プレスリリース
インドネシア・カリマンタン島でマングローブの保全事業開始 〜ブルーカーボンで炭素クレジット創出、世界で類を見ない広域的な生態系保全〜
住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区)は2022年12月28日、9,738haのマングローブ※1の森林を保有・管理するPT. BINA OVIVIPARI SEMESTA(本社:インドネシア共和国 西カリマンタン州 クブ・ラヤ県 以下BIOS社)の株式を100%取得し完全子会社としました。住友林業グループは長期ビジョン「Mission TREEING 2030」で「循環型森林ビジネスの加速」を掲げ、2030年までに国内外で保有・管理する森林面積を50万haまで拡大することを目標にしています。本事業を加えると保有・管理する森林面積は約29万haとなります。世界的にも貴重な生態系であるマングローブを「保護林」として管理しCO2排出を削減、ブルーカーボン※2・クレジットの創出を目指します。連続する生態系である海岸沿いのマングローブから内陸部の泥炭地、熱帯林を含めた広域的な生態系保全事業に取り組みます。
※1 熱帯および亜熱帯地域の海水と淡水が混じり合う水域で生育している植物の総称。構成する植物は110種以上あるといわれます。
※2 2009年に国連環境計画(UNEP)によって命名された海草藻場、海藻藻場、湿地・干潟、マングローブ林の「海洋生態系」に取り込まれた炭素のこと。 <参考>国土交通省のHP(https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_tk6_000069.html
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■事業概要
西カリマンタン州のマングローブは違法伐採による木炭生産等の影響で多くの森林が失われてきました。住友林業グループは海と陸にまたがるマングローブの適切な管理モデルを構築します。伐採と植林のサイクルを回す「経済林」として活用するのではなく、荒れた部分を植林したうえでマングローブの自然資本価値を高める「保護林」として保全していきます。
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BIOS社のマングローブの炭素固定量(樹木と土壌に固定されているブルーカーボン)は約6,600万 t-CO2と推計されます。
本事業ではブルーカーボン生態系として世界的に注目されるマングローブに蓄えられる炭素を維持してCO2の排出を削減。樹木や土壌が吸収・固定する炭素量を高い精度で計測し、さらに海底に隔離されるブルーカーボンの推定技術を確立することで、質の高い炭素クレジット創出を目指します。生物多様性の維持や水質浄化、保水・水循環機能を向上させてネイチャーポジティブ※3を実現します。
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住友林業グループは西カリマンタン州の泥炭地で持続的な木材生産と生態系保全の両立をランドスケープレベル※4で実現してきました。地域経済の持続的な発展への貢献に加えて、森林経営で培われたノウハウを活用し、海と陸の境にあるマングローブから内陸部にある泥炭地・熱帯林を連続する生態系とみなして広域的な生態系保全事業に取り組みます。
※3 生物多様性の損失を止めて反転させ、回復軌道に乗せること。
※4 自然環境と地域住民、企業活動をより広い範囲でとらえて生態系を保全する考え方
■マングローブについて
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世界のマングローブ面積の40%以上が、インドネシア(世界全体の19%)、ブラジル(9%)、ナイジェリア(7%)、メキシコ(6%)の4か国に集中しています。※5
世界のマングローブ面積は1990年から2020年の間に104万ha(6.6%)減少。インドネシアでは1990年から2000年まで年平均の減少量は6,800haで直近10年では年平均21,100haが減少していると報告されています。
※5 Global Forest Resources Assessment (FRA) FAO 2020年
■地域社会への貢献
BIOS社の近隣に広がる一帯では600世帯以上の地域住民がマングローブを原料とした木炭生産に携わっているとされています。西カリマンタン州のWSL/MTI/KMF社と連携し、木炭原料として利用できる樹種の植林を進め、地域住民の持続的な木炭生産を支援します。
マングローブの周辺にはエビやカニなど多くの魚介類が生息しています。マングローブの保全を通じて、住民にとって大切な漁業資源を増やして地域社会の持続的な発展に貢献していきます。
■インドネシアでの持続可能な森林経営
インドネシア・西カリマンタン州の森林は1960年代から1990年代前半まで木材生産のため伐採され、違法伐採や焼き畑を繰り返し荒廃化が進みました。住友林業グループは2010年からWSL/MTI/KMF社を通じて大規模な植林事業を行ってきました。この事業では、生態系保全の国際目標である30by30(サーティ・バイ・サーティ)※6を満たす保護エリアを有します。貴重な生態系を有する泥炭地を含み、炭素の固定、水循環に大きな役割を果たしています。住友林業グループは泥炭地の管理モデルを構築し、環境保護と経済性を両立した森林経営を行っています。
BIOS社のマングローブ保全のオペレーションはWSL社が担い、WSL/MTI/KMF社のノウハウを共有し効率的な管理を行います。地元行政などと連携しながらマングローブの減少を食い止め、保全事業の拡大、他地域への展開を目指します。
住友林業グループはSDGsの目標年でもある2030年を見据え、2022年2月に長期ビジョン「Mission TREEING 2030」を発表しました。脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一つに、グローバルな規模の森林ファンド設立を含む「循環型森林ビジネスの加速」を掲げています。
森林経営から木材建材の調達・加工、木造建築、バイオマス発電まで「木」を軸にした住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、建築での木材活用で炭素を長く固定し続けることができます。「ウッドサイクル」を回し、自社のみならずお客様や取引先、そして社会全体への脱炭素化に貢献していきます。
※6 2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする国際的な目標
■BIOS社概要
PT. BINA OVIVIPARI SEMESTA(ビナ・オビビパリ・スメスタ)社
本社所在地:インドネシア共和国 西カリマンタン州 クブ・ラヤ県
代表者 :播磨 栄治(2023年1月31日時点)
設立 :2000年11月
ライセンス期間:2050年迄
植林地 :インドネシア共和国 西カリマンタン州 クブ・ラヤ県
管理面積:9,738ha
株主構成:インドネシア住友林業 99%、 シンガポール住友林業 1%
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<参考>インドネシア・西カリマンタン州の既存森林事業会社
WSL/MTI/KMF社
事業内容 :産業植林及び丸太の販売
本社所在地:インドネシア共和国 西カリマンタン州 クブ・ラヤ県
●WSL社…PT. Wana Subur Lestari(ワナ・スブール・レスタリ)社
設立 :2009年10月
ライセンス期間:2107年迄
植林地 :インドネシア共和国 西カリマンタン州 クブ・ラヤ県
管理面積:40,750ヘクタール
株主構成:シンガポール住友林業 99.99%、 インドネシア住友林業 0.01%
●MTI社…PT. Mayangkara Tanaman Industri(マヤンカラ・タナマン・インダストリ)社
設立 :1989年9月
ライセンス期間:2069年迄
植林地 :インドネシア共和国 西カリマンタン州 クブ・ラヤ県、サンガウ県、ケタパン県
管理面積:104,664ヘクタール
株主構成:シンガポール住友林業 99.99%、 インドネシア住友林業 0.01%
●KMF社…PT. Kubu Mulia Forestry(クブ・ムリア・フォレストリ)社
設立 :2020年4月
ライセンス期間:2043年迄
植林地 :インドネシア共和国 西カリマンタン州 クブ・ラヤ県
管理面積:9,270ha
株主構成:シンガポール住友林業 99%、 インドネシア住友林業 1%
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本件に関するお問合わせ先
住友林業株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 内田・河村