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武田薬品工業株式会社

日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト「職場における脳・神経の多様性に関する意識調査」の結果について

(Digital PR Platform) 2023年03月30日(木)15時00分配信 Digital PR Platform

−オフィスワーカーの約5%は、発達障害に見られる特性を持つグレーゾーンに該当
−ニューロダイバーシティの認知度は、さまざまな多様性の中で最も低い
−ニューロダイバーシティ人材も一緒に働く周りの人も発達障害の特性のために仕事に同程度支障を感じているが、その対応に対して異なる認識

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)は、「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」(以下「本プロジェクト」)の一環として、職場環境におけるニューロダイバーシティ※1の現状と課題を把握することを目的に、18歳から65歳の全国のオフィスワーカー2600人※2を対象とする調査を実施しました。この調査結果により、発達障害当事者(発達障害の診断を受けている人)またはグレーゾーン※3(診断はないものの、発達障害に見られる特性を持つ人)であるニューロダイバーシティ人材※4と、それらに該当しない周りの人たちとで、発達障害や多様性に対するさまざまな認識にギャップが存在することが分かりました。

発達障害の診断を受けていないオフィスワーカー2500人の中で三つの発達障害の特性に対して一つでも「よく当てはまる、または頻繁に指摘されたことがある」と回答した人は5%(125人)でした。また、本調査において発達障害の診断を受けた当事者の出現率は約0.8%※5でした。大人の発達障害は、ADHDに限っても約2.5%生じる※6とされており、診断を受けていないグレーゾーンの人がいることが推定されます。

さまざまな多様性・ダイバーシティに関しての認知度・理解度を尋ねる質問では、発達障害当事者、グレーゾーン、周りの人たちのすべてのグループで、ニューロダイバーシティの認知度・理解度が最も低く、特に周りの人たちは60%以上(60.5%)が知らないと回答しました。ニューロダイバーシティは過半数が知らない状況であり、ニューロダイバーシティ人材が活躍できる土壌が整っているとは言えない状況がうかがわれます。

発達障害の特性により仕事に支障があると回答した割合※7は、発達障害当事者、グレーゾーン、発達障害の特性・特徴のある方と仕事をしている周りの人たちの間でそれぞれ67.0%、56.8%、67.6%であり同程度でした。一方、支障が出ないようにするための対応を尋ねる質問では、ニューロダイバーシティ人材は「自分で対処しようとしている」と回答した割合が、当事者で76.1%、グレーゾーンで54.9%となり最も高かったのに対し、一緒に働く周りの人たち(N=192)では「周りの同僚や上司が特性・特徴を理解し、対応している」の回答が46.4%と最も多く、対応方法に対して異なる認識を持っていることが分かりました。一緒に働く周りの人たちでは「特に何も対応していない」が39.6%となり、発達障害の特性に対して十分な理解がされておらず、このことからもニューロダイバーシティ人材が活躍できる土壌が整っているとは言えない状況がうかがわれます。

本調査により、職場において発達障害やそれに類似する特性への対応状況がまだまだ不十分であり、ニューロダイバーシティ人材が活躍できる土壌が整っていないことが示唆されました。日本橋ニューロダイバーシティプロジェクトでは、発達障害に見られるような特性を単なる障害ではなく、脳や神経の多様性として捉えるニューロダイバーシティを推進していくことを通じて、ニューロダイバーシティ人材以外の周りの人たちも働きやすい環境を作り出していくことを目指します。

調査概要:

調査対象−発達障害の診断を受けている人 100名、発達障害の診断をうけていない人 2500名
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年1月26日〜2023年1月30日

詳細は、「別添資料 調査結果補足」をご覧ください。

※1 脳や神経、それに由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを、多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこうという考え方
※2 内訳:発達障害の診断を受けている人100人、発達障害の診断を受けていない人2500人
※3 ADHD、ASD、LD当事者の特性を提示した設問のいずれかにおいて「よく当てはまる、または頻繁に指摘されたことがある」と回答した人の合計
※4 発達障害の診断を受けている人とグレーゾーンに該当する人
※5 スクリーニング質問で発達障害の診断を受けている人が13155人中100人(0.8%)
※6 注意欠如多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第5版
※7 ニューロダイバーシティ人材と周りの人たちそれぞれに、発達障害に見られる特性がどの程度仕事に支障を及ぼすか聞いた設問において「とても支障がある」「やや支障がある」と回答した人の合計

「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」概要
海外でますます浸透が進むニューロダイバーシティですが、その考え方は残念ながら日本では認知がほぼ進んでいません。
そういった状況を鑑み、まずは、「障害ではなく多様性の一つとして捉えるニューロダイバーシティの概念の社会的な浸透を図り、当事者に対する受け入れ風土の醸成に繋げる」ことを目的として本プロジェクトの発足を起案いたしました。本プロジェクトを通して意識の変化、そして行動の変化へと段階的にニューロダイバーシティの認知を拡大し、発達障害を含む脳や神経の違いを優劣ではなく多様性として尊重し合う社会を目指してまいります。

・意識の変化:社会が、発達障害を多様性の一つとして捉え、個性を尊重すべきというニューロダイバーシティの考え方を理解している状態
・行動の変化:社会が、発達障害を多様性の一つとして捉え、当事者を受け入れている状態

企画・運営:
武田薬品工業株式会社

賛同企業・団体(50音順):
花王株式会社、株式会社クマヒラ、株式会社コネル、株式会社スマサポ、非営利組織DiODEN
株式会社テラスカイ、株式会社日本水道設計社、野村ホールディングス株式会社、株式会社voice and peace、三井不動産株式会社、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)
※2023年3月30日時点

協力:
鳥取大学 大学院医学系研究科 臨床心理学講座 井上雅彦教授、株式会社Kaien

■ニューロダイバーシティとは
ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)とは、Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉が組み合わされて生まれた、「脳や神経、それに由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で生かしていこう」という考え方であり、特に、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障害といった発達障害において生じる現象を、能力の欠如や優劣ではなく、『人間のゲノムの自然で正常な変異』として捉える概念※1でもあります。

■発達障害について
発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習症(学習障害、LD)、チック症、吃音などが含まれます。これらは、生まれつき脳の働き方に違いがあるという点が共通しています。同じ障害名でも特性の現れ方が違ったり、いくつかの発達障害の特徴を併せ持ったりすることもあります※2。特性により生活面や仕事面などに生きづらさを抱える方も多い一方で、彼らにある特性は何らかの特殊な能力と表裏一体である可能性が、最近の研究で示されています。
出典
※1 経済産業省.「ニューロダイバーシティの推進について」.経済産業省HP.2022-04-08.
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/neurodiversity/neurodiversity.html
(参照2023-03-30)
※2 厚生労働省.「知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス」.厚生労働省HP.2011.
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html
(参照2023-03-30)

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国と地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/
をご覧ください。


別添資料(調査結果補足)

■オフィスワーカーの約5%は、発達障害に見られる特性を持つグレーゾーンに該当
発達障害の診断を受けていないオフィスワーカー2500人に、発達障害に見られる傾向について経験したり指摘されたりしたことがあるか聞いたところ、125人が「よく当てはまる、または頻繁に指摘されたことがある」を選択しました(5.0%)。なお、発達障害の分類ごとのグレーゾーン割合は以下の通りで、ASD傾向は3.7%、ADHD傾向は2.6%、LD傾向は1.8%が「よく当てはまる、または頻繁に指摘されたことがある」と回答しています。本調査において、診断を受けている当事者の出現率が0.8%であることから、職場には発達障害の診断こそ受けていないものの、認知されていない当事者がいる可能性が示唆されました。










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■ニューロダイバーシティの認知度は、さまざまな多様性の中で最も低い
発達障害に見られる特性を持つ人材が活躍するための土壌となる「ニューロダイバーシティ」の考え方は、他の多様性と比べて認知度が低いことが分かりました。
今回の調査対象者2600人にさまざまな多様性に関連する概念の認知・理解度を問う設問では、「男女の多様性」「性的指向・性自認の多様性」「人種・民族の多様性」「障害の有無」について、発達障害当事者、グレーゾーン、周りの人たちのいずれも「知らない」と答えた人は30%未満であり、やや「知らない」の割合が高かった「年齢の多様性」(9.0%、20.0%、37.2%)、「外見の多様性」(9.0%、14.4%、31.7%)でも40%を超えることはありませんでした。
一方で、ニューロダイバーシティについては「知らない」との回答が、発達障害当事者、グレーゾーン、周りの人たちはそれぞれ21.0%、26.4%、60.5%であり、すべてのグループにおいて、他の多様性より高い結果となりました。
このほか、ニューロダイバーシティ人材はいずれの多様性においても認知度が高い傾向も見られました。

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■ニューロダイバーシティ人材も発達障害の特性があると感じる人と一緒に働く周りの人も発達障害の特性のために仕事に同程度支障を感じている
発達障害による特性が仕事においてどの程度支障をきたしているか問う設問では、発達障害当事者が67.0%、グレーゾーンが56.8%、周りの人たちは67.6%が「とても支障がある」「やや支障がある」と回答しており、立場を問わず6-7割程度の人が業務に支障を感じていることが分かりました。




[画像3]https://user.pr-automation.jp/simg/2413/69773/700_156_202303301207086424fcdc473fa.jpg







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また、職場環境に対する要望を聞く設問では、発達障害当事者やグレーゾーンの人たちはいずれも「手書きの書類作成を強要しないでほしい」を除くすべての項目で、50%以上が「とても当てはまる」「当てはまる」と回答しました。
なお、特性の見られなかった周りの人たちについても、「業務を指導する際には抽象的な表現は避けてほしい」「作業の合間に小休憩をはさむような仕事のサイクルを設けたい」「業務の手順や仕事内容の柔軟な調整を申し出しやすい環境が欲しい」の項目はおよそ3人に一人が、その他の項目については、「フリーアドレス性を導入してほしい」を除くすべての項目でおよそ4人に一人が「とても当てはまる」「当てはまる」を選択しています。
このことから、ニューロダイバーシティ人材の多くが求めている職場環境は、一緒に働く周囲の人たちからも一定の割合で求められていることが分かりました。




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■ニューロダイバーシティ人材と一緒に働く周りの人との間で、支障を防ぐための対応について異なる認識
業務に支障があると答えたニューロダイバーシティ人材の55.1%は、特性による支障が出ないようにするため、「自分で対処しようとしている」と回答しています。しかし、同様に支障があると回答した発達障害の特性があると感じる人と一緒に働く周りの人たちのうち、「特性・特徴のある方が自分で対処しようとしている」と答えた人はわずか9.9%であり、最も多いのは「周りの同僚や上司が特性・特徴を理解し、対応している」の46.4%、次点が「特に何も対応していない」39.6%となっています。
このことから、職場においてニューロダイバーシティ人材と周りで一緒に働く人の間に、支障への対応の状況や必要性について、認識にギャップが存在することが分かりました。


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本件に関するお問合わせ先
neuro_diversity@prap.co.jp

関連リンク
日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト
https://www.n-neurodiversity.jp/

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