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プレスリリース

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大阪大学と日立が、再生医療の産業化促進に向けて「細胞製造シミュレーション工学(日立)共同研究講座」を開設 ― 細胞製造を安定化・効率化するシミュレーション技術の確立と、産業応用に向けたシステム開発を実施

(Digital PR Platform) 2023年12月05日(火)20時05分配信 Digital PR Platform



国立大学法人大阪大学(総長:西尾章治郎/以下、大阪大学)と株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:小島啓二/以下、日立)は、再生医療の産業化促進に向けて、このたび、大阪大学大学院工学研究科(大阪府吹田市)内に「細胞製造*シミュレーション工学(日立)共同研究講座」(以下、本共同研究講座)を開設しました。




 本共同研究講座では、大阪大学大学院工学研究科の保有する培養プロセスのシミュレーション技術と、日立のLumada*のデータ解析技術や医薬品分野におけるノウハウを組み合わせて、細胞加工製品の原料となる細胞の挙動や、作業、環境(培地、試薬、容器など)のシミュレーション技術の確立と、同技術の産業応用に向けたシステム開発を行います。シミュレーションにより、製品品質に影響を与える工程の要素の特定や、実細胞を用いた実験の種類や回数の削減を図り、再生医療の細胞加工製品の、製造の安定化および設計の効率化の実現をめざします。

*1 細胞製造:再生医療分野における細胞加工製品の製造のこと
*2 Lumada:お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューションサービス・テクノロジーの総称
 https://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/


■具体的な研究内容・取り組み
 本共同研究講座では安定した細胞製造に向けて、各工程での細胞挙動の不均一さを考慮するシミュレーションプラットフォームの確立をめざします。シミュレーションプラットフォームでは、細胞の挙動といった生物学的現象と作業、環境の影響をデジタル空間上でモデル化し、そのモデル群による製造のシミュレーションと解析を行います。解析を通して、細胞製造の品質に影響する要素の特定や、設計からの事前予測をもとにしたリアル空間へのフィードバックなどを行うことにより、細胞製造の安定化や設計の効率化の実現をめざします。
 また、共同研究講座や国の研究開発プロジェクトなどを中心に産・官・学の連携の場となっている大阪大学大学院工学研究科テクノアリーナ最先端研究拠点部門イノベーション拠点「紀ノ岡細胞製造コトづくり拠点*」の枠組みを通した、他分野の研究者との技術交流・ネットワーキングにより、再生医療分野における学術発展、産業化促進、および想像力豊かな人材育成への貢献をめざします。

*3 紀ノ岡細胞製造コトづくり拠点:「工学的観点と生物的観点を理解し橋渡しした工程による、細胞の製造に対する可能性(造りやすさ)のこと」を指す新たな概念「細胞製造性」を提唱し、学問の礎とし研究活動を行っています。
 https://www-bio.eng.osaka-u.ac.jp/ps/kotozukuri_top.htm

■本共同研究講座の概要
【共同研究講座名】
 細胞製造シミュレーション工学(日立)共同研究講座
【研究目的】
 原料となる細胞の挙動・作業・環境のシミュレーション技術の確立と、同技術の産業応用に向けたシステム開発
【設置場所】
 大阪大学吹田キャンパス センテラス棟 CT-606
【住所】
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-1
【設置期間(予定)】
 2023年10月1日から2025年9月30日
【共同研究講座代表】
 紀ノ岡正博 教授(大阪大学大学院工学研究科 生物工学専攻)
 可児明生 招へい准教授(日立製作所 水・環境ビジネスユニット)

■本共同研究講座設置の背景
 根治が困難な疾患や治療法がない疾患に対する新たな治療法として期待されている再生医療の産業化促進には、継続的な製品の市場投入、安定した製造・供給体制の確立が重要です。しかし、細胞製造において細胞を完全に制御することは難しく、各工程において同じ細胞株で同じ作業をしても異なる挙動を示すことがあり、研究開発や製造に多大なコストと期間を要するといった課題があります。
 大阪大学大学院工学研究科では、生物プロセスシステム工学領域として、細胞に対する生命現象を解明し、モデル化、最適化、計測、生産計画など細胞製造に関する応用研究を行っています。特に、2021年にテクノアリーナ最先端研究拠点部門イノベーション拠点として採択された「紀ノ岡細胞製造コトづくり拠点」では、産学官連携の頭脳集団を形成し、細胞製造を安心・安定・安価に実現するための技術開発(モノづくり)、規制や国際標準化の構築(ルールづくり)、人材の育成(ヒトづくり)を同時に行うことで、社会実装(コトづくり)をめざしています。
 日立グループは、Lumadaのデータ解析技術、および医薬品分野における培養設備をはじめとした生産設備・機器、生産・品質管理システムなどのOT*・ITシステムを長年提供してきました。また、株式会社日立プラントサービスが2018年、大阪大学大学院工学研究科内に「日立プラントサービス再生医療協働研究所」を設立*、さらに 2024年に開業を予定している「Nakanoshima Qross*」の活動に参画するなど、再生医療分野の取り組みを加速させています。
 こうした中、大阪大学大学院工学研究科の保有する、培養プロセスの現象を要素分解してコンピュータ上で再現するシミュレーション技術と、日立のこれまで培ってきた医薬品分野の技術・ノウハウを活用し、細胞製造シミュレーション技術の確立と産業応用に向けたシステム開発を行います。

*4 OT(Operational Technology):制御・運用技術
*5 2018年7月2日 株式会社日立プラントサービスニュースリリース「再生医療技術の産業化促進に向けて、大阪大学大学院工学研究科「日立プラントサービス再生医療協働研究所」を設立
 https://www.hitachi-hps.co.jp/corporate/news/20180702/index.html
*6 一般財団法人 未来医療推進機構ホームページ
 https://miraikiko.jp/

■大阪大学について
 大阪大学は、大阪の政財界ならびに大阪府市民の強い要望を受け、1931年に帝国大学の一つとして創立されました。その精神的源流は江戸時代の学問所であった懐徳堂と適塾に見出すことができます。その後、次々と新しくユニークな学部・大学院・研究所などを整備し、現在は11学部、15研究科、6附置研究所を有する我が国屈指の研究型総合大学となりました。
 2031年に創立100周年を迎える大阪大学は「地域に生き世界に伸びる」をモットーに「社会変革に貢献する世界屈指のイノベーティブな大学」となることをめざしています。
 詳しくは、大阪大学のウェブサイト( https://www.osaka-u.ac.jp
)をご覧ください。

■日立製作所について
 日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。
 2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は10兆8,811億円、2023年3月末時点で連結子会社は696社、全世界で約32万人の従業員を擁しています。
 詳しくは、日立のウェブサイト( https://www.hitachi.co.jp/
)をご覧ください。

【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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