プレスリリース
資産クラスや地域を超えてESGが成熟し進化する中で、ESGとインパクトの将来について考えます。
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アンドリュー・ハワード
サステナブル投資グローバル・ヘッド
注目すべき5つのトレンド
気候変動と政治の意思
自然資本
生活費およびその他の社会的ストレス
アクティブ・オーナーシップとインパクト
規制
世界が新型コロナウイルスのロックダウンから脱しようとする中、経済、社会、環境面において亀裂が生じていることが明らかになりつつあります。
2023年以降を見据えると、危機が残した債務は、社会を支え続けようとする政府のキャパシティの制約となっています。
政府による介入が見込まれつつも、気候変動問題や生物多様性の脅威から生活費の上昇に至る重要な問題への取り組みにおいて、ビジネス活動がより大きな役割を果たすことが期待されます。
未来は過去とはまったく異なる展開になりそうです。その中で、ファンドマネジャーのアクティブ運用の能力と、今後の課題や機会に投資戦略を適応させる能力は、運用パフォーマンスにとってこれまで以上に重要になると考えられます。
1.気候変動と政治の意思
第一に、気候変動は避けて通れない問題です。すべての投資家は、地球温暖化や環境破壊そのものだけでなく、その原因に対処するための政治的・経済的行動の影響にさらされています。投資家は、気候変動問題の解決に向けた投資機会とともに、これらのリスクへのエクスポージャーを十分に考慮し、管理する必要があります。
シュローダーでは、2022年初めにScience Based Targets イニシアチブによって認定された、温室効果ガス排出削減目標を設定するなど、今後数十年の間にネットゼロに向けて移行することを約束しました。
しかし、目標を設定するのは簡単なことです。私たちや他の企業がどのように脱炭素化を進めるかは、私たちがお客様のために生み出す価値にとって極めて重要です。私たちの気候変動移行アクション・プランは、そのロードマップの概要を示しています。
2022年に政治的な勢いは明らかに鈍化しましたが、重要なのは民間部門が前進を続けていることで、このことは、グローバルのリーダーが掲げた野心と企業の移行準備の間のギャップをある程度縮めるのに役立っています。
11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)は、世界的な行動へのコミットメントを強固にするには至りませんでした。しかし、「損失と被害」を受けた途上国を支援する基金に関する合意は、2015年にパリで打ち出された目標達成に必要な変化を実現するために役立つものです。今後は、2023年後半にアラブ首長国連邦(UAE)で開催されるCOP28に注目が集まります。
シュローダーは、私たちの声と影響力を使って、最もリスクの影響が大きいと考えられる企業とエンゲージメントを行い移行計画を策定するよう働きかけることに注力してきました。これからの1年間、シュローダーはこうした取り組みを強化していきます。
2. 自然資本
1970年以降、人間が環境に与えた影響(1970年を100として指数化)
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自然資本の役割と生物多様性の脅威に注目しています。気候変動の脅威は、世界の人口増加や人々がより裕福になっていること等を背景とした需要の増加と、資源が有限であることとの間の緊張が高まっていることを示しています。
今日、私たちは毎年、地球1.7個分の資源を使用しており、自然資本の不足がさらに深刻化し、地球上の生態系の劣化が生み出す脅威が強まっています。
ある試算によると、毎年およそ10兆ドルの自然資本の価値が失われており、世界経済に隠れた負債が蓄積していることが明らかになりました。
自然リスクは、投資のリスクとリターンに不可欠な要素になりつつあるのです。そのため、シュローダーは2022年に初めて全社的な「自然のための計画」を発表し、これまでの行動をまとめ、自然損失の原因と影響に対処するための行動の今後の方向性を示しました。
3. 生活費およびその他の社会的ストレス
多くの国で生活費が上昇しています。2023年には圧力は緩和されるかもしれませんが、貧困について注視が必要であると考えています。家計の資金不足に対応できる財政の余裕を持つ国はほとんどなく、社会的ストレスはさらに強まる可能性があります。企業は、自社の従業員の賃上げや福利厚生、あるいはサプライチェーンの労働者に対する責任などを通じて、弱い立場の労働者を確実に保護するよう圧力を受けています。
政治体制に対する圧力も強まる可能性があります。これは、政府が優先順位を明確に定めるという投資家の信頼を損ない、その責任は企業や投資家に押し付けられる可能性があります。
COP27や生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)に向け、気候変動や自然が大きな話題となりましたが、来年は人的資本管理、人権、ダイバーシティ&インクルージョンといった社会的課題により大きな焦点が当てられると思われます。これらは、私たちシュローダーにとって、アクティブ・オーナシップの中核となるテーマです。
4. アクティブ・オーナーシップとインパクト
投資先の企業や資産に対しエンゲージメントを実施する能力は、顧客に対し価値を創造するために必要不可欠なものであり、重要な手段となるでしょう。
私たちが向かっている世界に対応できている企業はほとんどなく、企業価値を守るためには、企業に対して適応を促し、後押しすることが重要です。
私たちは2022年上旬にエンゲージメント・ブループリントを発表し、投資先企業への期待を示しましたが、今後はそれをベースとしていく予定です。
インパクト投資への注目が高まる中、アクティブ・オーナーシップもその戦略の重要な要素になると考えています。
2022年に700以上の機関投資家を対象に行った当社独自の調査では、約半数(48%)が投資のインパクトを重視しており、2020年の約3分の1(34%)から増加していることがわかりました。この傾向は今後も続くと考えています。
サステナブル投資を実施するために、どのようなアプローチを望みますか?
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5. 規制
こうした傾向は、業界がこれまで以上に厳しい監視と懐疑にさらされていることが背景となっています。
規制はEUから世界の他の地域へと広がりつつあり、運用プロダクトが掲げる透明性と明瞭性に対する要求は当然ながら高まるものと思われます。
グリーンウォッシングは、透明性の重要性を強調しており、それを防止するのに必要な要素は、正直さ、透明性、一貫性です。
例えば、COP15を前に、シュローダーは自然破壊からの回復と生態系保護のための包括的アクションを企業に求めていく国際的な連合体であるBusiness for Natureの、2030年からすべての大企業と金融機関に対して自然関連の影響と依存の開示を義務付けるよう求めるMake it Mandatoryキャンペーンに署名しました。
シュローダーは、お客様が、さまざまなタイプの戦略から何を期待できるかを理解できるよう、お手伝いしていきたいと考えています。
おわりに
投資業界においてサステナビリティを重視する私たちにとって、ここ数年は信じられないほど忙しい日々を過ごしてきました。
規制の変化の規模とその速度に対応することは、非常に困難なことでした。
拡大するESGデータの中で、社会・環境の構造的なトレンドが持つ意味について理解を深め、分析、モデルを開発、そして投資先企業とエンゲージメントを実施していくことが求められます。
これらのことは、2023年になっても変わることはありません。
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関連リンク
シュローダーの視点
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/insights/
2023年の各種見通し
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