プレスリリース
酪農学園大学 食と健康学類の小林道准教授らの研究で、妊娠期におけるパートナーや家族の支援が妊婦の抑うつ症状と関連することを明らかにしました。
研究成果のポイント
・妊娠中にパートナーやパートナー以外の家族による家事や育児のサポートが十分ではないと答えた妊婦は、サポートが十分にあると答えた妊婦と比較して抑うつ症状を有する割合が高かった。
・世帯年収が中位(400〜600万円未満)または高位(600万円以上)でも、サポートが少ない妊婦では、抑うつ症状を有する割合が高かった。
研究成果の概要
妊産婦の精神的健康に関する研究に取り組んでいる、本学食と健康学類の小林道准教授らは、妊娠期におけるパートナーや家族の支援が妊婦の抑うつ症状と関連することを明らかにしました。
妊産婦のうつ病(周産期うつ病)は、妊産婦の7人に1人が患うと推計されており、世界的な健康課題です。世帯年収が低いことは、物質的な制限や医療サービスなどの制限の原因となるため、うつ病のリスクとなることが知られています。しかし、パートナーの支援などを含めた研究は実施されていませんでした。本研究は、2019年7月〜2022年7月に江別市在住の妊婦810名を研究対象として自記式質問紙調査を実施し、妊婦に対するパートナーや家族のサポート状況と妊娠中の抑うつ症状を評価しました。結果として、世帯年収の高低に関係なく、パートナーやパートナー以外の家族による家事や育児のサポートが少ない人は、抑うつ症状を有する割合が高くなることが明らかになりました。妊娠中のパートナーや家族からのサポートは、経済的要因に関係なく、妊婦の抑うつ症状の改善に寄与する可能性があります。論文は12月11日に国際学術雑誌Journal of Public Health 電子版に掲載されました。
研究の意義
今回の研究結果は、うつ病リスクが高い妊婦の早期発見や母子保健に関する施策の立案に役立てられることが考えられます。周産期うつ病は、出産した後の子どもとの関係にも悪影響を及ぼすことが報告されており、母の健康と子どもの健やかな成長のためにも、妊娠時の女性の精神的健康に対するケアは重要です。昨今は、共働きで忙しい家庭が増えているため、妊娠中にパートナーや家族が家事や育児のサポートをしやすくするような仕組みづくりを推進することが必要です。また、今回の研究では、家族のサポートと抑うつ症状を同時に評価しており、因果関係には言及できないため、今後の研究では、家族のサポートが産後うつ病の発症にも関連しているかどうかを検討する予定です。
発表論文
Kobayashi, T., Kojima, R. & Okada, E. Association between household income and depressive symptoms among community-dwelling pregnant women with adequate or inadequate family support during pregnancy: A cross-sectional study. J Public Health (Berl.) (2023). https://doi.org/10.1007/s10389-023-02171-1
▼本件に関する問い合わせ先
酪農学園大学 農食環境学群 食と健康学類
准教授 小林 道
住所:北海道江別市文京台緑町582番地
TEL:011-388-4728
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【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/