プレスリリース
世界の個人投資家の55%は金利上昇を踏まえて投資戦略を変更済、
日本の投資家は約3割
シュローダー(本社:英国 ロンドン)は、個人投資家の投資行動や投資意識を把握することを目的に「シュローダー・グローバル投資家意識調査2022」を実施しました。本調査は、世界33の国/地域の2万3,000人(うち日本1,000人)を超える投資家を対象に、オンラインで行いました。
調査結果は、3つのテーマに分けて発表し、個人投資家の力と自信に注目した第一弾、サステナブル投資に注目した第2弾に続く今回は、金利上昇局面における投資行動をテーマに調査結果をまとめています。
本調査結果からは、不透明な市場環境にも関わらず、世界の個人投資家は昨年と同程度の11%を超えるリターンを期待していることがわかりました。また、金利上昇を踏まえ、世界の個人投資家の55%はすでに投資戦略を変更済で、投資知識レベルの高い投資家ほどその割合が高いことがわかりました。急速なインフレの進行や各国中央銀行による金融引き締め、地政学リスクの高まりなど不透明な市場環境に直面し、世界の投資家が専門家の助言を求めていることも明らかになりました。
※グラフや本文中の値は四捨五入して表示しています。各調査データの詳細はこちらをご参照ください
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/insights/global-investor-study/2022-findings/investing-hub/
<調査結果概要>
世界の投資家が予想するリターンの平均は11.4%
世界の投資家の投資リターンに対する見通しは、不透明な市場環境にあっても楽観的です。今後5年間の資産運用における予想年率リターン(平均)は、昨年に続き11%を超える水準となりました(図1)。
日本の投資家による予想年率リターンの平均は8.2%と、昨年の8.5%からやや低下しました。
図1:今後5年間の資産運用における予想年率リターン(平均)
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世界の個人投資家の55%は金利上昇を踏まえて投資戦略を変更済
世界の投資家にインフレ進行や金利上昇を踏まえて投資戦略を変更したかを尋ねたところ、半数以上(55%)が「変更した」と回答しました(図2)。
一方、日本の投資家では、すでに投資戦略を変更した投資家は31%にとどまりました。これには、調査期間における市場環境の違い、すなわち、日本では日銀の金融政策が据え置かれ、欧米と比較して金利上昇が本格化していないことが背景にあると考えられます。実際、37%の投資家が投資戦略の変更を予定していると回答しました。
図2:インフレ進行や金利上昇を踏まえて投資戦略を変更したか?
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投資知識レベルの高い投資家ほど迅速に金利上昇に対応
金利上昇を踏まえて投資戦略を変更した割合を投資知識レベル別に見たところ、投資知識レベルの高い投資家ほど高い割合で、すでに投資戦略を変更したと回答しました。(図3)。専門家/上級レベルの投資家の約3分の2(67%)がすでに投資戦略を変更した一方で、中級レベルの投資家では42%、初心者/初級レベルの投資家では27%と、投資戦略を変更した投資家の割合は大幅に下回りました。
当調査によると、専門家/上級レベルの投資家は、初心者/初級レベルの投資家よりも多くの資産に投資を行っており(投資先数の平均は専門家/上級レベル:4、初心者/初級レベル:3)、投資知識レベルの高い投資家は、金利上昇の影響を回避するため、投資戦略変更の必要性が高かった可能性があります。また、初心者/初級レベルの投資家は、専門家/上級レベルの投資家に比べて期待するリターンも3.7%ポイント低いことが示されており、ポートフォリオの金利感応度が低い可能性もあります。しかし、これらを考慮しても投資知識レベルによる差は大きく、投資知識レベルの高い投資家は明確な見通しのもとに投資判断を行った可能性があると考えられます。
図3:インフレ進行や金利上昇を踏まえて投資戦略を変更したか?(世界全体、投資知識レベル別)
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日本の投資家でも同じ傾向が見られ、金利上昇を踏まえて投資戦略を変更した割合は、初心者/初級レベルで15%、中級レベルで29%、専門家/上級レベルでは63%でした。
投資家は金利上昇局面で慎重な投資姿勢
世界の投資家の多くは、不透明な環境を受けて、より慎重な投資行動を取ることを考えているようです。世界の投資家の43%が、金利上昇に伴って節約し支出を減らす可能性が高いと回答しました。また、42%の投資家はポートフォリオ分散を更に進めると回答しました(図4)。
図4:金利上昇に伴い以下を行う可能性は?
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金利上昇圧力により、さまざまな資産の魅力度が変化
世界の投資家の約4分の1が国債と現金の魅力度が低下したと回答(それぞれ24%、23%)、金利上昇の影響を受ける資産に対する投資意欲が低下していると考えられます。
一方で、世界の投資家の約半数(48%)はアクティブ運用ファンドの魅力が高まったと回答しており、難しい環境において専門家の力が重視されていることが示されました。
図5:半年前と比較した各資産の魅力度
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日本の投資家でも同じ傾向が見られ、日本の投資家の41%がアクティブ運用ファンドの魅力が高まったと回答しました。
不透明な環境で専門家の助言が求められる
今回の調査では、金利上昇に伴い、世界の投資家の39%がファイナンシャル・アドバイザーに相談する可能性が高いと回答しており(図4)、不透明な環境だからこそ、専門家に頼る傾向があるということが示されました。
さらに、投資知識が豊富な投資家ほど、ファンドマネジャーの専門知識を頼りにする傾向が強くなっているようです。投資知識レベル「専門家」の投資家の約3分の2(63%)は半年前に比べてアクティブ運用ファンドの魅力度が高まったと回答しています(図6)。
図6:半年前に比べてアクティブ運用ファンドの魅力度が高まったと回答した投資家の割合(世界全体、投資知識レベル別)
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日本の投資家でも同じ傾向が見られ、半年前に比べてアクティブ運用ファンドの魅力度が高まったと回答した投資家の割合は、初心者では32%、初級レベルでは35%、中級レベルでは39%、上級レベルでは49%、専門家は63%でした。
シュローダー マルチアセット・ストラテジー・ヘッド レズリーアン・モーガンのコメント:
「多くの国でインフレ率が過去数十年の最高水準にあるという、異常事態が続いています。投資家は、インフレ率が抑制され、借入コストが歴史的な低水準にあった近年の経験に基づいて、将来の収益を楽観視している危険性があると考えています。私たちは今、新たな、そして間違いなくはるかに困難な局面を迎えているのです。」
「本調査では、投資経験に関わらず、こうした難局を乗り切るため、投資家は専門家の助言を得たいと考えていることが示されています。」
「こうした時代だからこそ、投資家が投資リスクを抑制し分散化を図る上で、アクティブ運用会社の専門知識と経験がますます重要になります。本調査では、世界の投資家のうち半数以上(58%)が、投資成果が精神的な安定に直接影響すると回答しており、アクティブ運用会社とファイナンシャル・アドバイザーが投資家をサポートする重要な役割を担っていることが明確になりました。」
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社 投資信託営業部長 堀本亜紀子のコメント:
「今回の調査からは、市場予想を上回るペースでの金利上昇に直面し、投資家が投資判断に難しさを感じていることが示されました。市場の行方を正確に見通すことはできませんが、自分が許容できる程度のリスクをとって投資を行うことで、安心して資産形成を続けていくことは可能だと考えます。学校での金融教育の開始、中立的アドバイザー設置の検討など、日本でも投資家の資産運用を後押しする政策が示されていますが、私どもも運用会社として、適切な情報開示、情報提供などの投資家サポートを継続していく方針です。」
「アクティブ運用への期待が示されたことは喜ばしいことですが、その期待に応えられるよう、投資家のみなさまの資産形成に資する長期的なリターンをご提供してまいりたいと考えています。」
【調査の概要】
世界33の国/地域の2万3,950人(うち日本1,000人)の個人投資家を対象とした独自のオンライン調査。調査期間は2022年2月18日〜4月7日。今後12カ月間で1万ユーロ(またはそれに相当する額)以上を投資する予定があり、過去10年間に何らかの投資行動をとった方を「投資家」と定義。
以上
■シュローダー・グループのESGの取組み
「質の高いコーポレートガバナンス体制を確立し、本業を通じて、環境や社会の変化および課題解決に対応する企業は、長期的に企業価値の向上と持続的成長が期待できる」という考えのもと、シュローダーは20年以上、ESGの要素を取り込んだ運用を実践しています。
ESGの観点を加味した運用を通じて、社会や環境にインパクトを与える真の企業価値向上を促すと同時に、社会や経済全体の利益となり、投資収益の拡大にも繋がることを目指しています。
■シュローダー・グループの概要
シュローダー・グループは、資産運用サービスを通じてよりよい未来への貢献を目指す、英国屈指の独立系資産運用グループです。ロンドン証券取引所に上場しています。1804年の創業以来200年以上にわたり、年金基金から機関投資家、個人投資家まで、世界の投資家に、長期的な視点に立ち幅広い投資ソリューションを提供しています。現在、運用資産総額は約128兆円*に上ります。
日本とのかかわりは古く、1870年(明治3年)、日本初の鉄道敷設のために日本政府が初めて発行した国債の主幹事を、シュローダーが務めたことにさかのぼります。1974年には東京事務所を開設し、日本における事業の本格的な第一歩を踏み出しました。幅広い資産運用サービスを提供する現在も日本株式運用を事業の中核の一つに据え、約150年前と同様、日本の未来への投資を通じて歴史を紡いでいます。
※2022年6月末現在。*7,734億英ポンド、1英ポンド=164.98円換算。
※本資料におけるシュローダー・グループとは、シュローダーplcを直接もしくは間接的に親会社とする会社などを言います。
関連リンク
シュローダーの視点
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/insights/