プレスリリース
基本シナリオ
【米国】
米国経済は2023年の1-9月に景気後退局面へ入り、米国経済成長率は1.7%(2022年見通し)から2023年には-1.1%に低下すると考えます。2023年1-3月期に政策金利は4%に達すると考えておりますが、その主な背景は高いインフレ率と考えています。また、景気後退入りが確認されるならば、米連邦準備制度理事会(FRB)は金融緩和に転換すると考えており、2023年末までに政策金利を3.5% に引き下げることが見込まれます。ただし、量的引き締めは継続するものと考えます。
【ユーロ圏】
2022年のユーロ圏経済成長率見通しは3.0%に引き上げた一方で、2023年については0.4%に減速すると考えます。米国とは異なり、インフレや利上げが景気後退の要因ではなく、ロシア・ウクライナ情勢を背景としたエネルギー価格の上昇が要因と考えます。欧州中央銀行(ECB)は、9月に0.5%の利上げを実施することが見込まれています。その後は利上げペースを緩和し、2023年にはリファイナンス金利は1.5%、中銀預金金利は1%を見込みます。
【英国】
2022年の英国経済成長率見通しは3.4%と小幅に引き下げ、2023年については-0.6%に減速すると考えます。英国は、2023年のインフレ率が先進国の中でも最も高い水準で推移すると考えており、2023年のインフレ率見通しについて、6.0%から8.7%に引き上げました。このような環境下、イングランド銀行(BOE)は、2023年3月までに政策金利を3.0%まで引き上げると考えています。
【エマージング諸国】
中国において、主な課題として不動産を巡る問題が挙げられるほか、先進国の大部分の国々が景気後退に向かっていることも中国経済にとってマイナス要因となることが見込まれます。これらの逆風を考慮し、2022年の中国経済成長率見通しを3.3%に、2023年については5.0%に引き下げました。その他のエマージング諸国については、ロシアはウクライナとの戦争を背景に景気後退が見込まれるほか、ブラジルについては、足元での予想を上回る経済指標や、10月の大統領選を控え、財政拡大が見込まれることから、ブラジルの見通しを小幅に引き上げました。
今後想定される他のシナリオ
基本シナリオ以外で今後想定される5つのシナリオのうち、4つのシナリオがベースラインを下回る経済成長、3つのシナリオがベースラインを上回るインフレ率を示唆しており、総括してスタグフレーションリスクに傾斜しています。基本シナリオ以外で今後想定される景気シナリオについて、最も可能性の高いリスクシナリオとしては、スタグフレーションシナリオの「欧州エネルギー危機」、次いで、スタグフレーションシナリオの「供給サイドによるインフレ」を想定しています。
世界の実質GDP成長率見通し
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シュローダー・エコノミクス・チームによる見通し(基本シナリオ)
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