をかけて進行する加齢性難聴という健康課題に、日本人に馴染みの深い「お茶」でアプローチすることは、リスク・ベネフィット・コストの観点からも現実味があると考えております。iPS細胞というと再生医療や創薬のイメージを持つかもしれませんが、この技術は多くの分野へ応用が可能です。当研究室では、学祖北里柴三郎博士の実学の精神にならい、サイエンスのチカラを社会に還元し、人々の健康と福祉に寄与することを目指しています。この度の伊藤園様との産学協業を楽しみにしています。

株式会社伊藤園 中央研究所長 瀧原孝宣からのコメント:
加齢性難聴は誰にでも起こり得る疾患で、日常生活だけでなくウェルビーイングにまで影響を及ぼさないか懸念されています。近年、「お茶」の健康的価値が注目されるようになりましたが、加齢性難聴への影響は明らかではないことから、この課題に対して北里大学様と共にiPS細胞を用いた研究から取り組み、研究の進展により高齢者の健康不安の軽減に繋がることを期待します。当社は、お茶によりウェルビーイングな生活をもたらす「お茶のある暮らし」の実現を目指してまいります。


用語解説
●iPS細胞
iPS細胞 (Induced Pluripotent Stem Cell) は、人工多能性幹細胞とも呼ばれ、体細胞に初期化因子を導入することで作られる細胞で、様々な細胞に分化する能力と無限に増殖する能力を持ち、再生医療への応用や新薬開発に役立てられている。

●機能性表示食品
科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、事業者の責任で消費者庁に届けられた食品。機能性を表示することができる食品は2015年までは栄養機能食品に限られていたが、機能性をわかりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるように始まった制度。

●特定保健用食品
体の生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保険の目的が期待できる旨の表示(保険の用途の表示)をする食品で、有効性や安全性について国が審議を行い、消費者庁によって許可が与えられる。

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