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【東京医科大学】定量的核形態情報を用いた淡明細胞型腎がんの再発予測 〜従来の核異型度を超える再発予測能をもつ人工知能を応用した診断技術を開発〜

(Digital PR Platform) 2023年07月14日(金)14時05分配信 Digital PR Platform



 東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)分子病理学分野の黒田雅彦 主任教授、人工知能応用医療講座の齋藤彰 特任教授、泌尿器科学分野の松原脩也 助教、大野芳正 主任教授らの研究グループは、定量的核形態情報を用いて淡明細胞型腎がんの再発を予測する人工知能を応用した診断技術を開発しました。この研究成果は、淡明細胞型腎がんの再発予測に核形態の定量的評価と人工知能技術が有効であることを示し、従来の再発リスク因子とは別の観点から正確な再発予測を提供することが期待されます。




【概要】
 東京医科大学(学長:林 由起子/東京都新宿区)分子病理学分野の黒田雅彦 主任教授、人工知能応用医療講座の齋藤彰 特任教授、泌尿器科学分野の松原脩也 助教、大野芳正 主任教授らの研究グループは、定量的核形態情報を用いて淡明細胞型腎がんの再発を予測する人工知能を応用した診断技術を開発しました。
 この研究成果は、淡明細胞型腎がんの再発予測に核形態の定量的評価と人工知能技術が有効であることを示し、従来の再発リスク因子とは別の観点から正確な再発予測を提供することが期待されます。この研究結果は、2023年7月7日、英国科学誌 Scientific Reports誌 (IF 4.997)にオープンアクセス論文として掲載されました。

【本研究のポイント】
●腎がんは術後5年以内に再発するものから10年以上経過後に再発するものまで、その再発時期は様々です。米国泌尿器科学会や欧州泌尿器科学会から提唱されているリスク分類は従来のT病期や核異型度などを基本としたものであり、術後長期までの再発予測には限りがあります。そのため今回はこれまで使用されていた病理学的因子とは別の、がん細胞の核形態情報に着目しました。

●デジタル病理画像技術を用いて細胞核の形態に関する特徴量を抽出し (図1)、細胞の核異型のみで判断可能なアルゴリズムを開発しました。5年以内に再発した症例、5〜10年で再発した症例、10年時点で無再発であった症例の核形態の特徴をそれぞれ人工知能 (AI)に学習させ、実際の症例で再発予測が可能かどうかを検討しました。

●5年時点での再発の有無、10年時点での再発の有無をそれぞれ予測できるかどうかを目的とし、AIの検証テストを行ったところ、それぞれ100%の正答率で正解することができ、少なくとも10年以内の再発症例については再発の有無だけでなくその再発時期も含め予測が可能であることが示されました。


【研究の背景】
 腎細胞がんは腎臓実質に発生する悪性腫瘍であり、その組織型は多種にわたります。その中でも淡明細胞型腎がんは腎がん全体の80%以上を占めます。また、転移がない場合でも30%弱は再発すると言われています。その再発における腎細胞がんの特徴として、術後早期に再発するものから、10年以上経過後に再発するものまで再発時期が様々であるということがあります。実臨床においては従来の病理組織情報などの予後因子を用いた予後予測で早期に再発すると予想されても、10年以上無再発で経過するということもしばしばあります。これは既存の病理学的因子のみで正確に再発リスクを予想することが困難であるためです。
 現在、デジタル病理画像、人工知能技術の発展により、目視では確認できない画像の特徴を捉えそれを活用する試みが世界的に広がっています。一方で人工知能による腎細胞がんの再発予測の報告はこれまでなく、今回の研究を行うに至りました。

【本研究で得られた結果・知見】
 今回の研究により、世界で初めて淡明細胞型腎がんに対して人工知能による再発予測および細胞核の定量化された形態学的特徴の有用性が示されました。この手法は患者に対して非侵襲的なものであり、摘出検体のHE染色で測定できるものでありその簡便性から実臨床に広く応用できる可能性があります。

【今後の研究展開および波及効果】
 人工知能を用いた再発予測および予後予測は他のがん種でも行われています。今回の手法はHE標本のみを利用するもので、追加侵襲もないことから実臨床において簡便に応用することができると考えられます。今後、解析のための症例をさらに増やすことでその精度をより高いものとし、現状のリスク因子と合わせてより確実な予後予測が可能になることを目指します。

【掲載誌名・DOI】
掲載誌名:Scientific Reports
DOI: 10.1038/s41598-023-38097-7

【論文タイトル】
Recurrence prediction in clear cell renal cell carcinoma using machine learning of quantitative nuclear features

【著者】
Shuya Matsubara 1, Akira Saito 2,3, Naoto Tokuyama 1, Ryu Muraoka 1, Takeshi Hashimoto 1, Naoya Satake 1, Toshitaka Nagao 4, Masahiko Kuroda 2,3*, Yoshio Ohno 1*
*責任著者

1 Department of Urology
2 Department of AI Applied Quantitative Clinical Science
3 Department of Molecular Pathology
4 Department of Anatomic Pathology


▼本件に関する問い合わせ先
企画部 広報・社会連携推進室
住所:〒160-8402 東京都新宿区新宿6-1-1
TEL:03-3351-6141
メール:d-koho@tokyo-med.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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