プレスリリース
Society5.0に向けて国土交通省「Project PLATEAU」の3D都市モデルに屋内空間モデルを統合し、防災、環境、まちづくりなど多様な価値創造につながるユースケース開発を推進
株式会社日建設計(本社:東京都千代区、代表取締役社:松敦、以下「日建設計」)は、国土交通省が主導する「Project PLATEAU(プロジェクト・プラトー)」に参画しており、この度デジタル庁による「デジタルツイン構築に向けた3D都市モデルとBIM(Building Information Modeling、以下「BIM」※1)連携に関する調査研究」業務において、株式会社日建設計総合研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役所長:朝倉博樹)、アジア航測株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:畠山仁)、一般社団法人buildingSMART Japan(東京都渋谷区、代表理事:山下純一)と協働し、成果を取りまとめましたので発表します。
国土交通省が主導する「Project PLATEAU」 https://www.mlit.go.jp/plateau/
国土交通省が主導するProject PLATEAUは、3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化のプロジェクトです。Society5.0の基盤として、誰もが自由に都市のデータを引き出せるよう都市のデジタルツインとなる3D都市モデルを構築・整備しており、防災、環境、まちづくり、地域活性化、観光、モビリティといった様々な領域で、社会課題の解決や新たな価値創造に向けたユースケース開発が進んでいます。
策定の背景:これまで課題が多かった、3D都市モデルへのBIMデータ統合を実現
従来の3D都市モデル(LOD0~3)は、建築物を外から測量して構築するため、詳細な建物情報を持たない外形のみの表現でした。そのため、比較的広域の分析には適するものの、建物内部から周辺のまちまで連続した計画やサービスに用いるには十分な情報を持ち合わせていませんでした。そこで建築物の詳細な3次元形状(壁、扉、階段、部屋など)や属性情報(面積、材料など)を持つBIMを、道路や地形を含む3D都市モデルに統合することは世界中で検討されてきました。ただし、既存のBIMには位置情報が含まれていない場合が多く、変換の過程で属性情報が失われてしまうなど技術的な課題もあったことから、これまで利用が限定されていました。
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図1:3D都市モデルとBIMの連携イメージ
※1 BIM(Building Information Modelling):コンピュータ上に作成した主に3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデル。建設プロセスの中で、目的やフェーズに応じて複数のBIMモデルが作られます。
新たな3D都市モデルの標準仕様とデータ変換ツールの特長
日建設計は、今回の調査研究を通じ、世界で初めて屋内空間の詳細な構造に関する情報を含む3D都市モデルの標準仕様(CityGML2.0 建築物モデル(LOD4)※2)及びBIMのデータ連携仕様(IFC※3)を策定しました。これにより、屋外空間と屋内空間をシームレスに可視化し、部屋から避難所までの避難ルートの検討や、周辺建物の影響を考慮した眺望のシミュレーション、敷地内の公共空間を含めた道の誘導案内など、屋内外をまたいだ新たなユースケース開発にも対応できるようになります。また既存のBIMデータ(IFC2x3形式)をProject PLATEAUの標準仕様に変換できるツールを開発しました。今後、建築設計時に作成されるBIMがこの仕様に沿って整備されるようになれば、3D都市モデルの充実を加速させ、Society5.0の実現に貢献します。
想定されるユースケース
今回策定した仕様では、屋内マップや環境シミュレーション、避難等の移動シミュレーション、視線解析等のユースケースを想定しています。周辺の建物との関係を考慮したシミュレーションや、屋内外をまたいだユースケースに対応することが可能です。例えば下図のように、建物単体ではなく、複数の建物をまたいだ移動のシミュレーションを行うことで、地域規模での防災計画等が行いやすくなります。
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図2:複数の建物間を移動するシミュレーション例
今後について
都市・建築の優れた設計やマネジメントの仕組みづくりを通じ、現代のさまざまな社会課題に応えていく「社会環境デザイン」を掲げる日建設計では、今後もProject PLATEAUが目指す理念に賛同し、都市のデジタルツイン実現に向けた開発・協力を進めてまいります。
今回の取り組みに関する詳細は、Project PLATEAU 公式サイトもあわせて参照ください。
https://www.mlit.go.jp/plateau/libraries/handbooks/
日建設計について
日建設計は、建築・土木の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務をうプロフェッショナル・サービス・ファームです。1900年の創業以来120年にわたって、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、顕在的・潜在的な社会課題に対して解決を図る「社会環境デザイン」を通じた価値創造に取り組んできました。これまで本、中国、ASEAN、中東で様々なプロジェクトに携わり、近年はインド、欧州にも展開しています。
URL:https://www.nikken.jp/ja/
※2 CityGML2.0 LOD4(建築物):CityGML2.0は、OGC(Open Geospatial Consortium)で提唱されている、3D都市モデルを扱うための国際標準データ形式。3D都市モデルの詳細な表現レベルに応じてLOD(Level of Details)が設定されています。LOD3では建築物の外形や開口部までの描写であった一方、今回日建設計が策定したLOD4(建築物)では屋内の詳細な構造まで描写できるようになりました。
※3 IFC(Industry Foundation Classes):buildingSMART International が策定した三次元の建物情報(BIM)モデルの国際標準データ形式。今回の取り組みでは、IFC2x3 Coordination View2.0に基づく建築意匠BIMモデルに位置情報を付加した定義とマニュアルを整備しました。
協働企業について
(1)株式会社日建設計総合研究所
・本社所在地:東京都千代田区飯田橋2丁目18番3号
・代表取締役所長:朝倉 博樹
・設立年月日:2006年1月1日
・事業内容:都市経営、都市デザイン、環境・エネルギ―に関する調査研究
<URL>https://www.nikken-ri.com/
(2)アジア航測株式会社
・本社所在地:東京都新宿区西新宿6丁目14番1号
・代表取締役社長:畠山 仁
・設立年月日:1954年2月26日
・事業内容:地理空間情報サービス事業、社会インフラ・国土保全関連事業
<URL>https://www.ajiko.co.jp/
(3)一般社団法人 buildingSMART Japan
・所在地:東京都渋谷区代々木1丁目25番5号
・代表理事:山下 純一
・設立年月日:1996年4月19日
・設立趣旨:建設業界におけるデータの共有化及び相互運用
<URL>https://www.building-smart.or.jp/
本件に関するお問合わせ先
株式会社日建設計 広報室 Tel. 03-5226-3030 e-mail:webmaster@nikken.jp
関連リンク
国土交通省が主導する「Project PLATEAU」
https://www.mlit.go.jp/plateau/