プレスリリース
東京, 日本 - Media OutReach - 2023年2月14日 - 今年は明るいマクロ経済ニュースからの始まりとなる。長引くと思われていた欧州の景気低迷に回復の兆しが見えている。経済活動における効率性の向上、併せて経済活動が鈍化していることが、エネルギー価格の急落を引き起こし、インフレ率が抑えられる結果となった。また、不確かではあるものの、今年後半には中国経済が回復するとされる見通しも世界で期待されている。
昨年の世界経済が直面した課題は依然として深刻で、そこから派生する地政学的な分裂やエネルギー危機気候変動、疫病リスクなど、あらゆる課題をわたしたちは抱える。このような課題を抱えながら加速的に変化する世界状況のなかで、十分に考慮されたシナリオでも通用しないというリスクがある。
また、コファスのカントリーリスク評価とセクターリスク評価の双方において、格下げ傾向が見られた。
景気後退、スタグフレーションの定着
昨年末は経済的に明るい話題で幕を閉じた。今冬の欧州は、通年と比較しても穏やかな気温と豊富なガス備蓄により、強制配給の恐れがなくなり、欧州の経済活動は急激な収縮を避けることができそうだ。このため、コファスは 2023 年の世界成長率予測を 1.9%に据え置いた。また、先進国のスタグフレーションと新興国の全体的な底堅さという我々のシナリオも確認された。
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これらは、コファスのリスク評価にも反映されている。2022年6月に95カ国、10月に50カ国以上のカントリーリスクとセクターリスクの下方修正がされたが、その後の下方修正は今期の3カ国・10セクターのみである。一方、コファスは、インドとブルンジ共和国の評価を上方修正し、サプライチェーンにおける緊張が徐々に緩和されたおかげで、主に自動車産業における6セクターの評価も上方修正した。
2023年前半のインフレ率の低下
先進国の消費者物価の高騰の根源はエネルギー価格の高騰であったが、その緩和により、2022年末にはインフレ率は低下している。このように、インフレ率はユーロ圏ではピークを過ぎたようだ。米国も同様で、9.1%のピークから12月には6.5%となっている。インフレ率の低下は、商品価格の緩やかな上昇に加え、商品需要の低下も起因している。2023年前半も、商品価格が前年を下回る水準にとどまる限り、インフレ率の鈍化は単にエネルギー価格のベース効果によって続くと予想される。
このような活動の相対的な抵抗を背景に、労働市場は引き続き売り手市場が続いており、失業率は依然として歴史的な低水準となっている。2022年末の失業率は、ユーロ圏では低下が続き、米国では50年以上ぶりの低水準(3.5%)を維持し、英国ではわずかな上昇(3.5%から3.7%)に留まる。この回復力は2023年前半も続く可能性がある。2022年に歴史的に高い採用難に直面した企業で、需要が低迷しているにもかかわらず従業員を確保し、経済活動が回復するのを待ちたいと考える企業もあるかもしれない。
依然残る世界経済リスク
2023年の世界経済の見通しは、リスクと不確実性の両方が残る環境下で、依然として暗い。主な懸念材料は、インフレ率の推移である。ディスインフレのトレンドは進行しているように見えるが、その着地点に関する決定的な問題が残っている。先進国の中央銀行が設定した2%目標への回帰というシナリオは完全に埋没したわけではないが、それ以上の水準でインフレが安定化する可能性はある。今年前半に予想されるディスインフレは、金融当局が目標とする水準に達する前に中断される可能性があり、今年後半にインフレが再上昇する可能性も排除できない。
また、中国の回復も不安材料の一つである。同国におけるCOVID-19に対する規制が緩和されたことで、中国の消費は回復に向かうはずだが、突然の再開に伴い感染症が急増したため、その回復は緩やかなものと予測される。したがって、経済活動の正常化は2023年の第1四半期末に始まり、より強固な回復が下半期に起こる可能性があり、エネルギー面、ひいてはインフレに新たな嵐が吹き荒れる条件が整う可能性がある。
セクター分類の見直し
コファスのセクター別評価は、前回の経済関連レポートから変更はほとんどないが、ネガティブな変更がほとんどない場合、経済シナリオの相対的な改善を反映し、いくつかのアップグレードを行うことにした。これらのアップグレードは、需要が堅調に推移している中東の自動車セクターで実施している。インドは、経済状況の改善により、カントリーリスクの評価を再分類している。
ICTや製薬など、これまで回復力があると考えられていた分野の企業も困難に直面している。欧州の製薬会社は、政府財政への圧力の高まりもあり、構造的な問題がより顕著になってきている。ICT企業は世界経済情勢に「巻き込まれ」ており、中国と米国の貿易摩擦の中心であり続けている。
最後に、西欧は再びセクターの格下げが最も多い地域となった(全 11 セクター中 5 セクター)。短期的な見通しはそれほど暗くはないものの、まだ格上げの時期ではないことは明らかである。
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