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日本電信電話株式会社

IOWN APNによる建設機械の遠隔操作・現場環境の把握により建設作業の作業環境と安全性の向上を実証

(Digital PR Platform) 2023年11月09日(木)13時08分配信 Digital PR Platform

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)は、大容量・低遅延・確定遅延の特徴を持つIOWNオールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下、APN)※1を活用して、現場の建設機械と遠隔操作システムを接続することで、用途の異なる2種類の建設機械を用いたユースケースにおいて、違和感のない遠隔操作が可能であることを各社と連携して確認しました。また、現場の映像等を低遅延で伝送することにより、遠隔地にいるオペレーターが現場の状況を正確に把握することが可能となり、現地での作業と近い環境を実現可能としました。今後、建設機械の遠隔操作を活用することにより、オペレーターの移動時間の削減といった業務の効率化や、現場で人が行っていた危険な作業の削減による安全性の向上が期待されます。
なお、本成果は、2023年11月14日〜17日に開催されるNTT R&D フォーラム― IOWN ACCELERATION※2に展示予定です。

1.背景
 昨今の建設業界は、人手不足、長時間労働、技術者の高齢化などが深刻化しています。また、2024年度から時間外労働の上限規制が適用されることから、作業の効率化や雇用の多様化等の働き方改革が求められており、建設機械の遠隔操作による課題解決に期待が高まっています。
 建設機械の遠隔操作は、実際の工事現場で導入され始めていますが、広大な敷地において土を掘ってダンプカーに積む作業等、活用するエリアや適用するユースケースが限定的になっているのが現状で、十分な普及に至っていません。
 今後、本格的な利用エリアの拡大や、より精緻な現場工程への適用等の多様なユースケースでの活用を推進していくためには、更なる操作性の向上や安全性の確保が課題となっていました。

2.実証内容
 実際の工事現場の建設機械を遠隔拠点のオフィス等から遠隔操作することを想定した際の効果を確認するために、遠隔操作用コックピットをNTT武蔵野研究開発センタに、建設機械を遠隔地の現場に設置し、2拠点間をAPNで接続して遠隔操作、および遠隔で現場環境の確認を実証するネットワークを構築しました。
 拠点や操作対象の建設機械が異なる下記2つのユースケースにおいて、建設機械の制御信号、および現場の映像等を低遅延かつ確定遅延で伝送し、建設機械の遠隔操作に関する動作実証を行いました。


[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/2341/79035/700_347_20231109095621654c2e35adfd6.JPG

図1. 本実証における実証イメージについて

■ 無線と組み合わせて油圧ショベルを遠隔操作するユースケース
 コマツ製の油圧ショベルを千葉県美浜区のコマツIoTセンター東京に設置し、コマツとEARTHBRAINが共同開発した遠隔操作システムを利用して、APN経由での遠隔操作、およびリアルタイムでの現場環境の確認を実証しました。
 本実証では、本遠隔操作システムがAPNと無線を組み合わせて更なる低遅延化の実現による操作性の向上、および現場でのより迅速な環境構築による利便性の向上や様々な環境下での利用の可能性を確認しました。また、NTTの超低遅延映像伝送技術※3を活用し、現場の映像を4Kの高解像度で画質劣化なく伝送することで、遠隔地にいるオペレーターが現場の状況を正確に把握することが可能となり、今後の作業環境や安全性の向上が期待されます。

■ End-to-Endでの有線接続で定置式タワークレーンを遠隔操作するユースケース
 竹中工務店西日本機材センター(大阪府堺市)に設置されたタワークレーンに対し、タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®」※4を利用して、APN経由での遠隔操作を動作実証しました。「TawaRemo®」の映像伝送については、ジザイエ※5の低遅延映像伝送技術を搭載したリアルタイム遠隔就労支援プラットフォーム「JIZAIPAD」とAPN組み合わせて、リアルタイム映像伝送の動作実証を行いました。
 本実証では、熟練の作業者が遠隔操作する際の品質を担保するために規定された500msec以内という許容可能な遅延値に対して、タワークレーンまでAPNで接続して遠隔操作を実現することで、東京〜大阪間の約500kmでの低遅延かつ確定遅延というAPNの特性を利用した遠隔操作により、常時、許容可能な遅延値内で、揚重※6等の遠隔操作を実現できることを確認しました。また、APNの確定遅延の特性を考慮することで、ジザイエが提供する低遅延映像伝送技術におけるバッファ時間の更なる短縮が可能となり、リアルタイム映像伝送に対する有効性を確認しました。

3.今後の展開
 今回の実証を通じ、遠隔操作が作業環境の改善・効率化、および安全性の向上に繋がる可能性があることを確認しました。
 今後、今回の実証による知見をもとに、適用エリアや活用するユースケースの拡大への検討を進めるとともに、ドローンによる工事現場の監視等との組み合わせによる提供価値の拡大を合わせて検討し、建設業界における長時間労働の改善や多様な人材確保等の社会課題の解決に貢献してまいります。

<用語解説>
※1 IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)
IOWNは、ネットワークだけでなく端末処理まで光化する「オールフォトニクス・ネットワーク
(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能と
する「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを効率的に配備
する「コグニティブ・ファウンデーション」の3つで構成されます。
APNは、ネットワークから端末、チップの中にまで新たな光技術を導入することにより、これま
で実現が困難であった超低消費電力化、超高速処理を達成します。1本の光ファイバ上で機能
ごとに波長を割り当てて運用することで、インターネットに代表される情報通信の機能や、センシ
ングの機能など、社会基盤を支える複数の機能を互いに干渉することなく提供することができま
す。
https://www.rd.ntt/iown/

※2 「NTT R&D FORUM 2023 -IOWN ACCELERATION」公式サイト
URL:https://www.rd.ntt/forum/

[画像2]https://user.pr-automation.jp/simg/2341/79035/700_90_20231109095627654c2e3baf3d6.JPG


※3 超低遅延映像伝送技術
最大8K120pの映像を光パスを通してSMPTE ST 2110規格で送受信することが可能な非圧縮
映像伝送技術。SDI信号を光伝送装置に直収し、大容量の光パスに非圧縮のSMPTE ST 2110
ストリームとしてダイレクトに送出することにより、映像伝送の長距離化と低遅延化を実現。
https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/02/22/220222a.html

※4 TawaRemo®
株式会社竹中工務店(本社:大阪市中央区、取締役社長:佐々木 正人)と鹿島建設株式会社
(本社:東京都港区、代表取締役社長:天野 裕正)が株式会社アクティオ(本社:東京都中央区、
代表取締役社長:小沼 直人)と共同開発したタワークレーン遠隔操作システム。

※5 ジザイエ
株式会社ジザイエ(本社:東京都千代田区、代表取締役CEO:中川 純希)。「すべての人が
時空を超えて働ける世界へ」をビジョンに掲げる。東京大学発スタートアップ。

※6 揚重
資材や重量物をクレーンやフォークリフトなどの機械を使って持ち上げる作業。

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