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プレスリリース

昭和大学らの共同研究グループが肺がん原因物質の毒性発現機構を解明 -- 化学物質の毒性評価に期待

(Digital PR Platform) 2022年09月06日(火)14時05分配信 Digital PR Platform



昭和大学薬学部の福原潔教授(基礎薬学講座医薬化学部門)と国立医薬品食品衛生研究所の共同研究グループは、肺がんの原因となる大気汚染物質の毒性発現機構を化学計算によって明らかにしました。これにより、化学計算による精度の高い化学物質の毒性予測が期待されます。この研究成果は、科学雑誌『Toxicology and Applied Pharmacology』に掲載されました。




 肺がんの原因といえばタバコが第一にあげられますが、もう一つの原因と推定されるのが汚染大気です。大気中に含まれるさまざまな有害物質が肺の末端にある肺胞付近の細胞を傷つけ、その結果、がんが発生します。そこで、がんの発症に関係する化学物質の排出源を特定して大気中への排出を抑えることができれば、肺がんの発症率は低くなることが考えられます。ディーゼル排ガス等の規制により肺がんの発症率は大きく低下しました。しかし、どのような化学物質ががんの発症に関係しているかは不明な点が多いため、新たな環境汚染物質の排出に対する予防的な取り組みが必要とされています。



 福原教授と国立医薬品食品衛生研究所の共同研究グループは、これまで大気中に存在する肺がんの原因物質を明らかにしてきましたが、今回、化学構造から毒性を予測する新しい知見を得ることに成功しました。多くの発がん物質は体内で活性体へと代謝された後、DNAと複合体を形成し、さらにDNAと結合して毒性を発現します。そのため、化学物質の毒性の強さは活性代謝物の生成しやすさによって予測可能と考えられてきました。しかし、それだけでは毒性を十分評価することはできません。研究グループは不安定な活性代謝物とDNAとの複合体について最安定化構造の最適化計算計を行なったところ、強力な発がん性や変異原性を有する大気汚染物質は活性代謝物とDNAのグアニンとの距離が近くなっていることを明らかにしました。この結果は、動物実験を実施しなくても、活性代謝物の生成しやすさとDNAとの複合体でのグアニンとの距離について、それぞれを化学計算することでより精度の高い化学物質の毒性予測が可能であることを示しています。



 この研究成果は、科学雑誌『Toxicology and Applied Pharmacology』に掲載され、「Medicine Innovates」で紹介されました。

<雑誌名>
 Toxicology and Applied Pharmacology (impact factor:4.46)
<論文名>
 The position of the nitro group affects the mutagenicity of nitroarenes
<著者名>
 Akiko Ohno, Yoshio Okiyama, Akihiko Hirose, Kiyoshi Fukuhara
<DOI>
 https://doi.org/10.1016/j.taap.2022.115974

<Medicine Innovates 掲載URL>
 https://medicineinnovates.com/different-positions-nitro-groups-nitro-polycyclic-aromatic-hydrocarbons-significantly-affect-mutagenicity/

▼本件に関する問い合わせ先
 昭和大学 薬学部基礎薬学講座医薬化学部門 教授 福原潔
 TEL: 03-3784-8186
 E-mail: fukuhara@pharm.showa-u.ac.jp

▼本件リリース元
 学校法人 昭和大学 総務部総務課 大学広報係
 TEL: 03-3784-8059
 E-mail: press@ofc.showa-u.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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