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シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

景気後退がポートフォリオに及ぼす影響

(Digital PR Platform) 2023年04月13日(木)10時00分配信 Digital PR Platform

過去50年間のデータを基に、経済がマイナス成長となった際の様々な資産のパフォーマンスを分析します。


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ティナ・フォング
ストラテジスト

米国経済は大方の予想を超えて底堅く推移していますが、銀行セクターにおける最近の混乱により、景気はソフト・ランディングに向かっているのか、後退に向かっているのか、についての議論が再燃しています。

当社の見方は後者であり、米連邦準備制度理事会(FRB)による急激な引締め策を考えると、今年は景気後退が起こると引き続き予想しています。
https://www.schroders.com/en/uk/tp/economics2/economic-and-strategy-viewpoint/economic-and-strategy-viewpoint--q1-2023/


このことを念頭に置いて、投資家は差し迫る景気後退の嵐から自らのポートフォリオを護るため、どのようなポジションをとるべきでしょうか?過去におけるすべての景気後退局面は様々に異なっており、歴史が繰り返されるという保証はありませんが、過去の景気後退局面において異なる資産クラスがどのような動きとなったかを知っておくことは有益であると思います。

なお、景気後退の定義については、実質GDP成長率が2四半期連続マイナスとなった場合、あるいは経済サイクルの観点から景気後退を認識することができますが(https://www.schroders.com/en/uk/tp/economics2/economics/why-this-economic-cycle-is-different/
)、この資料では、分かりやすくNBER(全米経済研究所)が公式に定めた米国の景気後退局面を分析対象としています。

安全第一、ただし市場における再評価を見逃さないこと
景気後退は、成長率の落ち込みやインフレの低下と見なされ、政策担当者は金融緩和や財政政策、あるいは度々その両方を行うように促されます。投資家は通常、安全性の観点から国債や一部社債を選好します(図表1)。また、米ドルも、景気後退時、特に世界の他の地域における経済が米国経済より弱い場合は安全な逃避先と見なされ、買われる傾向があります(https://www.schroders.com/en/uk/tp/markets2/markets/the-dollar-smile-theory-what-is-it-and-is-it-still-valid-in-the-new-market-regime/
)。それに対し、株式とコモディティは経済活動の急激な低下によって大きな損失を被ります。

一般的に、リスク資産のパフォーマンスは、世界金融危機の際に生じた巨額の損失により、過去30年間の景気後退局面においてはさらに悪化しました。

図表1:過去の景気後退局面では国債がアウトパフォーム


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米国株式は、景気後退局面に大体底値をつけていますが(https://www.schroders.com/en/uk/tp/economics2/economics/how-do-us-stocks-and-earnings-usually-perform-during-recession/
)、その終盤には力強い反発を見せています(図表2)。

株式の回復は、割安となった株式のバリュエーションと、FRBの金融緩和策に支えられた将来的な経済活動や企業収益の回復に対する期待が組み合わされることによって、もたらされます。過去の景気後退局面に生じた冴えないリターンを単純に見てしまうと、投資家は市場による再評価の機会を見逃してしまうことに留意すべきです。また、これは景気後退局面における株式やスタイルへの投資にも関連しますが、次でご説明します。

図表2:景気後退局面の終盤では通常、株式と社債は上昇



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過去の景気後退局面における株式のパフォーマンスはどうだったのか?
株式は通常、景気後退局面には調整しますが、米国では生活必需品やヘルスケアのようなディフェンシブなセクターは平均的に最も良好なリターンを提供しています(図表3)。これは、経済が低下圧力を受けている際に、投資家はより高い収益性と、強固なバランスシートを有する企業を求めるためです。一方、金融や資本財のようなシクリカルなセクターは、最もパフォーマンスが悪化する傾向にあります。

まず、セクターがディフェンシブかあるいはシクリカルかを定義する確実かつ不変なルールはないことにご留意ください。ディフェンシブ・セクターは一般的に、市場に対するベータが低い、生活必需品、ヘルスケア、公益事業、および不動産といったセクターになります。それに対して、シクリカル・セクターは通常、市場に対するベータがより高い、資本財、エネルギー、金融、情報技術(テクノロジー)、素材、一般消費財、および通信サービスといったセクターになります。

図表3:ディフェンシブ・セクターは市場全体やシクリカル・セクターに比べて好調に推移


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しかし、景気後退局面に最もアンダーパフォームした、不動産や金融のような一部のセクターは、景気後退局面の終盤に大きく回復しています(図表4)。金融、特に銀行は、預金者に支払う利息よりも高い金利で貸し付けること(いわゆる純利息収入)で利益を得ています。従い、銀行の受け取る純利息収入は金利の上昇と共に拡大します。景気後退局面の利下げは収益力を弱めますが、緩和策は最終的に、イールド・カーブの再スティープ化、そして銀行の純利息収入の改善につながります。その結果、景気後退局面の終盤には金融セクターのパフォーマンスは回復することになります。

図表4:景気後退局面当初および終盤の市場全体に対する米国株各セクターの平均リターン


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結果として、一般消費財やテクノロジーといった、金利により敏感な一部のシクリカル・セクターのパフォーマンスでさえ、景気後退局面が終わる前に回復しています。このような景気後退局面が終了する前の株式市場の再評価のように、これらのシクリカルなセクターは、市場が経済活動や企業収益の回復を当初低く予想していることから、利益を享受することになります。

一方、公益事業のようなディフェンシブ・セクターは、景気後退局面の初めにおいて底堅く推移する傾向にありますが、景気後退局面の終盤には損失を被っています。シクリカル・セクターとして考えられている通信サービス・セクターのパフォーマンスもまた、景気後退局面に同様のパターンを示しています。これは、2018年以前、同セクターがいわゆる「電気通信」として知られるディフェンシブなセクターに分類されていたことによるものです。

ディフェンシブな株式スタイルが勝者だが、小型株も無視できない
これまでの景気後退局面では、ディフェンシブ戦略がスタイルにおける勝者となりました(図表5)。これは、投資家が強固なバランスシートと安定したキャッシュフローを有する優良な株式を避難先として求めたためと思われます。同時に、投資家は、市場全体よりもリスクの低い最小分散戦略に投資しました。この分析に使用したその他の様々な株式スタイルの定義に関しては、図表6をご参照ください。

図表5:過去の景気後退局面では米国のディフェンシブ・スタイルが優位


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図表6:株式スタイルの定義


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一方、インデックスにおけるテクノロジー株の割合が増えたことで、過去30年間の景気後退局面において、グロース・スタイルはより高い収益を提供しています。これらの企業は将来的に大きな収益を創出する傾向にあり、利下げによって、これら企業の将来キャッシュフローはより低いレートで割り引かれることになります。

対照的に、最もパフォーマンスの悪かったスタイルは小型株とバリューでした。バリューは、国債利回りの上昇と順相関であるため、金利の低下によって損失を被っています。小型株は、景気後退局面には一般的にマイナスのリターンとなりますが、その終盤には大きく見直されます(図表7)。これは、投資家が当初、小型株の収益回復を慎重に予想するものの、小型株は大手の競合他社に比べて金融緩和策の恩恵をより大きく受ける可能性があるためと思われます。

図表7:景気後退局面当初および終盤における米国株式スタイルの市場対比パフォーマンス


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景気後退局面では不調なコモディティ
コモディティは通常、景気後退局面には下落圧力を受け、エネルギーや産業金属などは最もパフォーマンスが悪化するセクターですが、これらのセクターは経済成長の変化に最も感応度が高いことによるものです(図表8)。これらのセクターはコモディティ分野において大きな比重を占めており、景気後退局面にはインデックス全体を引き下げることになります。

図表8:景気後退局面には殆どのコモディティ・セクターがマイナス


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これに対して、金は景気後退局面には良好な結果を示す傾向にありますが(https://www.schroders.com/en/insights/economics/what-could-a-us-recession-mean-for-gold-and-gold-equities/
)、投資家が安全な避難先として触手を伸ばすためです。同時に、金融緩和と実質金利の低下は通常、景気後退局面において金価格の支援材料となります。ただし、景気後退局面における米ドル高との綱引きになります。

これらの結果は、過去の米国の景気後退局面を基にしたものであり、現在世界最大のコモディティ消費国である中国が考慮されていないことを、はっきり申し上げておく必要があります。例えば、中国は世界の銅消費量の半分を占め、世界2位の石油消費国となっています。

米国が今年後半、景気後退に入ると予想される一方、中国の成長は、ゼロコロナ政策による制限の解除により、力強く回復する可能性があります。中国の回復はサービス部門が中心と考えられますが(https://www.schroders.com/en/uk/tp/economics2/economics/will-chinas-re-opening-actually-benefit-the-global-economy/
)、これはエネルギー・セクターにとって支援材料となり、米国の景気後退による潜在的な影響を一部相殺する可能性があります。

まとめ
国債や一部の社債は一般的に、景気後退局面には良好なパフォーマンスを示しますが、コモディティ価格や株価は大きな損失を被ります。ディフェンシブな株式セクターやスタイルもまた、パフォーマンス上の勝者となります。しかし、投資家は、景気後退局面の終盤における株式市場、特定の株式スタイルやセクターの反発を見逃さないように留意すべきです。景気後退局面におけるFRBの緩和政策により、最終的には、経済や企業収益の回復期待が高まることとなります。

コモディティ、特に産業用金属やエネルギーなどのパフォーマンスは、概ね過去の景気後退局面において劣後しました。ただ、金は安全資産への逃避の動きから恩恵を受けます。しかしながら、この歴史の教訓は、今年、力強く成長すると予想される中国の影響を考慮していません。従い、コモディティに関する景気後退局面の筋書きは今回に関しては異なるものになるかもしれません。

景気後退のタイミングについては何の保証もありませんが、シュローダーは、今年後半に起こると予想しています。景気後退局面の当初数ヵ月間、まず投資家は自ずとディフェンシブな資産を求めるでしょう。しかし、市場の見直しによる反発の機会を無視すべきではなく、景気サイクルの次の段階に移行するための準備をしておく必要があると思います。

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