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【東京医科大学】腫瘍内リンパ球は乳がん生存率と相関することを発見 〜さらなる腫瘍内リンパ球の働き解明に向けて〜

(Digital PR Platform) 2023年07月14日(金)20時05分配信 Digital PR Platform



 東京医科大学(学長:林由起子/東京都新宿区)乳腺科学分野 呉蓉榕 臨床助教、石川孝 主任教授らの研究グループは、ロズウェルパーク総合がんセンター (米国ニューヨーク州) 高部和明 主任教授、横浜市立大学 (神奈川県横浜市) 消化器・腫瘍外科学 押正徳 助教、遠藤格 主任教授、および兵庫医科大学 (兵庫県西宮市) 乳腺・内分泌外科学 永橋昌幸 准教授 および 三好康雄 教授らとの共同研究により、遺伝子発現パターンから推定した腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)量が、乳がんの生存率に関係することを証明しました。この研究結果は乳がんの予後予測や治療戦略の向上において新たな示唆を与える可能性があります。






【概要】
 東京医科大学(学長:林由起子/東京都新宿区)乳腺科学分野 呉蓉榕 臨床助教、石川孝 主任教授らの研究グループは、ロズウェルパーク総合がんセンター (米国ニューヨーク州) 高部和明 主任教授、横浜市立大学 (神奈川県横浜市) 消化器・腫瘍外科学 押正徳 助教、遠藤格 主任教授、および兵庫医科大学 (兵庫県西宮市) 乳腺・内分泌外科学 永橋昌幸 准教授 および 三好康雄 教授らとの共同研究により、遺伝子発現パターンから推定した腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)量が、乳がんの生存率に関係することを証明しました。この研究結果は、乳がんの予後予測や治療戦略の向上において新たな示唆を与える可能性があります。
 本研究は、2023年4月22日に143回American Surgical association (ASA:米国外科学会)でも発表され、研究成果は2023年6月15日にAnnals of Surgery (IF = 13.787) に掲載されました。

【本研究のポイント】
・遺伝子発現パターンを用いて乳がん内に存在するリンパ球の客観的な評価に取り組んだ。
・HER2陽性乳がんやトリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、TILスコアは生存率と関連していた。
・本研究の結果は腫瘍内TILsの評価方法の改善や乳がんの治療戦略において新たな示唆を与える可能性がある。

【研究の背景】
 腫瘍浸潤リンパ球(TIL)という免疫細胞は乳がんの治療効果や予後に関連します。従来TILは、腫瘍周囲に存在するものが視覚的に評価されてきましたが、腫瘍内TILはばらついて存在するため評価が難しく、客観性にも欠けていることが問題となっていました。そこで、研究チームは個々の腫瘍における遺伝子発現パターンを解析して腫瘍内TILを推定するスコアを開発し、より客観的な評価を試みました(図1)。

【本研究で得られた結果・知見】
 本研究は、遺伝子発現パターンから腫瘍内TILを推定するTILスコアを確立しました。TILスコアを用いたところ、腫瘍内TILは悪性度の高いHER2陽性、トリプルネガティブ乳がんで多く、悪性度の低いER陽性/HER2陰性乳がんでは少ないことが判明しました。
 一方で、腫瘍内TILが多いER陽性/HER2陰性乳がんでは乳がん細胞増殖が促進していることがわかりました。手術前化学療法との関係では、腫瘍内TILは必ずしも完全奏功(がんの兆候がすべてなくなること)とは関連しませんでしたが、HER2陽性、トリプルネガティブ乳がんにおいて腫瘍内TIL量は乳がん生存率と有意に相関することがわかりました(図2)。

【今後の研究展開および波及効果】
 本研究は、腫瘍遺伝子発現パターンを用いた腫瘍内TILの客観的評価によって、乳がんの生物学的特徴のさらなる解明に一歩近づく重要な成果です。今後は、腫瘍内TILの評価方法の改善や、さらなるメカニズムの解明に向けた研究が期待されます。この研究の結果は、乳がんの予後予測や治療戦略の向上において新たな示唆を与える可能性があります。

【掲載誌名・DOI】
掲載誌名:Annals of Surgery
DOI:10.1097/SLA.0000000000005954

【論文タイトル】
Intratumoral tumor infiltrating lymphocytes (TILs) are associated with cell proliferation and better survival but not always with chemotherapy response in breast cancer

【著者】
Rongrong Wu (呉蓉榕)#, Masanori Oshi (押正徳)#, Mariko Asaoka (淺岡真理子), Li Yan, Matthew G.K. Benesch, Thaer Khoury, Masayuki Nagahashi (永橋昌幸), Yasuo Miyoshi (三好康雄), Itaru Endo(遠藤格), Takashi Ishikawa (石川孝), Kazuaki Takabe (高部和明)*
# 共同筆頭著者
* 責任著者

【主な競争的研究資金】
本研究は以下の支援を受け実施した。
National Institutes of Health:R37CA248018、R01CA250412、R01CA251545、およびR01EB029596
US Department of Defense BCRP:W81XWH-19-1-0674 および W81XWH-19-1-0111
Roswell Park Comprehensive Cancer Center:P30CA016056


▼本件に関する問い合わせ先
企画部 広報・社会連携推進室
住所:〒160-8402 東京都新宿区新宿6-1-1
TEL:03-3351-6141
メール:d-koho@tokyo-med.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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